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マリノスタウンという夢の終わり 横浜F・マリノスはクラブとして次のステップへ

2015/05/29 17:17配信

武蔵

カテゴリ:コラム

マリノスタウン、閉鎖

マリノスタウンの閉鎖が決まりました。

マリノスタウンとは、横浜市のみなとみらい地区にあるスポーツ複合施設です。

J1横浜F・マリノスのトップチームの練習場やクラブハウスはもちろん

下部組織やスクール事業の中心として

スポーツクラブとしてのマリノスの拠点でした。

それが今回、2016年の3月を以て閉鎖、移転という運びとなりました。

マリノスタウンという夢

皆さんはマリノスタウンに行ったことがあるでしょうか。

マリノスタウンには夢がありました。

巨大ターミナルである横浜駅から徒歩10分というアクセス面や

かつての親会社であり、今でも大スポンサーである

日産自動車本社のお膝元というロケーション面といい

300万都市・横浜の、その名の通り未来を象徴するみなとみらい地区において

まさに、発展を前提とする夢であり続けました。

また、天然芝2面、人工芝2面を取ることができる環境で行われる

トップやユースの練習風景を

申し分のない立派なスタンドから見学することも可能でした。

みなとみらいスポーツパークなど近隣のサッカー・フットサル施設とともに

文化としてのスポーツ、文化としてのサッカーを

繁栄させ、その歴史の浅いこの国に根付かせるという

長期的なテーマを向き合い、貢献し続けてきました。

Jリーグのビッグクラブ、メガクラブになれば

このような環境でサッカーをすることができる

Jリーグにそのようなプラスイメージをもたらし続けてきました。

夢がありました。

しかし過去形です。

その夢の終わりが来たのです。

課題はもちろん財政面

マリノスタウンにとっての課題は、その維持費です。

年間5億円超というその維持は、クラブにとって大いなる重しとなりました。

05年以降の成績の下降などもあり

立派な器に見合う中身たる成果を、数字上においては残すことができませんでした。

今回、10年に及ぶ定期借地契約が満了するということで

その実、円満な別れ方ではあるのですが

大箱を維持できずに出ていく、というネガティブな一面があることも事実です。

今後のマリノスタウン跡地は、みなとみらいスポーツパークと合わせて

元々の地権者である横浜市が再開発を予定しており

中には野球場を建設する「横浜ドーム計画」というのも浮上しているようです。

なんにせよ、借りているものを返さねばならないということで

それと比較して魅力的なビジョンを示すことができなかったということでしょう。

移転に伴い発生する問題

移転における懸念もあります。

それは、大きな問題となった維持費にまつわる問題です。

移転により、維持費を3億円ほど削減できる見通しということですが

その代償として、スクール事業の先行きが不透明と言えるのです。

横浜F・マリノスの柱とも言えるスクール事業は

Jリーグでもトップの4.5億円を稼ぎ出していますが

これが今回の移転により、運営や規模に不安定さを増してしまう恐れがあります。

今までどおりの経営ができるかどうか、やってみなければならない部分が多いのです。

特にアクセス面の変化により、スクール生の足が遠のく可能性は否定できません。

またそれとは別に、マリノスタウンの夢に魅せられた人たち

この場合では下部組織の子供たちに「出血」を強いることを

歓迎する人間などいないでしょう。

とても残念に思います。

スクール生や指導者にとって、最良と言えた環境が変わることの悪影響は否定できません。


移転先は新横浜公園内の日産フィールド小机です。

マリノスのホームスタジアム・日産スタジアムのお膝元ということで

また違った夢を見せられれば良いでしょう。

環境が悪くなると決まったわけではありません。

マリノスの次のビジョンとは

それに今回の移転劇をポジティブに捉えることができます。

それは現実を見据え、地に足を付けた経営へ向けて進み出したということです。

このことはマリノスの嘉悦朗社長が就任当初から掲げてきた

「持続可能な成長」と繋がる部分でありますし

今回も真っ先にそこの部分を強調しています。

マリノスにとっての次のビジョンとは

今まで行ってきた、横浜市やサッカーへの貢献を

より持続可能な形で、そしてもっと我々に見える形で表す、ということになるでしょう。

そもそも今回の移転の発端は、マリノスの財政問題なのですが

嘉悦社長の下で経営改革をしたマリノスは2013年に黒字化を達成しました。

しかしその中身は営業利益において900万円の黒字というもので

「本当にいろいろなことをやった」にもかかわらず

満足できる結果ではなかったということで

今回の移転という結論となりました。

マリノスタウンという夢にしがみつくことが目標ではありません。

「持続可能な成長」という根本的な目標を達成するために

断固たる決意を示しました。

今回の移転は、最初に掲げたその目標を達成するというレールから外れるものではなく

むしろ、この改革路線のとおりに進んでいると言えるものとなりました。

つまり、マリノスにとってはやることは今までと変わらないということです。

この国のサッカーに貢献してきた今までと、なんら変わりはしないのです。


メルボルン・シティFCを買収し、NYシティFCを新規に立ち上げた

CFG(シティ・フットボール・グループ)は

マリノスの株式の19.95%を持つ大株主です。

しかしCFGは、例えばマリノス・シティとしたり

マリノスのクラブカラーのトリコロールをシティ流の水色に変えたり

ということは考えていないそうです。

なぜなら、マリノスの歴史と伝統を重んじており

そのブランドを生かすことが、投資としても一番の手段と考えているからです。

それだけマリノスが今までにしてきた

この国、地域のサッカーという文化への貢献度は計り知れないということです。


あのマンチェスター・シティですら一目置くブランドを持つマリノス

そんなマリノスにしかできないことがたくさん存在します。

そのブランドの「持続可能な成長」へ向けた再スタートが切られようとしています。

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