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【日本代表】 日本代表×ウルグアイ 日本代表が捨てた4年 【アギーレJAPAN】

2014/09/08 10:23配信

CHANT編集部

カテゴリ:マッチレポート


新生日本代表の初試合となる日本代表×ウルグアイ代表が札幌ドームにて9月5日に行われた。
日本代表は9月1日から札幌入りし、全員が揃ったのは9月2日のこと。
数日の練習にてアギーレ監督の指導ができる限りで伝えられた。

はじめての船出となった、この試合は課題があって当然であり、課題を見つけるための試合といってもよいだろうが、こんな試合で良いのだろうかというのが率直の感想だ。

日本代表0-2ウルグアイ


●ザックJAPANを捨てたアギーレサッカー

注目されたアギーレ監督初采配。
この試合のスターティングメンバーはこのようになっていた。


川島

酒井宏 吉田 坂井 長友

森重

細貝 田中

本田 岡崎

皆川


センターバックに注目の左利きセンターバックである坂井、そしてセンターフォワードに長身ポストの皆川が起用された。

注目された4-3-3の形は森重がアンカーに入り、インサイドという形で細貝、そしてトップ下に田中順也、右のウイングに本田、左に岡崎という布陣となった。

試合が始まり、前半が終わるまでにあった決定機は1本。
岡崎のクロスに合わせようとした皆川のヘッド。その1本だけが見せ場だったといって良いだろう。

日本代表は4年間、ザックサッカーをしてきた。
それは速いパス回しを中心とし、中から崩す形を継続して行ってきた。
しかし、この日日本代表がしたサッカーはサイドからのサッカーだった。

ディフェンスラインがかなり引いてしまう状態が続いてしまい、それによって間延びしてしまったため、サイドバックが最終ラインから最前線まで長い距離を何本も走ることが続いた。
中盤がないといっても過言ではなく、中盤のディフェンスとしては細貝を中心にボール奪取はできていたものの攻撃の部分ではサイドに出すことが多く、サイドから放り込むサッカーを展開していた。

ザッケローニ監督の元、4年間してきたことは確かにブラジルW杯では通用しなかった。
自分たちのサッカーを繰り返し言葉にする姿は大きな勘違いを抱いてしまったようにも見えた。
しかし、4年間もかけて積み上げてきたものを簡単に捨てたようにも見えるサッカーをこの日展開し驚きもあった。

日本サッカー協会はあくまで継続的にそれを生かしつつという言葉を使ったが、日本代表が積み上げてきたものは本当にリセットされたと見えるようなサッカーをしたのだ。

いや…できなかったのかもしれない。
と、いうのも中盤にボールが収まらなかったからだ。
中盤でボールが収まらないことが原因でサイドに振るしかなかったという見方もできる。

結果的にトップ下のところでボールが収まらなかったため、アギーレ監督は本田を後半途中から真ん中に置いた。
本田はミランでは右のウイングをしているが、本田がミランでウイングで今結果を出せているのは本田以上にミランでボールが収まる選手がトップ下に存在し、供給してくれることも一因だ。
しかし、日本代表では本田が一番ボールが収まる選手なのだ。
本田が真ん中になったことで、ボールが収まりファールを取れるプレーも増えた。
その結果、短調だったサイドからの攻撃ではなく中からボールが前に出るようになり、連動する動きも増えた。

しかし、十分とは当然いえず後半の見せ場は本田が真ん中になった武藤が交代で入ってからの武藤のシュートが左ポストに当たった場面。
素晴らしいシュートを打った武藤だったが、惜しくもポストに当たってしまい、ノーゴール。

結果として1ゴールも生むことのできなかったアギーレJAPAN。
相手のウルグアイは強豪チームということもあるが、それでも本来の力のウルグアイだったかと言われればそれは疑問が残り、ミスから2失点したことを考えると防げる失点だったといってよい。


●負けて良い試合はない

親善試合だから
はじめての試合だから
調整してるから

だから、負けて良い。
という時期ならばお客さんを入れて試合なんてしなくて良いと思う。…ど、毒つきたくなるほどに今は負けていいんだという雰囲気に気分が落ちた。

日本代表がなかなか来ないようなこういった地方開催の試合だからこそ、勝負にこだわった本気の試合を魅せてほしいものだ。
今のこの時期だから仕方ない、というのは理由としてはわかるが、だからといって負けてよかったとは思わない。

親善試合だから仕方ない
相手が強いから仕方ない
のであれば親善試合の意味はなんなのだろうか。
強化資金を使い、相手を招へいし、試合を行う上でなにかを得なくてはならないのは当然だが、親善試合で今のこの時期だから必死に勝とうとしなくても良いのであろうか。
それでは地方にたまに見せてあげますよというアイドルの巡業と同じではないか。

