【日本代表】 満員39,294人の観衆よりも 9,123人から感じるFootball 【コンサドーレ札幌】
2014/09/10 13:27配信
カテゴリ:コラム
4年後のロシアW杯に向けた日本代表強化がスタートした。
日本代表が国内で試合を行うのは、ブラジルW杯前の壮行試合以来であり、新しくなった日本代表としてははじめての試合となった。
4年のプロセスで周期がある現在の日本代表。
新しい周期を迎えるときは国立競技場、もしくは埼玉スタジアム2002でのスタートを切ることが多かったものの、今回の日本代表のスタートの地は北海道・札幌とした。
札幌での日本代表の試合は2012年に行われたベネズエラ戦以来2年ぶりのことだ。
それでも札幌は2011年にも韓国との大一番ともいわれる試合が行われており、日本代表の試合開催の地としては比較的回数として多く行われている場所といって良いだろう。
複数回行われている場所の方が開催もしやすく、警備の問題もクリアしやすいこともあり、協会側としてもゲームを組みやすいのだ。
札幌では練習も公開された。
日本代表の練習公開はW杯前に行われた国内組候補合宿、そして3年前に同じく札幌厚別公園陸上競技場で行われた国内組候補合宿以来のこと。
ザックJAPANはほぼ練習を公開したことがなく、公開したのはこの2回のみだった。
そして再び札幌でアギーレJAPANの初練習が公開される形となった。
海外組が揃っての練習公開は4年以上ぶりということになる。
1日目はまだ公開ということはあまり知られておらず200名から300名程度だったものの、次の日にはなんと3000名も駆けつける大盛況ぶりだった。
しかし、だ。
気になったことは見る側のマナーだ。
●練習見学マナーなんてものはない無法地帯
札幌で行われた2日目の練習では選手たちが登場した際に、会場中を包むほどの歓声が上がった。
手をあげて答えた本田や長友に子どもから大人までが叫び、スターだということを感じさせるような光景だった。
しかし。
練習が始まっても選手たちの名前を呼ぶ声が聞こえる。
多くはサッカー少年たちに選手の名前を叫ばせている親の存在。
練習中にも関わらずピッチの端で別メニューをこなしていた長谷部に向けて、子どもたちは複数の声で長谷部ーーーーーー!と叫ぶ。
「長谷部選手」でもなく、
「長谷部さん」でもなく、
小学生の少年たちが
はせべーーーーー!なのだ。
さらに、練習中にも関わらず
サインくださーーーい!
長谷部こっちむいてーーーーーーーーー!
当然サインをすることもなく、練習をしている最中のためその方向を向くこともないわけだが
そうすると 「ケチだな!長谷部いいやつじゃないな!」なんて批判の声が飛ぶ。
子どもだから良いと思っているのだろうか。
きっとそういわせているのは親たちであり、親たちは注意どころか制止もせずに一緒になって長谷部をケチだとまくしたてた。
子どもたちのそれが許されるなら、と女子高生や男子学生の集団も同じく呼び捨てで選手たちの名前を呼び始めた。
練習中であり、たくさんの人がメインスタンドから練習を見ているのにも関わらず、最前列の柵に前のめりになり、叫び続け当然その後ろにいる人たちからは練習は見えなくなる。
見えないと注意されると、見えるなら問題ないとばかりにその場の床に座り込み、選手の名を叫び続ける。
知っているのは本田や長友、長谷部、吉田、川島といったブラジルW杯に出場した海外組の選手たちが中心であり、それ以外の選手たちには
「誰あれ?」という扱いを繰り返す。
終いには、選手が近い距離になると「誰ですかー?」と叫ぶ人間もいたほどだ。
こんな中で練習が公開されていることが奇跡だと思うほどの無法地帯。
練習を見に来てるのではなく、選手を見に来ているのだ。
それは応援ではなく、ただのやじうまだった。
もちろん、日本代表は興行的にも存在価値のあるものでなくてはならず、人気商売が生む資金も存在するだろう。
しかし、こんな中で練習をするというのは練習になるのだろうか。
マナーなんてものは存在しない中で、最低限の警備と事故などが起きないようにするためのマニュアルはあったのだろうが、ひどい光景だった。
選手たちが動けば人も動く。
選手が引き上げるときにはたくさんの人たちが駆け足で移動し、バスが動けばたくさんの人が追いかけた。
日本代表が非公開にせざるを得なかった理由がわかる。
●試合を観に来ているのか、選手を観に来ているのか―。
試合会場でも疑問に感じることが起こるのが日本代表だ。
