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【松本山雅】 はじめてのJ1への挑戦 その先の未来へ続く山雅スタイル 【J1】

2015/02/04 11:15配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム


Jリーグ 2015シーズン開幕まであと約一か月。
各クラブJリーグ開幕、ACL参加チームはACL開幕に向けてスタートを切っており、それぞれのチーム力を高めるべく時間を過ごしている。

今年、J1の舞台に初めて挑戦し、新たなる大きな一歩を前にしているチームがある。

サッカー不毛の地と言われ続けた信州は長野。その土地についに初のJ1クラブが誕生した。
それぞれのステージでサッカー史に残る歴史を残し続けてきたクラブ。

松本山雅―。

初めてのJ1の舞台をどう戦うのか 注目される。

●初めてのJ1シーズン 目指すは残留ではなく日本のTop 15

松本山雅はJ2に参入してから3年でJ1昇格を掴んだ。
J2昇格時に迎えた反町監督。反町体制のまま積み重ねてきた松本山雅スタイルは3年で大きく変化を遂げ、前年よりも順位を一度も落とすことなく、ステップアップだけを刻んできた。

ついに掴んだJ1への挑戦権は決して一年で手放す気ではない。
お客さん気分でJ1に行くのではなく、当然J1で戦えるチームになることを前提に戦う。
その目標を残留という言葉ではなく、「日本のTop15に入る」という言葉として表現した。

今までのJ1の戦いをみてきてもボーダーラインとなる勝ち点は35前後。
しかし今年は2ステージ制ということもあり、今までよりも長いリーグの戦い方の方向性として舵を取るのは従来通りとはいかず、メリットもデメリットも生まれてくるであろう。
その中で戦うこととなるが松本山雅はJ1の戦い方ではなく、あくまで松本山雅で積み重ねた3年を土台に 松本山雅らしいサッカーをすると明言した。

当然のことながらJ1はJ2に比べると質は圧倒的に高く、上位に常に顔を出すようなクラブとは大きな違いを感じることとなるかもしれない。
しかし、そこに勝機がないわけではない。松本山雅らしいサッカーをすることができるか否かではなく、これまでの山雅スタイルで試合までの準備をし戦うことで勝機を狙うこととなるであろう。

反町監督は反町サッカーといわれるような反町監督といえば、こういったサッカーという固定概念を植え付ける監督ではない。
松本山雅就任後、それまで監督を務めた湘南ベルマーレでやってきたサッカーとは違ったサッカーを展開した。
それは湘南には湘南にいた選手たちの特徴をいかしたサッカー、山雅では山雅にいる選手たちを最大限いかせるサッカーを組み立てたからだ。

反町監督は名監督といわれるひとつの条件として挙げられることが多い、選手の特性をしっかりと把握し、生かす。
というものを得意としている監督であり、その選手の特性を使う上でチーム構成し、「生かすサッカー」を組み立てるのだ。

自分たちのサッカーというものを持っていないわけではない。
しかし、自分たちのサッカーを相手に当てた時、それが通用しないような予測があるのであれば通用するようにどうしたら良いのかスカウティングを充分にし、そのための準備として試合の組み立てから起用法までを柔軟に動かすことができる。
自分たちは王者ではない。だからこそ練習と準備の部分でできる限りのことをする。
それが反町スタイルであり山雅スタイルだ。

決して美しく巧いサッカーをしているわけではない。
そういった選手たちの集まりでもない。
だからこそ泥臭く、どう組立て戦えば得点することができるか、守ることができるか。
それを常に考えている。
基本として絶対に相手に走り負けないことを大切にしていることで、練習量はどのチームよりも多いと表現する選手たちも多い。
自分たちには足りないところがたくさんある。それを埋めるのは練習あるのみ。
そういった日本のスポーツシーンにおいて「日本スポーツらしさ」といっても良い、健気に練習を重ねるという本来の一生懸命の形を積み重ねることで、応援する人々にもその姿で伝えるものがたくさん生まれた。

雑草軍団と呼ばれる松本山雅が今年、これまでと変わらない雑草魂でJ1に挑むこととなる。

●15名の新加入選手 2015松本山雅

今季は15名もの選手が新たに加入。その中でも他クラブから9名の選手を獲得したのが注目ポイントだ。
主に獲得先はJ2の主力たちであり、J1の鳥栖からは昨年日本代表にも選出され話題となった左利きのセンターバック坂井達弥も加入した。

松本山雅はJ1に昇格したもののレンタル選手だった選手たちが元の所属クラブに戻ったこと、そしてチームのエースとしてたくさんの得点を重ねた船山の移籍などにより、J1を迎える前に大きな戦力を失った。
それだけ反町監督の元で選手たちが育ち、他のクラブからも求められるような選手へと成長したことが結果となった形であろう。
その放出は痛みを生んだ。しかし、去ってしまった現実を引きずるわけにはいかない。
初めてのJ1への挑戦が始まる前から、諦めるわけにはいかないのだ。