サッカーをしに札幌にやってきたのだから、しっかりサッカーを全うしてほしい。
一生懸命自分をアピールする時期なのはわかるが、一生懸命にやっている選手はフレッシュな選手たちだけだったのではないだろうか。

選手たちは適応力に優れ、さまざまな可能性を見せてくれたと思うが、それでも満足な試合ではなかった。

親善試合の在り方や、ビジネス的要素も必要なにはわかっているが、サッカーとして見たものに記憶に残るようなものがあったかといわれると、なかったという感想だった。

負けた試合を評価するというまでの積極性と試合内容ではなかったと私は思っている。


●光った新しい戦力と海外挑戦から短期間で磨かれたもの


光ったのはやはり初招集された選手たちの躍動だろう。
公開された練習時にはまだどこかお客さんのような遠慮しがちなフレッシュさが目立っていた初選出組も、アップに出てきた表情やアップをする動きを見るとやってやる感があり、スタメン起用された皆川は試合序盤から積極的に自分を出し日本代表の最前線を自分の色で表現した。
長身を生かしたポストプレー、そして走り出すタイミングも海外組が多い日本代表の中で遅れることなく合わせていた。
後半途中で交代となったものの、日本代表前半唯一のチャンスの中心となり、決めたかったであろう表情がなんとも印象的だった。

後半途中から出てきた武藤も自分らしさを出した。
中盤のウイング位置からどこからでも隙があれば入っていく、狙っていくという意図が見え交代したからには一番動こうと運動量で存在感を出し、演出。
放ったシュートは惜しくもポストを叩いたが、この日一番の歓声が上がった瞬間だったのではないだろうか。

残り1分という少ない時間ながら光った10を背負った森岡も、得意の縦への意識でスルーパスを魅せるなど実質3分でセンスを光らせた。
ゲームメイクセンスに評がある森岡らしいプレーをみせ、もう少しみたいと思わせるプレーを魅せた。

初出場でスタメン起用となった坂井は決定的なミスを侵し、失点。苦い代表デビューとなってしまった
終始ラインを下げてしまう原因となってしまったのが坂井だったが、はじめての世界相手という経験で得たものは大きかったのではないだろうか。
必死にどうにかしようとしていた感はみてとれ、できた部分とできなかった部分が明確になったのではないだろうか。

そして光っていたのは初招集組だけではない。
わかりづらい部分ではあるが選手たちのアップとなるピッチ練習から明らかな光りが放たれた。

それは柿谷曜一朗のボールタッチだ。

柿谷はベンチスタートだったため、ベンチメンバーとリラックスな状態で鳥かごをしていた。
たったそれだけで傍から見るとボール遊びをしているだけのように見えるようなトレーニングだが、柿谷のボール…いや、足首のしなり、ボールタッチを見て
周囲にいた関係者たちが一同に背もたれから背中を離すほどに注目をしたほどだった。

元々ボールタッチは繊細で他の選手たちとは違ったやわらかいタッチがあった。
しかし、この短期間の海外経験でさらにそのタッチは他には真似できないものとなり、ボールから吸い付くようなそんなボールタッチが見て取れた。
ボールが当たる瞬間の足への吸収と表現すると良いだろうか。
ボールをポーンと当てるだけで、あの選手はなんだ!?と見る人が見れば衝撃!というようなボールタッチをしていた。

24歳で海外挑戦に出発した柿谷の1か月半ぶりの帰国で魅せた「違い」は今の日本代表の技術という部分だけに特化すれば圧倒的№1だろうと思わせるものがあった。
もちろんそれだけではまだまだ満足もできないし、プレーヤーとして充分ではないものの、この試合で光るものがあまり見られない中でそのボールタッチが一番光り輝き、衝撃だった。

 


日本代表の新しい船出は敗戦スタートとなった。
そして敗戦よりも気になったのは、なにをしたいかわからなかったこと。

アギーレJAPANはなにをしたかったのか。

試す という意図があったかといわれれば疑問が残る。
新しい可能性を確かに試してはいたが、時間的にも役割的にも重点を置いた選手は少なく、長い時間結果の出ない配置と戦術で我慢をした時間が長かった。

はじまったばかりかもしれないが、W杯予選を来年に控え、少しの時間も無駄にはしたくないはずだ。
そして負けて良い試合だったかというと、世界ランキング上位とはいえ、そこまで圧倒的な強さをみせた相手でもなく日本代表が負けて拍手されるような試合でも、試合後にキャーキャー言われる試合でもなかったというのが私の感想だ。


次の試合は9日、日産スタジアムで行われるベネズエラ代表。
この試合ではもう少し意図の見える試合を期待したい。

 

 

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