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【RKU】 監督からメッセージが籠められた最後の交代 キャプテン石田が掲げた優勝トロフィー 【流通経済大学】

2017/12/25 18:40配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


全員で目指したタイトル。
関東大学サッカーリーグを制することを目標としてきたが、結果は3位。総理大臣杯も3位。
強いチームと評されながらも、頂点に立つことができず今季を進んできた。

最後に残された、インカレのタイトル。
そこにすべてを集中した。

「付属(流経柏高)からきた選手たちは3年の時に高円宮杯プレミアリーグで頂点に立っている。
新潟にいった小泉くん、名古屋にいった青木くん、早稲田から来季名古屋に進むことになった秋山くん以外の選手たちは
うちの大学に進んできた。だからこそもっと全国で圧倒しなくてはいけないチームだったのかもしれないが、
最後の大会で優勝という結果を全員で成し遂げた。選手たちが本当に頑張りました」
中野監督の目には、涙があった。

これまで多くのタイトルを獲ってきた流通経済大学といっても、ひとつひとつ重みがあり、全く内容は異なる。
タイトルに慣れることも、簡単に獲れたことも、ない。
苦しい時期も経験し、うまくいかない時期も乗り越え、選手起用にも悩みながら、
進んできた集大成だった。

決勝のキックオフ。
そこにキャプテン石田の姿は、なかった。

ベンチスタートとなった、キャプテン石田和希。
だが、ピッチ・ベンチ・スタンド…チーム全体が石田の存在を感じながらの試合となった。
「俺たちのチームには、石田がいる」。

大阪夏の陣 総理大臣杯では痛みを抱え、充分に試合に関わることができない試合が続いた。
それでも試合途中での交代や、スタートから途中までの交代といった限られた時間の中で、石田の存在感がチームの精神的な柱となった。
準決勝では、痛みが強く長くても10分から15分ほどしかプレーできないであろうという中で、チームの苦しい状況を考え、どうにか空気を変えてひとつギアが上がるようにしたいと
アップをしていた石田に予定よりも早くGOがかかった。
中野監督、スタッフ、そしてスタンドで応援する選手たちから、「石田、なんとかしてくれ」という願いがその背中に託された。

結果は、敗退。
「なにもできなかったですね。情けないです」石田は試合後、後悔を口にした。
自らの怪我に再び苦しんでいた。自分の思うようなプレーができない。
言い訳にならないという想いを持ちながらも、消化できない気持ち。

リーグ後期を終え、最後のタイトルを獲るために立ったインカレのピッチ。
スタメンで起用された準決勝は、自らの判断ミスによってボールを奪われ、失点に繋がった。

試合後すぐに宿泊先でビデオを観て、徹底的に自分の課題と向き合った。
最後の舞台に向けての準備を最大限にしたが、決勝の舞台はベンチからのスタートとなった。

ピッチでキャプテンマークを巻くのは、守田英正。
寮生活でも同部屋であるキャプテンと副キャプテンは、常に自分の考えをお互いに明かし、意見交換してきた。
お互いの考えていることが言葉がなくてもわかるという二人。
守田は「キャプテンマークを巻いているのは、石田の想いを巻いているのと同じ」
「石田と一緒に優勝したい」と話した。

決勝では5得点と、結果としては大勝となったが、試合の内容としては、途中までどちらがどうなるかわからない、決して簡単なゲームではなかった。
1点を先取し、1-0の状況が続き法政大の度重なるセットプレー等攻撃を受ける時間帯も続き、
ここ2試合1-1で延長となったこともあり、選手交代はさまざまなことを考え動かなくてはならなかったであろう、難しい指揮があったのではないかと感じる試合展開。

そして、与えてしまった失点。
1-1となったことで、中野監督は2枚替えを選択する。
4年 渡邉新太、そして3年 新垣貴之の2選手が入り、すぐに新垣が2点目となるゴールを決める。

その後、法政大の選手が退場となり一人少ない状況となると、
渡邉新太を中心に最後となるこの試合で、強力な流経大の攻撃陣が圧をかけ、ゴールを量産する。

そして告げられた最後の交代。残り5分弱。
「監督からも川本さんからも(川本コーチ)、特に言葉があったわけではなかったけど
『石田、お前が締めてこい』と送り出されたのが伝わってきた。その時が一番グッときて。
涙が出そうだった」と、石田。

背番号6がピッチに入る。
スタンドからは、大きな声援が届けられる。
「流大イチの頼れる男」とチームメイトたちから歌われる 石田のチャント。


個性的な210名以上が在籍するサッカー部をまとめてきた。
石田がいるから
石田さんが言ってくれたから
石田さんが気づいてくれたから
石田がみててくれるから

多くの選手からそういう言葉が聞こえた、今季。

優勝のホイッスルが鳴ると、守田は真っ先に石田の元へいき、キャプテンマークを石田の腕に巻いた。
二人は勝利を噛み締め、抱き合った。
守田は石田と抱き合い、こみ上げてくる歓びで目頭を押さえた。

歓びはもちろんだが、どこかホッとした表情だったことが印象的だった。
石田は4年間を振り返り「嬉しいとか、楽しいとか、幸せ…というよりも苦しいが多かった4年間だった。
怪我ととにかく付き合った4年間で、たくさんチャンスがあった中で、もっと上にいくはずだった4年間だったはず。それとはちょっと…違ったかな。
でもそこで我慢したり苦しんだことで、乗り越えた強さだったり、あきらめない気持ちだったり。
そういうところが4年間で学んだ、成長したところだったのかなと思います。
苦しかった…うん。苦しかったですね。しんどかった。」

終わったからこそ、やっと言えた本音。
自分よりもチームを優先し、常に自分の事に関してはあまりオモテに出してこなかった。
個性的な選手が多い中、ピッチの中だけでなくピッチの外でも問題が起こることもあったが、
石田は選手と個々に話すなど気を巡らせてきた。
どうしたらチームがまとまるか、チームが上向きになるかを考え行動する中で
自分の力だけではどうにもならなかった、と漏らしたこともあった。
誰よりも献身的にチームのことを考え行動しながらも、自らを責めることもあった。

最後の最後で得た、タイトルも嬉しいといった自らの感情の話ではなく
「流大のDNAをしっかり後輩たちに引き継げた」と言葉にした。
1年生の時にチームははじめてのインカレを制した。その時は「4年生についていけばよかっただけ。なにもしていないが、4年生となりあの時の4年生を越えるくらいではなくてはならなかった。
それを受け継いでいるということを、結果として出さなくてはいけないと思っていた」。

キャプテンを務めるかを悩み、覚悟を決めてキャプテンを引き受けた。
自らがプレーできない中でも、怪我をして状況が悪くとも、
時に厳しく、時に笑顔で、チームを鼓舞し、走ってきた。

「監督がこんなことを言っちゃいけない。それでも。
石田は本当にいいやつなんですよ。石田をピッチに立たせてあげたいと思ちゃうんです」
と、中野監督。

残り5分弱で、中野監督が石田を送り出した メッセージのある交代は
今季の最後を感じさせる交代だった。

キャプテンマークを腕に巻いた石田和希が、優勝のトロフィーを掲げた。
石田には、やはりキャプテンマークが似合っていた―。

Writing 飯守友子 Photo 遠山ヤスコ

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