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神戸vsFC東京 「岐路に立つFC東京」

2017/05/24 19:28配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

8位の神戸は、リーグ開幕から4連勝と絶好のスタートを切ったものの

その後は3連敗を喫するなど調子とともに順位を落としてしまいました。

レアンドロの離脱は大きく、攻撃にバリエーションを欠いている現状です。

ただ、3バックの導入や、平均身長の高さからくるセットプレーでの強さを武器に

ここ2戦は1勝1分と盛り返し、勝ち点をしぶとく積み上げています。


5位のFC東京は、前節の柏との上位対決に敗れ

上位進出の絶好機を逃してしまいました。

勝っている時は先発メンバーを変えずに次節に臨む傾向が強いチームですが

この神戸戦では、河野広貴のケガもあり、3人を入れ替えてきました。


この両チーム、順位に差はあれど、勝ち点は同じ19です。

まだまだ上位は混沌としていますが、後れを取らないためには勝ち点3が必要です。

前半、狙いどおりのFC東京と、それを許した神戸

この試合、FC東京が序盤からポゼッション率を高めました。

この日、高萩洋次郎とコンビを組むのが、梶山陽平から田邉草民に替わったものの

梶山も田邉もボールを持つことで威力を発揮する選手であることに変化はありません。


逆に神戸は4141のインサイドハーフを使い

FC東京のこの2ボランチへの圧力を高めようとしましたが

FC東京はチームの中心たる高萩と、梶山より広範囲に動きパスを引き出す田邉とで

ポゼッションを安定させ、逆に神戸の守備はなかなかハマりませんでした。


そういった意味では、FC東京の思惑どおりに試合が運んだと言えるでしょう。

FC東京の攻撃パターンは左で安定させて、右で仕留めるというものでした。

左利きでポゼッション型のCB・丸山祐市と

運動量豊富でライン間受けに定評のある東慶悟を使い、相手を引きつけ

右から大久保嘉人が下りてくることで、パスの逃げ場と起点となります。

大久保が下りた分は右SHの永井謙祐が相手DFライン裏を窺います。


これは今までの、大久保が下がってくることが大問題となっていた時と違い

「チームの1つの形としての大久保落とし」にすることができていました。


これは、FC東京のスタイルが整ってきたということと

神戸のインサイドが2ボランチに圧を高めるタスクを負っていたことから

アンカーの高橋秀人が孤立し、脇のスペースがノーケアになりがちだったことの

両方が寄与した出来事だったと言えるでしょう。



神戸の攻め手は、カウンターと大きな武器となるセットプレーです。

これは、FC東京の守備の形からなるものです。

FC東京の守備は442で、2ボラや2CBがポゼッション型であることから

最終ラインを下げ、SHもしっかり下がらせ、奪う位置が低くても繋げられます。

さらに早い時間に先制したことから、その色を強めることができたからです。


つまり、前半の神戸のチャンスは、FC東京がブロックを組んでいる時よりも

守→攻の切り替えの時にこそありました。

神戸・前半最大のチャンスは40分、自陣で高萩から奪い、縦パスを入れ

そのリフレクションを高橋峻希が奪い、持ち運んだ場面でしたし

ファウルになったものの、19分のCKのニウトンのヘッドでした。



前半の趨勢としては、FC東京は狙い通りに展開することができましたし

神戸は、自分たちの低調さから、それを許してしまうといったものでした。


しかし、スコアが動けば展開も変わります。

いや、後半早々にウェスクレイを投入し、展開を変えに行った神戸なのでした。

プランBの精度に乏しいFC東京が立つ岐路

神戸の同点ゴールは、神戸のゴールキックからのものでした。

つまり、FC東京はブロックを組めている状態だということです。

にもかかわらず神戸が得点を挙げられたのは、ウェスクレイの個人技のためです。


神戸は先発として、主力に加え、中坂勇哉や松下佳貴など

攻撃的にしてもポゼッション寄りの選手を多く起用していました。

従って、システムで相手のポゼッションを阻害し、個人の特性でボールを持つ・・

