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【RKU】 誰もが頼り誇るキャプテン石田和希。「最高」と言葉にする4年生全員で挑む、最後の決戦へ 【流通経済大学】

2017/12/22 22:11配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム

ついにタイトルまであと、ひとつ―。
簡単な試合は1つたりともなかった。
それはインカレに限ったことではなく、今シーズン通して痛感してきたことだ。

「うちは今年1点差のゲームをしてきている。複数失点をしたときには1点差ゲームでも落とした試合もあったが
(失点が)0や1の場合はほとんど勝ってきた」と話すのは、中野監督。

インカレも2回戦を1-0、3回戦を延長の末2-1、そして準決勝を同じく延長で2-1で勝利して勝ち上がった。
「あまりに点差が開いてしまうと、逆に余裕が生まれてしまい、次のゲームで緊張感を失ってしまうことがある」
今季は、大量得点を記録した試合の次の試合で、厳しい試合をすることが確かに多かった。
その時も、チームの緩みをいち早く察知し、問題と向かい合ったのはキャプテンの4年 石田和希だった。

この日、決してチームとしての内容は良くなかったが、
ついに決勝の舞台へと進み笑顔やホッとする表情の選手が多い中、
石田の表情には、曇りがあった。

「石田は成長過程でずっとキャプテンをやってきた選手」と話す、中野監督。
キャプテンと一言でいっても、さまざまなタイプのキャプテンが存在するが、
石田はまさに多くの人たちが希望と期待を込めて、理想像とするキャプテンを
誠心誠意努めているといって良いであろうキャプテンだ。

高校時には、流通経済大学付属柏高校にて、高体連のチームで初となる
高円宮杯プレミアリーグにて全国を制した。
Jの舞台でも活躍する小泉慶や青山亮太、名古屋グランパスに内定した早稲田大・秋山陽介に
現在同じく流通経済大学にてプレーするジャーメイン良(ベガルタ仙台内定)や山崎歩夢、今津佑太、森永卓、星野秀平など
個性豊かな選手たちをまとめ上げ、成し遂げた歴史に残るタイトルだった。

誰もが「キャプテンは石田しかいない」としながらも、大学4年を迎えた今年。
深く悩んだ末に覚悟を決め、キャプテンとして先頭に立った。
キャプテンをやるからには、と責任を重く受け止めているからこそ、悩んだ。

石田は、今季常にチーム全体に気を張り巡らせてきた。
優勝候補の一角としてリーグで首位に立った時も、安心することなくチームに出るわずかな緩みやほつれを感じ取り、
副キャプテンである4年 守田英正と意見交換をし、向き合った。

石田がそう言ってくれたから。
石田さんが声をかけてくれたから。

そんな言葉が、自然と壁にぶつかった選手たちの口から出るシーズンだった。

タレント揃いといわれるチームだが、決して簡単だった時はない。
大事な大会前に公式戦がない期間に入ると、毎度チームは緩み再び奮い立たせるためのスイッチを探した。
ユニバーシアード大会やそれに向けた強化合宿、Jリーグに進む選手たちの練習参加など
チームの軸となる選手たちの不在が何度も重なり、ひとつになり目標が向かうことが難しい時期もあった。

ほとんどの選手は、自分の去就についてや、今後についてを考えを口にするが
石田は自分の今後に関しては口にしないようにしてきたように感じる。
まずは、チーム。という気持ちを持って先頭で走ってきた。

チームに献身的という姿でありながら、自身は怪我と闘ったシーズンとなった。
「大学に入ってから怪我をするようになっちゃって。大事な時に怪我をしてしまう自分になんでだよ、って思うことも本当に多かった」
1年生の頃からその能力と存在は、チームにとって必要とされてきた。
フィジカルも強くスピードも一段とギアが上がる大学サッカーに、思うように身体がついてきてくれないと悩み、
怪我を重ねる自身の脚と会話をしながら、トレーニングを重ねてきた。
3年生になり、JFLで戦うドラゴンズにて怪我で長期離脱をしないシーズンを過ごしたことは自信に繋がり、迎えた最終学年だった。
しかし、再び痛みと付き合ったシーズン。それでも自分に期待をしてくれる周囲や送り出してくれる中野監督に
応えたいという気持ちを強く持って、ピッチを駆けた。

「石田がピッチにいると、空気が違う。影響力は大きい」と、中野監督。
選手たちも「石田がいてくれるから」「石田さんがいると違う」と精神的支柱であることを語る。

しかし、この日の準決勝。
石田は誰が見ても精細に欠け、失点のきっかけを生んでしまった。

前半序盤。
3年 小池裕太のスパイクの紐が切れてしまいスパイクを履き替えていた。
一人少ないピッチで中野監督からは「繋げ」と指示が出ていたが、石田は繋ぐことなく中途半端に蹴ってしまい
ボールは相手に渡ってしまった。
そこから生まれてしまった失点。

前半を自身
「自分でもどこか、ふわふわしてしまって。自分らしくなくて全然。ダメだと思っても自分を探すような感じのまま終わってしまった前半だった」
と振り返った。

ハーフタイムには、中野監督から厳しい言葉がかけられた。
「失点を厳しく振り返ることができたこともあって、後半はまだ自分を取り戻せたと思う」
ボランチのところで起点が作れず、強力な前線をいかすことができずにいた中で、交代を告げられた石田。

「監督から、キャプテンのお前が迷いを持ってプレーしてしまったら、全体がそうなると。
その通りだと思うし、ちゃんと自分を持たないといけない。迷ってはいけないし、探してもいけない。
きちんと課題を見つけて、みんなで最後の試合となる決勝をしっかり戦いたい」。

試合後、石田はホテルに戻ると、すぐに自身の部屋で試合のビデオを見て振り返っていた。
課題を見つけるの言葉通り、チーム全体そして自分とすぐに向き合い、決勝の準備をはじめていた。

今季、常に一番近くでチームの在り方や雰囲気への意見を出し合い
「お互いの考えていることがわかる」というほど隣で戦い、石田が出場できない時には、キャプテンマークを巻いてピッチに立ってきた守田英正は
「石田をいつも見てきた。大変な想いをしてチームをまとめてきたことも、自分自身と戦ってきたことも、悔しい想いをしてきたことも知っている」
「だからこそ、石田と共に笑って終わりたい。優勝以外考えられないし、石田と優勝したい」。

12月24日。
クリスマス・イヴに行われる 全日本大学サッカー選手権大会 決勝。
石田和希にとって、現在のメンバーで戦えるチームにとって、
最後の試合となる。

「最後」。
すべての大会、節目において、今年最後であることを口にしてきた石田。
ひとつひとつの最後を噛み締めてきた。

「今年の4年生は最高なんです。スタンドにいても心の底からチームのためにと応援してくれる。
ピッチにいる選手もベンチにいる選手も、チームのために、と本気で動くことができるんですよ」。

誇らしさを持って、自らが先頭に立つチームに自信を持って。

最後の決戦へと、挑む―。

Writing 飯守友子、Photo 遠山ヤスコ

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