サッカースタジアムの雰囲気というよりは、アイドルのコンサート会場のような雰囲気なのは数年前から感じていたが、この日も同じ光景が拡がっていた。
日本代表の試合となるとテンションが上がるのはわかる。
それだけ特別な存在であり、なかなか観れない地方だからこその楽しみがあるであろう。
しかし、試合が始まってからサッカーを観ていた観客はもちろん多くいる中で、ベンチのメンバーに注目する人間が多数。
試合ではなく選手を見に来ているという主旨の人たちが多く、試合はなんとなく見て、ハーフタイムのベンチメンバーの練習中に選手の名前を叫び続ける人が多数いた。
そして決して満足のできるような試合ではなく、敗戦となった試合後も選手たちには黄色い歓声が送られ、手を振り拍手で会場が包まれた。
その声は会場の外まで響くほどに大きな大きなものだった。
内田篤人が疑問に思うと発した言葉を思い出した。
勝っても負けてもいつも騒がれキャーキャー言われることに、日本代表であることに疑問を感じた
という言葉だ。
いつでもどんな結果でも同じ反応の中にいることを疑問に思い、日本代表を辞めるとまで考えたことのある内田。
今回は内田は膝の経過を最優先にするため招集されなかったが、海外の反応が厳しい中でプレーする選手たちにとってはこのアイドルのコンサート会場のような代表戦に疑問を持っている選手も多いのだろう。
選手に疑問を抱かせてしまうほどの状況に
選手にそんなことを思わせてしまう状況に
見る側は、なにか思うものはないのだろうか。
この日満員の札幌ドームの観客は39294人。
しかし、本気で戦うゴール裏のサポーターたちや日本代表を真剣に応援する人たち、サッカーを観に来た人たちはその中に何人いたのだろうか。
こういったスタジアムを変えようとするゴール裏からの声や行動は響くものがあるが、それでも黄色い声が多く消されてしまうのは非常に悔しい想いだろう。
興行的にお金を落としてもらうことも必要で、人気商売もひとつの戦略であることはわかるが、もっとfootballが浸透してほしいと感じてしまう。
いや、浸透していないわけではない。
Jリーグには熱きサポーターが増えているのは確かだ。
しかし、日本代表戦は全く違う場所になりつつある…。
●サッカースタジアムらしさ
次の日、同じく札幌ドームでコンサドーレ札幌×Vファーレン長崎の試合が行われた。
試合前にすべての席種の観客たちが立って選手入場を迎えるのが札幌のホームの光景だ。
これもゴール裏が中心となり、時間をかけて浸透させた札幌らしさのひとつ。
前日の日本代表戦に比べると観客は半分以下だが、それでもサッカースタジアムの空気感を一瞬で作り出す光景だ。
試合は開始早々にコンサドーレ札幌がPKを獲得し、それをFW都倉が決めて先制すると、その後追加点を奪い2-0に
しかし、長崎も反撃をかさね、ついに1点を返すとそこからは両チームの勝ちにこだわった試合が展開された。
最後まで勝利に向かって全身全霊でプレーする選手たち
そしてその後押しをと声を出し跳ぶサポーターを中心に、会場全体がホーム札幌の勝利を期待し手拍子で会場を一体にする。
選手を見に来ているのではなく、コンサドーレの試合を観に来ている人たち、そして遠く九州から札幌まで来た、最後まで長崎の反撃を信じる長崎サポーターたちの声。
想いを持った9123人のスタジアムの方が
前日の39294人のスタジアムよりもよっぽどfootballを感じることができた。
札幌も小野伸二獲得により、小野伸二を一目観に行こうというお客さんは多いだろう。
それでもそれがきっかけでサッカーの本質を見てくれることになったり、ひとつのクラブを応援するきっかけになってくれるのなら良いと思う。
しかし、それがいつまでも黄色い声援や負けても関係ないといったような人たちが覆い尽くすスタジアムであるのなら疑問となることだろう。
はじめてのサッカー観戦の人も多い日本代表戦。
それは試合だけではなく練習見学も同じくはじめてという人も多いことだろう。
選手を観たいというのも立派な理由かもしれないが、サッカーをやっている時間はサッカーを観て欲しいと思う。
サッカー少年を持つ親御さんはサッカー選手にサインをもらうことよりも見る機会の少ない貴重な時間で機会だからこそ、日本代表の質の高い練習を見せてあげてほしいと思う。
目の前のスター選手たちがなぜスターか。
それは日本代表だから。
日本代表になるために、Jリーグでプレーして活躍し、海外に行った選手が多数であり、たくさんいるサッカー選手たちの中から選ばれた選手たちだからこそ。
