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【ガンバ大阪】 天下統一を果たしたガンバ大阪 高いサイドハーフの貢献度 【J1】

2014/12/29 11:25配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム


各チームの移籍や契約更新情報が出る中で、しばらく沈黙を続けていたのが、今年のすべての大会で頂点を獲得し「天下統一」を成し遂げたガンバ大阪。
ベガルタ仙台赤嶺の移籍が発表になり、ガンバ大阪は補強の一手をとった。今後どんな肉付けがされるか注目だ。

シーズンで一番試合をこなし、試合数が多かったガンバ大阪は長い戦いを終えシーズンオフとなり、完全オフ状態になった。
シーズン序盤は決して調子が良いと言えるような状態ではなかったところからの、最後の無双的強さを誇るまでを突き抜けたガンバ大阪。
最終的には全員力で勝ち取った栄光となったが、来季はどんなメンバーで連覇を狙いに、そしてアジアの頂点を狙いに行くのだろうか。

宇佐美や遠藤が取り上げられることが多い中で、強きガンバ大阪を支えている大きなポイントはサイドハーフだ。
前線の宇佐美・パトリックと共に連動し、攻撃を展開するガンバ大阪の質の高いサイドハーフの選手たちにクローズアップする。


●献身的なプレーで支え すべてのアイデアに反応することができる 阿部浩之

今年のガンバ大阪の中断明けからの強さの中で、目立ったのは攻守のバランスという面であろう。
今野がボランチの位置に入ったこともバランスを取る上で大きなポイントとなったことは間違いないが、サイドハーフの献身的プレーがあったからこそだ。
宇佐美やパトリックが得点を重ねる影で、7得点という得点を挙げた阿部は今年ガンバ大阪一番の注目すべき選手だったといって良い。
攻守の切り替えが速く、自分でとりにいったボールをすぐに攻撃へと展開する能力を持っている。
自分で持ち込むこともでき、一度ギアが入れば周囲と比べ一段速いスピードでギアを入れ、スルスルと抜けて駆け上がっていく。
そのプレーはまるでフットサルの選手のように小刻みであり、運動量が多く、サッカーのピッチはフットサルコートよりも何倍にも広いにも関わらずそういった動きをやめることはない。
阿部の90分フル出場が少ないのは、一般的な選手と比べて体力がないからではなく、自身が得意とするプレースタイルが体力の消耗が人一倍激しいからであろう。

守備に献身的でさらに攻撃も多彩な動きを魅せる。
遠藤や宇佐美から出される世界標準のパスにも反応することができ、左右の足からシュートを放つことができる。
身体は小さいがミドルシュートも得意であり、強烈なものからアイデアのあるシュートまで打つことが可能だ。
こぼれ球への反応も天性のものといっても過言ではないほどに鋭く、宇佐美やパトリックがシュートを打つとどこにこぼれるかを予測し、しっかりといつも詰めている。
サイドバックは縦に上がり下がりを繰り返し無駄走ってなんぼといったポジションだが、阿部サイドハーフの位置で縦にも中にも常にボールの予測の可能性がある場所へと動く。
特に相手の苦しい時間帯には、そういった時間帯だからこそこぼれやすいスペースへと誰よりも早く入り込みセカンドボールを奪取する。
相手にとっては疲れた時間になればなるほど阿部の動きは嫌なものだろう。

そしてボールを持った時の姿勢が良い
これはとても大切なことだ。
ボールを持った時に下を向いてボールと足元を見ている選手は視野が確保されていない。前へ行けばいくほどなかなか前をみてボールを扱うことはできないものだが、阿部はドリブルをしていても足元を見るのではなく、周囲をみる余裕があるほどに姿勢が良いのだ。
そして視野を確保することで周囲を観る能力が備わっており、自分が繰り出す次の手、そして相手の出す次の手を予測して数パターンを予測し、最良の判断で動くことができる。
その姿勢は日本サッカーの天才と呼ばれる小野伸二の姿勢によく似ているのだ。
プレーの得意とするところに違いはあるが、ボールを持ち展開するその姿勢と予測は小野伸二のようなスタイルによく似ている。

そう、それはサッカーセンスという名のものだ。

攻撃の場面が取り上げられることが多いが、阿部は守備の面でも貢献度が高い。
過去の強いガンバ時代でも問題視されていた失点の多さ。攻撃サッカーを展開する上で守備リスクが高く、失点してしまうのがガンバのサッカーというように長年表現されてきたが、今年ガンバの失点はリーグ最少。
それはディフェンダーやGKだけの変化ではなく、阿部をはじめとしたサイドハーフの選手たちのプレーによるところも大きい。
動ける。そして守れる。そしてゴールも決める。
攻撃だけに重点を置くわけではなく、守備に関してもポリシーがあり視野が広くバランスを整えることもできる。

