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【RKU】 オビ・パウエルオビンナが誓う恩返しと成長 背中を追う先輩 FC東京・林彰洋からのメッセージ 【流通経済大学】

2018/05/21 22:20配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム

時は振り返り、桜が咲いた3月下旬。
春のあたたかな風が心地よく晴天に恵まれたその日、大学サッカーシーズンがはじまる直前 流通経済大学サッカー部はFC東京との練習試合に臨んでいた。

結果は、5失点という大量失点を喫しての敗戦。
ゴールマウスに立ったのは、1年生時からチームの守護神を務めるオビ・パウエルオビンナ(3年)だった。

1年生時からゴールマウスに立ち続けてきたが、昨季のインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)前にU-20日本代表に招集され合宿・大会に参加。
「選抜であっても代表であっても、ひとつもうちではポジションが確立されているということはない」と常に話す中野雄二監督の言葉通り、チームを留守にする間の競争は激しく
インカレでは当時4年の新井栄聡(現・清水エスパルス)がゴールマウスに立ち、オビが帰国しチームに合流してからもチームが頂点に立つまで、オビはベンチでチームの戦況を見守る立場となった。

ベンチから見つめた、自身の経験にない「タイトルを獲るチーム」の在り方。
そして、「タイトルを獲ることのできるGK」の在り方。
チームが優勝する嬉しさの半面、ピッチに立てなかったという複雑な想いと、自分とは違うストロングポイントを持った新井の背中から受け取ったメッセージを噛みしめながら、悔しさを刻み自身と向き合った大会となった。

全日本大学選抜でデンソーチャレンジカップ、セルビア遠征と戦い、日本に帰ってきて日韓定期戦とハードなスケジュールをこなし、
長い間不在を重ねやっと合流したチームだが、なかなか思うような結果を出せず失点が多いチーム状況。
どうしたら良いものかとチームで課題を持って苦しんでいる状況の中で迎えた練習試合、FC東京戦だった。

●はじめて目の前にしたプロのGK。なにもかもが違うと感じた、あの日。

FC東京には、逢いたい人がいた。

「流大の先輩でもあり、一緒にやっていたことのある林さん」
流通経済大学でゴールマウスを守った先輩でもある GK林彰洋の名を挙げた。

「震災でJFAアカデミー福島が静岡・御殿場に拠点を移してから、当時清水エスパルスの選手だった林さんと一緒にやれる機会があった。」
と、オビ。

JFAアカデミー福島でサッカーをしていたオビは、震災が起こった当時在籍。
福島第一原子力発電所事故が起こり、JFAアカデミー福島は静岡・御殿場に拠点を移すこととなった。
その時、御殿場・時の栖でキャンプを行った清水エスパルスの練習に、オビも参加できる機会をもらったという。

「人生ではじめてプロの選手と一緒に練習したのが、その機会だった。自分は背はあるけど林さんの大きさに驚いた。
背丈の大きさだけではなく、圧を感じる大きさを感じて、今までに感じたことのないプロの選手とのプレーの質や練習への向かい方等、すべてに衝撃を受けた。
今の自分にはなにもできないな、と。プロではここまでできなければ、という自分の中の基準になった」と、オビは当時を振り返る。

はじめてのプロサッカーという舞台のGK練習。
当時、南米のGKコーチだった清水エスパルスの練習に参加したことで、南米のコーチ独自の練習の方法や求められること等、普段では得られない経験ができたという。
同じ練習していた林彰洋からは、プレー面で多くのアドバイスの声をもらった。

「あの頃よりも成長した自分を…林さんも守った流大のゴールマウスを自分が責任持って守っていますという姿を
もっと胸を張って林さんに見せたかった。でも、まったく見せることができない結果だった。情けないです」。

5失点完敗した試合の後、オビはそう話した。


FC東京のGK林彰洋は、オビにとって特別な存在だという。
同じ流通経済大学のGKとしてプレーをして、プロサッカー選手となった先輩。
チームの守護神、五輪を目指す世代別代表、日本代表…自分のこれから目指すまだ見ぬ先を経験した大先輩にあたる。

震災を経験し移転した先で出会い、目指すプロの舞台のGK。
その背中を見て、プロのGKを実感しながら、必死に良いものを少しでも盗もうと追った。

オビの名を聞くと、FC東京 林彰洋もすぐに当時を振り返り
「一緒にやってたことがあった」と口にした。

●目指す先を走る、先輩・林彰洋からのメッセージ


オビの言葉を伝えると、
「自分も昨年はGK人生で一番悩んだ一年だったし、今やっとチームの状態が良い方向となり高めていくことができている最中で、
今日の試合は練習試合だけど練習ではなく、その状態をより高めるためにもプロとアマの差を突き付けるのはもちろん、
練習ではなく真剣に自分たちも戦って結果を得ることが絶対の試合だったので、得点差がついた試合になったと思う」

「彼が悩んだり壁にぶつかるのはプロだからとか大学だからとかではなくて、プロになってからでも自分のように悩むことも壁にぶつかることが何度もあるはず。
今日、良いプレーができなかったと感じていたとしても、プロとの差を感じていたとしても、情けない なんて思うことはない。」

と、オビに対するメッセージを口にした林。。

悩んで壁にぶつかったからこそ、その先が開ける―。
「経験」を伝える、先輩からの言葉。

「林さんに成長したな、と感じてもらえるような今後にしたい。今シーズンも、もっともっと成長して少しでも近づきたい」。

自身の足りない部分についてオビは、
「チームのために良いプレーをすること。
今日も5失点した中で、チームの流れを変えられるようなプレーを自分がすることが大切だったが、できなかった。
チームに良い影響を与えられるGKになることが目標」と試合後、話していた。


その後、チームは関東大学リーグがはじまり、開幕から3連敗、最下位に沈むなどかなり苦しんだが、
そこからの連勝も経て、今はチームの力が徐々にまとまってきている時。

そして、再び選出された U-21日本代表。
五輪代表への登竜門的大会となるトゥーロン国際大会に向けた代表に選出された。

この大会でオビが目指す『結果』は
「チームの勝利のために必要だというGKになること。
ただ守るのではなく、チームの勝利や結果に貢献できるGKでなくては意味がない」。

昨年末に選出されてから、約半年が経過した。
代表の選出時期はすべて頭に入れ、選出されない自分と何度も向き合い高めるために何が必要かを意識した日々を送ってきた。
大学での練習はもちろん、選抜での経験も、そしてこの日FC東京と試合を行い感じたものも。

「この約半年の時間で自分には変化した部分があると、そういったところを見せなくてはいけないと思っている」と、オビ。

流通経済大学在学時、トゥーロン国際大会を戦う代表に選出されたのは林彰洋も同じく、だった。
「まだまだずっと後ろを追いかけている状態。少しでも近づきたいし、少しでも気にしてもらえるくらいの選手にならなくては」と、先輩の背中を追う。

時は戻り、桜の花びらが舞い始めた3月。
オビのことを語る林が最後にやわらかな表情で口にしたのは

「いつか、同じ場所で―」。

いつか同じ場所に立てる日が来たら―。やれたら―。と、ハッキリと最後まで言葉にはしなかったが、
短くも伝わる、激励。

 

オビ・パウエルオビンナの目指す先は、ハッキリと鮮明に見えている。

 

 

 

 

◇オビ・パウエルオビンナ◇

3年
GK
1997年12月18日生
193cm/83kg
JFAアカデミー福島→流通経済大学

 

 

 

 

 

 

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