サッカーをしてるからこそ、サッカー選手は特別であり、スターなのだということ。
サッカー選手はサッカーをしている時が一番であることは間違いなく、サッカーをしていないとスターではないこと。
日本代表の試合は試合を行い、それを観戦するものであり、
ベンチに座ってる姿や試合後に周回している姿がかっこいい!見たい!というならば、それはサッカー好きではない。
日本代表の試合が観たいと思っているたくさんの人たちが、チケットが取れない状況にある時もある。
そういった行けなかった人たちの中には、日本代表という質の高いfootballを楽しみにしている人間もいることを忘れないでほしい。
マナーの悪さ、主旨の違い。
こういったことで観たい人が観れなくなるようなことが起きたり、選ばれるべき選手が代表を辞退するようなような事態には繋がってほしくないと心から願う。
一人一人の自覚と意識。
そして伝えていくこと。
微力かもしれないが、それでもその微力がたくさん集まった時、動かすことができるものもあると信じたい。
footballを感じる場であるべき場所、日本代表スタジアムをまた感じることができるように―。
連投すいません
おなじFOOTBALLを見ているという感覚はありませんでした、
腹からも声が出せない、拳も上げられない、跳ねもせずくっちゃべってる。
正直そんなゴール裏、僕の主観になりますが、無い方がいいと思います。
選手と共に戦う場所で、戦えない、いや、戦おうともしない、
ある意味が有るのか。
長文失礼しました。
名無しさん | 2 0 |2014/09/26|16:29 返信
どうも、記事読ませていただきました、僕も浦和が大好きでいつもゴール裏で応援させて頂いてます。代表の試合以前1度言った事があるのですが、正直「???」でした
1番の理由それは応援したいという意思が周りから伝わらず、筆者さんが感じていたように、
好きな選手を見に来ているだけ、
ぼくは、いつもゴール裏でやらせて頂いているので当然その「浦和」のテンションで、応援していると、ドン引きです、何あいつみたいな感じです。
僕はその時痛感しました、「あ~ここはバラエティでエンタメでしかないのか」
名無しさん | 2 0 |2014/09/26|16:29 返信
このコメントはレッドカードで退場となりました。
同感できませんね。ゴール裏で立ち上がって拡声器で音頭を取るのも正しい観戦の仕方ですか?試合を見てるとは言えないのでは…。こちらは座って観戦したいのにサポーターといわれてる人達は立ち上がって観戦してますよね?それでも正しいと?
ルールは確かに必要だし、見る側のモラルも必要ですが、サポーターの方たちの観戦の仕方も正しいとは思いません。あれは観戦ではなく応援ですよね。記事に書かれてる選手を見にきてる方たちとなんら変わらないと思いますが…。
試合を観戦するなら、一つ一つのプレーに拍手や歓声で十分では?
サッカーの試合観戦で一番邪魔なのは、サポーターだと思ってる人がいるというのも忘れずに。
名無しさん | 1 21 |2014/09/12|20:51
こういった記事がより多くの人の目に止まりますように。
練習見学のマナーは正直最悪でした。
シャツや色紙が通路に投げ込まれ、そこまでして選手のサインが欲しいのか、と。
日本代表の試合も見たのですが、どうも消化不良で、演出や雰囲気ばかりが気になってしまいました。
翌日ゴール裏で観戦したコンサドーレの試合の方が、よっぽどサッカーの試合らしく見られました。
代表の親善試合よりも、J2でも真剣勝負の方がいいに決まっています。
代表は、アジア杯やワールドカップ予選も同じような雰囲気にならないことを願います。
名無しさん | 6 0 |2014/09/12|10:29 返信
コメントありがとうございます。
あぁいったことが原因で本当に観たい人たちが観れなくなるなんてことはないようにと願います。
試合に関しても…一生懸命サポートされているサポーターさんも多いので一概に、というところはありますが、そういった方がいるからこそ黄色い声で勝負関係なく包まれてしまうことが残念でなりません。
人が入ってるから良いというのではなく、興行的や売上的にというものはわかるものの満員でなくともサッカースタジアムはサッカースタジアムであってほしい、これがサッカースタジアムだなと札幌の試合で感じました。
読んでいただき、ありがとうございます!