そんな展開を思い描いていたという節が見受けられます。

それがハマらずにリードを許した結果、ウェスクレイを投入しました。

彼は、先発で使うには、いささかバランス面で不安が生じるものの

低いラインでスペースを消してくる相手を崩せる、いわば戦術兵器です。

森重真人の拙い守備もありましたが

3人をかわしてのラストパスは、誰もができる芸当ではありません。

攻撃の引き出しに悩みがちな神戸にとって、ウェスクレイは光明と言えます。



追い付かれたFC東京は、中島翔哉、徳永悠平を投入し343とし、ウタカも投入します。

この間、わずか10分のことであり、ここまでがワンセットと見えます。

つまり、試合前からある程度は計画されたプランだったのでしょう。

しかし、残念ながらこのプランは機能しませんでした。


試合途中から4141を捨て、442としていた神戸です。

これに対して343とすることの利点は大きく分けて2つ挙げられます。

まず、ミスマッチを得たWBのペネトレイトを生かせる、というのが

この布陣変更の1つの利点とすることができます。

ただ、FC東京のWBは、70分以上SBとして走り続けた室屋成と太田宏介です。

彼らは優れたSB、あるいはクロッサーではあるものの

ミスマッチにより有利な1対1を作っても、質的優位を得られるわけではありません。

彼らはミキッチや柏好文、関根貴大ではないのです。

また、神戸は両SHに途中出場のフレッシュな選手を置き、戻らせることで

FC東京の位置的優位をキッチリと潰すことに成功していました。

そして、カウンターで相手に脅威を与えることにも成功していました。


室屋や太田を生かすのであれば、周りの選手をヘルプに向かわせる必要がありました。

では、なぜそれが無かったかと言うと、それが343の2つめの利点です。

FC東京は343とし、ウタカ中島大久保と質の高い選手たちを近い位置に置くことで

そのコンビネーションに期待するという狙いがありました。

そのため、WBのフォローに誰が行くのか、明確になっていませんでした。

ただ、彼らは急造の3トップであり

また神戸も前述のSHの働きにより、その3枚に対して中を固めることができました。

343になってから、攻撃をやり切る形が作れなかったのはその為です。

FC東京の343は、この2つの利点が利点とならなかったことに加え

それと関連して、さらに2つのデメリットも生じさせていました。


343とすることで、SBをWBに上げて負担を減らし

攻撃面に比重を置きやすくなるというメリットは

WBが攻撃をやり切れないことで、かえって守備の負担を増す結果となりました。


また、途中出場から右CBに入った徳永悠平はビルドアップに貢献できず

チームとしても徳永がどう運ぶのか設計されておりませんでした。

従って、途中出場の徳永という運動量上のメリットも生かせませんでした。

FC東京は343への転換によって、二重苦三重苦を負うこととなりました。

それが、ラスト10分の神戸の大攻勢を招いたことは必定です。

林彰洋の出番が増えることは、代表定着を目指す彼にとっては僥倖かもしれません。

神戸の課題は明確です。

すなわち、レアンドロの不在により攻撃のパターンが不足していることです。

重傷を負ったレアンドロは長期離脱であり

代役と言えるポドルスキも合流は先であり、フィットにも時間がかかるでしょう。

課題が明確だからといって解決が近いということもできない

というのが、神戸の厳しい現状でしょう。


翻ってFC東京は岐路に立っています。

豪華な補強ゆえに複数の選択肢を持つことができる=岐路に立つ、という

言わば贅沢な悩みを持っているとすることはできますが

贅沢であろうがなかろうが、悩みは悩みです。

この悩みが解決されなければ、つまりメンバーの豪華さを生かし切れなければ

この豪華さに比した結果は得られないでしょう。

少なくとも、この日の343では、悩みは解決されません。

FC東京は攻撃に転じる時、また守備に徹する時に3バックとすることがありますが

ほとんどの場面で満足な結果が得られてない以上、これをプランBとするには

さらなるブラッシュアップ、または根本治療が必要でしょう。

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