CHANT(チャント) 日本代表

【日本代表】 香川の言葉は文句でも問題でもなく『危機感』では―。世界に挑む戦い方を模索する、限られた時間。

2017/10/10 12:19配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム


「何の意味のある試合なのか」

この言葉だけが先行しさまざまな論評を巻き起こった。
先日行われたキリンチャレンジカップ ハイチ戦後の香川真司の言葉。

現地で取材をしていたわけではないので、その時の空気や言い回し前後日の言葉を含めてわからない点が多いものの
個人的ながらこの言葉について考えていた。

伝わり方ひとつで言葉というのはいくらでもマイナスになりうるもので、
メディア側の受け止め方も各々というものになる。
だが、この言葉はマイナスでも傲慢からきたものでも文句でもなく
「危機感」であると、個人的には受け止めた。

何の意味のある試合なのか。
この言葉の前には、「W杯という意味では」という言葉がつく。
ここにこの言葉の真意があると感じるのだ。

●最終予選を終え 「予選突破」から「世界との戦い」へ。鍵となるのはチームとして共有する『意図』

ロシアW杯出場を決めた日本代表。
W杯最終予選を終え、これまでの目標であった「W杯出場権を獲得」から「W杯で勝利をすること」が目標をシフトし
これからロシアW杯までの時間を過ごすこととなる。

代表は、クラブとは違う。
日常的に練習をこなせるわけでもなく、限られた時間の中で試合を中心としながら招集された数日間という時間を重ね
短時間でチームのイメージを共有しなければならない。
W杯まで1年を切っている今は実に貴重な時間だ。

時間だけのことに限ってではない。
戦い方も、同じくクラブと代表では違う。
長いリーグを戦い、毎週行われる試合とは違い、W杯は短期集中決戦となる。
中数日で試合をこなしていくことを日本では過密日程と表現されるが、過密日程だからこそ
取り組める戦い方がある。

日本が4位という成績を残した、記憶に新しいロンドン五輪。
関塚JAPANの戦い方として一貫していたのがハイプレスだった。
90分間のハイプレスをかけ続けることは、体力的な部分もあり難しいが、例えば先制点を獲るまでや、後半10分までといった
できる限りのルールを持って、組織的にハイプレスをかけボールを奪いカウンターでゴールを奪うというサッカーで
世界と戦えるチームを創った。

プレスといっても当然ただプレスに向かうわけではく、全員が連動しながら細かな決まり事を持って動く。
ハイプレスをかけるときには、一人がズレると危機的なスペースを与えてしまうこととなり命取りとなってしまう場合があるが
そこを徹底した結果、メダルにあと一歩という結果を残したほどに世界と戦うことができた。

2010年 南アフリカW杯のとき、日本代表はベスト16まで勝ち上がった。
PK戦までを戦い惜敗という結果でのベスト16。
日韓W杯でもベスト16という結果を残しているが、自国開催ということもあり第一シードでグループリーグ組み合わせ抽選という後押しもあったが
南アフリカ大会ではそういったこともなく、グループリーグを突破し、ベスト8にあと一歩というところまで世界に近づいた。

大会直前にシフトされた戦い方は、堅守速攻。
とにかく走るサッカーを実現し、世界を前に走って守り、走って速攻を仕掛けるサッカーで世界に挑んだ。

日本代表になにができるのか―。
高さや身体能力を日本人離れして欧州や南米の選手に近づけることは現実的ではないし、
世界のトップレベルの技術や経験を前に、サッカー発展途上国である日本がプロ化してからの25年で近づきつつはあるといっても
今追い越しているとはいい難い状況だ。
その中で、日本代表が世界と戦うためにはなにができるのか―。

それを追求し、共有し、実現したのが南アフリカW杯であり、ロンドン五輪だった。
世界と戦うために見出した戦い方をチームで見つけた結果だった。

貴重なW杯までの時間の中で、限られた時間と限られた試合しかない中で
チームとしてW杯を想定しながら戦わなければならない。
香川真司の言葉にある「意味」というのは、そういったものを指しているのではないであろうか。

例えば。
細かな部分の取り決め。
ボールを奪う位置であったり、FWが守備でどう動くか→後ろの守備の連携の形の動き方、
先制点までどういったサッカーをするのか、失点をした場合そこからどういったサッカーをするのか、
ボールがどこまで運ばれたらプレスに向かうのか…等、
相手が格下であってもW杯を想定した中で、チームとしてのルールを模索し試しながら、時間を進める必要があるのではないか、と
香川は言っているのではないであろうか。

短期決戦だからこそ、ロンドン五輪ではあのハイプレスを実現できた。
リーグで毎試合あれだけの体力を消耗するハイプレスを全員で連動するチームはJリーグでは難しいであろう。
23歳以下という年齢が若い選手で大部分が構成されているということも大きかったかもしれない。

クラブチームではできないことを、短期決戦では実現できることもある。
時間が限られている日本代表だからこそ、共有できるものがあるはずなのだ。

日本代表が、どう世界と戦うのか。
アジア最終予選で戦っていた戦い方では、W杯では戦えない。
だからこそ、世界という意識を持って格下相手であっても強豪相手であっても自分たちが高き壁に挑むにあたりどう戦うのか。
さまざまなことを試す策のある試合をこなしていきたいというのが、この言葉の背景なのではないかと感じた。

「W杯という意味では正直、何の意味がある試合だったのか」

W杯に向けて、世界と戦うために試合の中での「意図」が必要だ。
香川真司の言葉の真意はどういったことなのではないであろうかと、考える。


本日、キリンチャレンジカップ
日本代表×ハイチ代表が日産スタジアムにて行われる。

W杯を想定しての、試合の意図というよりは
メンバー選考へ向けた試しという要素が強い試合となるかもしれないが、
それでも共有すべきチームとしての方向性や決まり事は選考の上でも重要となるであろうからこそ、
「意図」のある90分であることは、今後に向けて大切なことである。

Good!!(100%) Bad!!(0%)

この記事も読んでみる