CHANT(チャント)

森脇暴言問題 鹿島・小笠原へ向けた人間性への言及 レオならNG?小笠原ならギリセーフに疑問

2017/05/11 09:43配信

サカログ花子

カテゴリ:コラム


ゴールデンウィーク最大の観客数57000人以上をを集めた 大一番。
浦和レッズvs鹿島アントラーズという注目カードは、リーグ上位対決である以上に、どちらにとっても負けられない相手である決戦と位置付けられた試合だ。

昨季、1stステージでの直接対決では、浦和ホームで迎えた鹿島との上位対決は大きな意味を持っていた。
共にステージ優勝へと向かっていた位置で迎えた絶対に落とすことのできない上位対決では、鹿島アントラーズが勝利。
そこから浦和は3連敗を喫することとなり、1stステージ優勝争いから一歩後退する形となり結果、鹿島がステージ優勝を果たした。
思い返すとこのステージ優勝が2016シーズンの大きな鍵を握ったこととなる。と、いうことは2016年1stステージでの直接対決でのこのカードによる勝敗が大きく運命を変えたといっても過言ではないであろう。

その後、2ndステージを首位で走り、リーグ最多タイ・クラブ史上最高となる勝ち点を積み重ね、ルヴァンカップにて優勝も果たし、圧倒的な強さで年間最高位を勝ち取った浦和。
だが、年間順位としては3位ながら鹿島アントラーズを迎えたチャンピオンシップでは、鹿島ホームで浦和が先勝、最終決戦となった浦和ホーム真っ赤に染まった埼玉スタジアムでも先制点を獲りながら
まさかの2失点を喫し、アウェイゴールという僅差によって鹿島アントラーズが優勝を掴んだ。

鹿島はJリーグチャンピオンとしてクラブW杯へと出場すると、総力を駆使し世界と戦い抜き、日本勢としては初めてとなる決勝へと進出。
あのレアル・マドリードを相手に一時リードするなど、大会の台風の目となり、世界中から注目を集め続けた。
結果、日本中だけでなく世界からの賞賛を集めながらの準優勝というその功績を 浦和レッズとしては悔しさなしに見つめることができなかったはずだ。
レギュレーションという「絶対」を受け止めるしかなく、再び逃した大きなタイトルと抱いた悔しさを噛みしめ、今季こそはと再び頂点を目指し戦い歩めている今季。

鹿島には負けられない。鹿島だけにはもう負けたくない、と迎えたのではないであろうか。
意識をしない相手なはずがない。34分の1という試合ではない。
リーグ開幕から10節目という節目となる5月4日。
ACLへと参戦している2チームだけの試合が行われた ゴールデンウィーク半ばの大一番だった…のだが。

----------------------------------------------------------------------

結果、超満員の真っ赤の燃える埼玉スタジアムで 勝利を再び勝ち取ったのは、鹿島アントラーズだった。
絶対に負けられない戦い、の戦い方を鹿島アントラーズという歴史で知っているのだと思わせる戦いの運び方。
長いリーグを戦う上で必ず存在する「落としてはいけない試合」を勝ち取る方程式を知っているのであろうと思わせる戦いをした鹿島が、風格さえ感じさせる勝利を挙げた。

しかし。
試合後、サッカー界に限らず世間を大きく賑わせたのは、試合中の暴言だった。

浦和・森脇が言い放ったという「くせえんだよ」という言葉が、レオ・シルバに向けられたものであるのか、小笠原に向けられたものなのか。
差別があったのか・なかったのか。

規律委員会が調査に入る形で、結果はグレー。
浦和・森脇の2試合出場停止という処分となった。

ピッチでは感情のコントロールもひとつの戦いの武器ともなり、仇ともなる。
感情の駆け引きのために挑発的な言葉や汚い言葉が飛んでいるのは常と言っても良いほどに、確かだ。

結果として、差別とは確認できなかった。
と、いうことで落としどころとなった印象だが、論点は果たしてそこなのであろうか、という疑問も残る。

対象がレオ・シルバならアウト。対象が小笠原なら良くはないものの気を付けましょう。
ここに問題の焦点があるのかがすでに疑問だ。
外国人に向けられたものならアウト(差別)だが、日本人に向けられたのであれば子供じみた暴言?でギリセーフ。
こういた問題が起きた際に、必ず引き出されることのひとつが「Jリーグを目指す、Jリーグを観ている多くの子供たちへの示し」であるが、「くせえんだよ」という人に臭いと言い放つ言葉・行為が
外国人に向けてはNGだが、日本人ならギリセーフという示しになってしまうのはどうなのかという疑問は残る。

今この時代だからこそ、様々な検証が特別な機関でなくともできる時代となった。
インターネット上では、その場面をクローズアップした検証が行われ、実際に鼻をつまんでレオに向けてであろうと思われる方向と目線の先に言い放っていたように見える動画が多く取り扱われ、
止めに入っていた選手の音声が入っていたと検証された。
一度してしまったこと、出てしまったことは改めて、引き戻すことはできないのだと感じさせる現代インターネット社会。

それでも、サッカーのピッチではこういった感情の駆け引きが行われていることはひとつの「文化」ともいえる。
海外ではもっともっと汚い言葉で差別が繰り返されていることも知られているが、それを根絶しようとFIFAを中心として取り組んでいることもあり、Jリーグでも厳しく取り締まっている。
国や人種を超えた差別はもちろんNGであるが、同じ国の人間ならば人種差別には当たらない、なにを言っても良いのであろうかという疑問を感じる。