Tomoko Iimori | 1 0 |2014/09/12|19:52
2試合とも息子と観戦しましたが、同感ですね。フットボールのスタジアムにおいて、観客の醸し出す雰囲気がいかに重要か思い知らされました。
結局、本当の真剣勝負にどれだけ触れられるか・・・だと思うのですね。そうした機会は確実にコア層を増やしていくと思うのです。
入口は有名選手を見たいでもいいのですが、そこで真剣勝負に触れられるか否か。そういう意味では、代表の親善試合というのは、どうなのかと考えざるを得ませんね。
翌日のコンサの試合は、今季一番の気持ちのこもった試合でした。会場の一体感も一番。ライト層からコア側の扉を開いた人もいたのじゃないかと期待しています(笑)
しまやん | 3 0 |2014/09/11|23:34 返信
コメントありがとうございます。
そうですね、そこもひとつの重要ポイントですよね。
代表の親善試合での必死さはたしかに物足りなさを感じます。特に予選などはなかなか行われない地方開催だからこそやはりサッカーで勝負してほしいなと感じました。
翌日の札幌の試合は勝負にこだわった勝負の試合をみせてもらいました。長崎の必死な追いつこうという気持ちも見え、そういったものが会場を一体化さえた要因のひとつだったと思います。いい試合だったなと思いました。
読んでいただき、ありがとうございます!
Tomoko Iimori | 0 0 |2014/09/12|19:45
札幌の試合でもそういうことはありますよね。
小野のデビューとなった大分戦なんかもライト層が多くて一体感は出ていなかったです。
これは仕方のないことで、こういう層を如何にしてコアに変えるかというのが課題なのだと思います。
自分達だっていきなりコアになった訳では無いことを思い出しましょう。
フットボール文化を醸成するのに一役買ってるくらいの気持ちでいれば、ライトな方々にも腹が立たずどうしたらこっち側に引き込めるかって思考になると思います。
名無しさん | 1 0 |2014/09/11|12:44 返信
コメントありがとうございます。
そうですね。小野伸二選手のデビュー戦となった2万人の日は小野選手を観に来ている人が多数だったこともありこの日のような一体感はなかったと思います。
はじめてのお客さんや層を否定しているのではなく、そういったサッカースタジアムを知っている人たちが少しでも発信していくことでそういったものを伝えられるのではないかという主旨で書きました。
私の文章力が足りずただの否定的な文章に感じてしまったのだとしたら申し訳ございません。
ただ、サッカーファンとして浅い深い関係なく、マナーという部分と節度は必要と感じました。
読んでいただきありがとうございます。
Tomoko Iimori | 1 0 |2014/09/11|20:06
どちらもゴール裏で見ました。札幌が大好きでいつも真裏でジャンプしてます。札幌の試合でみんなに、やれー!とかいってる人も代表ではへらへら応援してたのにもむかつきます。そしてそれ以前にサッカーを見に来てない人にも、むかつきました。この記事とても気持ちが一緒です。
名無しさん | 4 0 |2014/09/11|02:58 返信
コメントありがとうございます。
どちらもゴール裏で観戦されたのですね。親善試合とリーグ戦という違いや、年齢層の違いも当然あるとは思うのですがそれにしてもサッカー云々ではない雰囲気になっている日本代表の試合は今回に限らず本当に気になっていたので書かせていただきました。
札幌の試合を観た時に、これだよなぁサッカースタジアムの雰囲気と感じさせていただきました。
読んでいただきありがとうございます!
Tomoko Iimori | 0 0 |2014/09/11|10:50
公開練習も、ウルグアイ戦も、コンサの試合も見た者として、全く同感です。
サッカーを見たいのに、キャーキャー騒いでるだけの人が多く、辟易してます。
名無しさん | 4 0 |2014/09/10|23:20 返信
コメントありがとうございます!
せっかくのさまざまなサッカーを観る機会のあるサッカー週間だったにも関わらず「サッカー」を観ている人の少なさに驚きました。
そしてあの状態でも札幌はまだマナーが良い方という関係者の言葉にさらに驚きました…。
読んでいただき、ありがとうございます!
Tomoko Iimori | 0 0 |2014/09/11|10:48
素敵な想いの記事でした。ありがとうございます!We're Sapporo!
missy | 3 0 |2014/09/10|22:28 返信
コメントありがとうございます。
さまざまな考え方があると思いますが、発信することで考えるきっかけに少しでもなってくれたらという想いで書かせていただきました。
読んでいただき、ありがとうございます!
Tomoko Iimori | 0 1 |2014/09/11|10:46