そしてチームには明るい話題もある。
昨年大けがをしたチームの期待の象徴でもあるFW塩沢が戻った。
大きな怪我を乗り越えたからこそのメンタルはきっとJ1の厳しさの中でもチームを引っ張ることとなるであろう。
そんな塩沢と共に山雅のサッカーがしたいと望む選手たちも多い。

J1の舞台を経験したことのある選手もいる。
チームの大黒柱的存在である田中隼磨はトップチームとも数えられるクラブでプレーをし経験を重ねてきた。
その他のJ1経験者の選手たちはJ1で悔しい想いを重ねた選手たちも多い。

J2で戦った経験、そしてJ1で戦ったからこその違いや、その雰囲気、挑むメンタルなどは経験者がいることでプレー面でもメンタル面でも伝えることがあるであろう。
今年のシーズンは苦しい時期も想定される。そういった時期にどうチームの中のバランスを取り志気を上げるかという部分はこういった経験者たちが先頭に立ってカラーを打ち出すことで左右されることになる。

何より、反町監督がしっかりとしたJ1経験者であることも力強い。

現在キャンプで新たに加入した選手たちとの融合、そして厳しい練習と見落としがちな基本的である練習をしっかりと植え付けながら、松本山雅はしっかりとした準備に励んでいるはずだ。

当たり前といわれているようなことでも、実は認識の違いがありその少しのズレが一人一人の選手たちにあるが故にバラバラになってしまうことがある。
それを反町監督は回避し、一定とするために基本的なことも改めて説明しながら身体で覚えさせる指導をする。
ゾーンディフェンスという定義をきちんと説明し一定化したことで、選手たちのズレをなくしディフェンスを整えたり、ひとつひとつの決まり事を作りそれがどうして必要なのか、どういった狙いでその決まり事を作るのかということを一人一人が理解することでチームとしての一貫性が出た。

松本山雅は地域リーグから昇格した時から、前年の順位を下回ったことがないチームだ。
地域決勝で優勝した時からこれまで駆け上がってきた。
J1昇格がゴールではない。目標を達成し、これからさらなる未来を形成する松本山雅の新しい歴史が今年、始まりを迎える。

●Jリーグ最大級 松本山雅らしさ「サポーター」という支え

松本山雅には大きな武器がある。
それは松本山雅という場所を確立した熱きサポーターが作りだすホームスタジアム・アルウィンという武器だ。

いつも深緑色に埋まり、松本山雅らしいと表現される応援で包まれるアットホームで落ち着く家のような場所でありつつ、たくさんの戦う魂が集結し選手たちの背中を押すことができる場所として特別な舞台を創りだす。
J1にはたくさんの独自の雰囲気がある。サポーターという表現では浦和レッズが代表的な例として挙げられるが、その他柏レイソルやFC東京、横浜Fマリノスや川崎フロンターレ…とそれぞれの場所でのサポーターのカラーがあるが、松本山雅には松本山雅のサポーターのカラーが確立されている。
温かいと表現されることが多く、実際その温かさも「らしさ」なのだが、それだけではなくしっかりと12番目の選手と呼ばれるサポーターである通り、戦い力になるサポーターたちなのだ。

選手たちがアルウィンで試合がしたいと言葉にするほど、想いや気持ちを感じさせることができる一体感。
松本山雅だけが持つ特別な空気がそこには存在しているのだ。

サッカー不毛の地と言われた信州の地で、プロサッカークラブとして将来のJリーグ入りを目標に掲げ戦ってきた。
アマチュア時で、すでにアルウィンをたくさんの人々で埋めてきた。
不毛の地ではない。footballを心から求め期待していた人たちがたくさんいたのだ。

チームと共にサポーターも戦い歩んできたからこそ
J1昇格は格別であり、その道のりを振り返り讃えた。
そして共にJ1に昇格したのだ。

今年はアルウィンに行ってみたい。
という他クラブサポーターも多いことだろう。
J1の他クラブのサポーターの人々もアルウィンを生で体験してみたいと望む人が多いのだ。
それだけ松本山雅のホームは日本サッカー界において、footballな場所として浸透しているのだろう。

はじめてのJ1の舞台。松本山雅のサポーターたちもはじめての戦いを迎える。


One Soul

2009年から続く松本山雅のスローガン。
いつでもひとつになってきたからこそ、ひとつひとつのステップを刻み続けることができた。
どこよりも誰よりも ひとつに―。

それが松本山雅のSoul。


J1を目指して夢を持って挑戦した 松田直樹の姿も松本山雅のひとつのSoul。

決して簡単な戦いではないが簡単ではないからこそ、その歴史は深くなる。

その先を目指して―。


松本山雅の2015シーズンは 新境地を迎えつつ松本山雅らしさを魅せていく―。

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