日本代表入りもあるのではと評される阿部浩之の来季のさらなる成長と、磨きがかかるであろうプレーが楽しみだ。


●ハードワークで個を生かす 大森晃太郎

同じくサイドハーフとして今年はレギュラーに定着し、負傷の時期もあったもののコンスタントにガンバ大阪のサッカーに携わったのは大森晃太郎だ。
大森も攻守にハードワークし、前線の宇佐美やパトリックといった個を最大限にサポートした。
そして自らが得点することもできる攻撃力も持ち、守備面での貢献度も高い。
大森晃太郎は今季24試合に出場し、スタメン出場が17試合だったが、得点は5。
攻守に走り周りながらシュートでゴールも狙っていくアタッカーが左右にいるというのはガンバ大阪の大きな武器となった。

ジュニアユース時代からガンバ大阪で過ごし、宇佐美と共に同期として共に戦ってきた。何度もケンカを繰り返しながらピッチの上でお互いを高めたこともあり、宇佐美のプレーを知り尽くしている。
宇佐美がいるからこそ、宇佐美がサイドハーフというポジションになにを望んでいるのかもきっと大森には言葉はなくとも伝わっている。
そして大森も、宇佐美をどうすると最高な形でいかすことができるかを知っているであろう。

ユース時代から培った足元のテクニックも武器となり、ガンバ大阪を組み立てる上で重要なサイドハーフの仕事を大森らしさをいう色を付けてやり遂げる。
来季はもっと経験が増えこれから成長していく選手の一人であろう。
まだ22歳。今後が楽しみな選手だ。


●経験あるプレーで引っ張る倉田秋

今季倉田秋はエースナンバー11を付けることとなり、スタートした。
シーズン序盤は宇佐美の負傷によりFWとして出場する時間が長く、なかなか結果が出ず厳しい思いや悔しい思いをした序盤となった。
チームは降格圏と呼ばれる順位まで落ち込み、その責任の一角を感じていたであろう。
しかし、倉田秋のチームへの貢献度は非常に高く、サポーターからもチームメイトからも信頼は厚かった。

実際昨年初めてのJ2で戦ったガンバ大阪は、宇佐美が途中から戻ってきたことにより爆発した印象が強く残ったものの、倉田秋の活躍なくして去年のガンバ大阪は語れないであろう。
代表組がいない時期でもガンバ大阪を支える一人としてチームに貢献し得点を決め試合を決めたこともあった。

自分に厳しく、周囲が評価しても自分の限界を定めることはなく、もっとできたはずと突き詰める。
得点を決めて勝利をしても、得点を決めたから良いというわけではないと自己評価し、しっかりと課題を見つけ克服するために次の目標を定めることができる。
そういった自分に厳しい部分が、選手としての倉田秋を育てている部分も大きい。

攻守においてしっかりと意識を持ち、ハードワークをしつつ自分の特性を生かし、そして周囲をいかすことも考える。
ドリブルはファールでしか止められないような鋭利なドリブルを武器とし、ゴールも常に狙える攻撃性を持っている。
シーズン中波が少なく、監督としてもとても使いやすい選手であろう。

シーズン終盤はベンチスタートとなることも多かったが、途中から出場してもゴールという結果を生み、ここぞという場面で決められたのは印象深い。
特に天王山対決となった浦和レッズとの一戦で、途中出場から2得点目を決め試合を決定づけたゴールはガンバ大阪の優勝への道を切り開いた形となった。

ジェフ千葉、そしてセレッソ大阪へとレンタル移籍を経験し、ガンバ大阪以外でのプレーも経験した倉田はその引き出しを増やした。
他のチームのやるスタイルの中でも自分らしさを表現することができたということは、順応に自分らしさを出すことができるという証拠だ。
外に出たからこそ見えたガンバ大阪もあったはずだ。

もちろんベンチスタートに満足はしていないであろう。
だからこそ来季は競争からのスタートとなる。
試合出場というものに貪欲にこだわってきた選手だけに、勝負をすることは嫌いではない。
自分のポジションを得るために、自分らしい攻守に富んだプレーで存在感を示す。


来季はACLも戦うガンバ大阪。
Jリーグにおいて三冠を達成したガンバ大阪がアジアの舞台でどんな戦いをするのかに注目が集まるであろう。
日本勢はしばらくACLでは結果を出せていない。
そういった中で、ガンバ大阪がどんな布陣で、どんな補強をし、肉付けしたチームを創るか興味深い。

各チーム今年のガンバ大阪を封じるために追う形となり、追われる立場へと変化する。
追われる立場というのは追う立場よりも難しいものだが、ガンバ大阪らしさを演出するサイドハーフの競争と熟成に注目だ。

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