言葉にするもどうなのかと考えてしまうくらいに、幼稚でくだらない本当に子どもじみた?いや、情けない一言ではないであろうか。
森脇はもう30歳を越えた、Jリーグではベテランと呼ばれる域となった選手であり、広島そして浦和で実績充分の代えの利かないトッププレーヤーの人の一人であるが故に、残念だと感じた人も多いのではないであろうか。
度々見る執拗な抗議やジェスチャー。森脇は確かにそういった部分が多い選手だ。
同じピッチに立ってきた対戦相手は、そういった森脇の行動や言葉にイライラしたことも一回や二回ではなかったのかもしれない。
それでも、それもひとつの感情コントロールの駆け引きであり、戦い方と言われれば、それはそれでサッカーの持つ文化のひとつなのであろう。

サッカー界に限らず、なんでもクリーンすぎるくらいにクリーンにしようという近年の動きはどうなのかと感じることも正直ある。
差別はもちろん論外で排除すべきことだが。
しかし、問題は誰に言ったか言ってないか、であろうか。
さらには森脇の「小笠原選手の人間性にショック」というコメントは必要だったのであろうか。


嘘偽りひとつなく話していると言った森脇は、マスメディアを通じて「小笠原選手の人間性にショック」という言葉を用いたという報道がされた。

(以下、デイリースポーツより引用)
「鹿島の2.3人の選手に詰め寄られ唾が顔にかかったので、子供じみた言葉かもしれないが小笠原選手に『口がくさいんだよ』と発言をした」
「小笠原選手が何を思って侮辱的な発言と捉えたか、わからない。なので、それ(小笠原が報道陣に対して説明した内容)を聞いて、
僕は彼の人間性にショックを受けた。小笠原選手は僕のことを嫌いなんじゃないですかね」

報道の中にも実際に現場で口にした当事者の言い回しが曲げられて伝えられることはあるが、それでもこの言葉は受け止める側としては「小笠原選手の人間性の疑う」という受け方になってしまう。
試合後、暴言に対して納得のいかない鹿島キャプテン小笠原が報道陣を前にミックスゾーンでこの件について伝え、問題提議をした。
それに対し、「差別のつもりはないのに、マスコミ通じて問題提議し大問題に発展させるなんて彼の人間性を疑う」と、いう受け止めになってしまわないであろうか。
私はそう受け止めたのだが。

処分が決まり最終的には、小笠原選手にもレオシルバにも嫌な思いをさせてしまったと話したという森脇。
最初の時点で「差別ではなくとも不適切な発言がありました。申し訳ございませんでした。」という訳にはいかなかったのであろうか。
リスクマネジメントとして、謝罪は差別を認めてしまうことになるから避けたのであろうか。
誰にいったか、言わないか。差別があったのかなかったのか。
焦点は本当にそこなのであろうか。

浦和ではサポーターが出していた幕が差別に当たるとして無観客試合の処分を受けた過去がある。
差別に関しては厳しくとJリーグが明言しており、なにかが起きたときにはJ2降格処分もありえるという今後が話されている。
だからこそ、差別ではないという強調が必要であり、処分という対象ワードで差別という部分に焦点が集まった。
が、小笠原へ向けられた言葉であればピッチ上の汚い言葉の刺激や感情の駆け引きでグレー、でギリセーフならば
それこそ、それを報じられ感じる子供たちはどう思うであろうか。

--------------------------------------------

浦和は今回も、鹿島に負けてしまったのだ。
結果として、大一番の負けてはいけない決戦に 再び敗戦を喫した。

あの場面は、元々、興梠が土居を倒したことで始まったいざこざだった。
そこに関係していない森脇が遠くから走ってきて、言い争いの最前線に立つ。
浦和としては1点を追いかけている状況
鹿島としては1点リードの状況
時計の進め方に対し、2チームで真逆を求めていたはずだ。

浦和としては負けている状況だからこそ、早く始めたい。
鹿島としては勝っている状況だからこそ、時間稼ぎをしたい。
結果として大きく発展した揉め事は、浦和の時間を少なくし鹿島へ有効な時間を与えてしまった形となった。

負けている状況だからこそ、早くボールを動かしたかった浦和だが
森脇は揉める時間があることでATを長くもらえるかもしれない、という一種のパフォーマンスだったかもしれない。
それも、駆け引きのひとつだ。
だが、そこに問題が生まれるような、幼稚な暴言があり、さらには相手チームの大ベテランの人間性にまで触れ否定した。
差別だと感じたっていうお前の思考がそもそも差別なんじゃねーのかといわんばかりの噛み付き。場外乱闘とはこのことであろうか。

結果として小笠原はその挑発には乗らず、鹿島側はその後冷静に対応となったわけだが
レオシルバであるか否かはグレー。小笠原であるのかということもグレー。
森脇は2試合の出場停止。謝罪は機会がある時に、ということで収束となった。

これがJリーグを見ている人たち含め、子供たち、そしてサッカーを普段は観ていない多くの人たちへの示しとなった。
この件によって、これまでよりもおそらく言葉に気を付けるピッチに、全体的に少し変化があるであろう。
処分の内容よりも、大きく報道され大きく取り上げられたことのマイナスは大きく、浦和としても森脇としてもダメージとなったのは確かだ。
社会的制裁という言葉が使われるが、それでもなんだか腑に落ちない感覚を持っている人は少なくないはずだ。

小笠原へ向けての人間性への疑問投下。
そういった言葉を言い放った森脇の人間性に疑問を感じた人は、少なくなかったはずだ。

Good!!(88%) Bad!!(12%)

この記事も読んでみる