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福岡vs川崎 「自分たちが勝てる部分での勝負」

2016/06/22 18:41配信

武蔵

カテゴリ:コラム

首位・川崎にとって1stステージ優勝が懸かった一戦です。

川崎が勝ち、2位の鹿島が負ければ今節での優勝が決まります。

同時刻開催ではありますが、まずは勝って鹿島の結果を待ちたいところです。


その相手は18位・福岡です。

最下位の福岡が相手というのも

今節での川崎の優勝に期待が集まる理由と言えるかもしれません。


ただ福岡は1stステージ云々ではなく年間順位のために

つまり、残留争いのために、全く消化試合ではないと言えます。

順位や年間予算の差はあれど、熱い試合が期待されました。

福岡の「勝てる部分」

これはどの勝負事でも同じですが

サッカーでは特に、相手に勝つために必要なポイントがあります。

それは

「相手を上回る自分たちの長所はどこか?」

というものです。

それは個人やチーム全体であったり

攻撃か、はたまた守備であったり

また、単純に右サイドとか左サイドとかでも勝敗を分けるポイントとなり得ます。

そして、群雄割拠のJリーグで、しかも同カテゴリーであれば

1つくらいは存在し得るものです。


福岡にとってのそれは、ウェリントンの高さと強さです。

その豊富な運動量から、福岡の攻守の要と言えるエースへボールを集めます。


先制点は自陣ペナ内からのGKのロングボールからです。

ウェリントンが逸らしたボールに邦本宣裕が絡み

そのこぼれ球を上手く処理した金森健志が流し込みました。


その直後に福岡に2点目が入りますが

これも自陣からのロングボールをウェリントンが車屋紳太郎と競り

スローインになったところから繋いで、邦本から金森という形でした。

2点目は、比較的低身長の選手が配置されやすいサイドバックに

ウェリントンというストロングヘッダーをぶつける、よくあるパターンでした。


一方、先制点はウェリントンがCBのエドゥアルドに競り勝ったものでした。

しかし、エドゥアルドはウェリントンに競り掛けることすら出来ていませんでした。


川崎は、特徴である確実性の高い攻撃を仕掛けるための選手構成をするチームです。

福岡としては、ウェリントンをもってすれば

川崎のCBコンビが、そのチームスタイルの象徴とも言える

「身長はあるが、足下の技術に定評のあるCB」のエドゥアルドと谷口彰悟であれば

どこへ放り込んでもウェリントンが形にしてくれるという計算があったことでしょう。


福岡が、やや出来過ぎの感があるとはいえ

「自分たちが勝てる部分」で勝負して、2点をもぎ取りました。


そして、試合の趨勢は徐々に川崎のターンとなってきます。

ウェリントンがこの後、空中戦でそれほど優位に立てなくなったのは

エドゥアルドが足を痛め、井川祐輔が登場したからかもしれません。

川崎の「勝てる部分」

川崎の「自分たちが勝てる部分」といえば、確実性の高い攻撃です。

主に成功率の高いショートパスを駆使し

「相手のベクトルの裏を取る」位置取りを連続し

相手を完全に崩し切って得点を奪う攻撃力が特徴のチームですが

これらは、今さら言うまでもないことでしょう。


しかし川崎は攻撃の中心と言える中村憲剛をケガで欠き

いつもと違って攻撃のリズムが出ません。

代役の大塚翔平は攻守に運動量豊富な選手で

この日も、守備時ではエース・大久保嘉人の負担を大幅に軽減させたり

攻撃面でも頻繁にボールサイドへ流れるなどして

味方にパスコースを作る動きが出来ていましたが

攻撃的なチーム:川崎のトップ下として必要な決定的な仕事は

なかなか出来ていなかったように思えます。


前半23分の川崎の決定機は、完全に一手足りないといった様相でした。

降りて起点となったのがエースの大久保であり

ゴール前に走り込んでフリーでシュートを打ったのがボランチの大島僚太でした。

大島のランニングは見事でしたが、

シュートが大久保のものであれば・・と思わずにはいられない場面でした。


しかし前半のうちに1点を取り返し、この試合と1stステージを盛り上げます。

崩しじゃなくても得点を挙げることは出来る、と言わんばかりに

セットプレーの流れから小林悠が連続性のある動き出しから抜け出し

見事なループシュートを決めました。


これは福岡のミスを衝いたとも言えます。

この際、右CBの堤俊輔は右サイドで数的不利が起きそうだということで

ボールが福岡から見た右サイドに出たのを見て、右側に移動しました。

しかし、基本的に人に付くとしても、サイドへはボールが出てから移動すべきで

まずは中を固めねばなりません。

この場面では右WBの中村北斗を内側に移動させるコーチングが必要で

外に出させてから、全体でスライドするべきでした。


ただ不運もあり、堤の左隣にいたのはウェリントンでした。

セットプレーではニアのストーン役として重要な守備者となるウェリントンですが

組織的な守備においては全く不得手でも仕方ありません。

堤としては、自分が動けば当然、スライドしてくれる・・・

といった思惑があったかもしれないところです。

後半の川崎の攻撃対象は明確で、福岡のボランチに狙いを定めました。

サイドプレイヤーを福岡のSHとSB間に配置してボールを入れ

運動量豊富な福岡のSHをタスク過多に追い込みます。

すると、SHが守備に間に合わなくなる場面が多発するため

福岡はその箇所にボランチが出てきて対応する場面が増えます。

そこから、薄くなった福岡のバイタルエリアから攻めても良いですし

タスク過多のSHを上回るスピードでSBが上がってくれば、それを使うのも良し

といった、相手の守備に多くの選択肢を強いる攻撃を展開しました。


アクシデントで交代カードを1枚使いながらも

ハーフタイムで登里享平に代え、武岡優斗を投入したのも

フィニッシャーとして有効なエウシーニョを

よりゴール近くでプレーさせたかったというのもあるでしょうが

相手のSHとスタミナ勝負をする予定のSBに

よりフレッシュな選手を配置したかったということもあるでしょう。


同点ゴールは狙い通り、球際に強くて厄介なダニルソンをバイタルから引っ張り出し

大島が再び良いランニング、パスアンドゴーを見せ

大塚のミドルシュートのこぼれ球を拾い、PKを獲得したものです。


ただ、後半16分の車屋の決定機の方が、より狙いどおりの形のように思えました。

サイドで3対3、数的同数でありながら

足下の技術や崩しのパターンなど、質において優位である川崎が

スルーによる1人飛ばしとインナーラップを使い、決定機を迎えました。

個人的には、このシーンは非常に好感が持てる攻撃の形でした。



ただ、その後の川崎は追加点を奪えず、逆転は成りませんでした。


最初に与えるビハインドが大きくなると

その分だけ、相手に作戦の段階を用意させてしまう事になります。

福岡の足は後半の15分くらいには止まりかけていましたが

まだ勝っている時と同点後では、違う布陣だったと言えるでしょう。

同点後の、特に守備的な田村友を投入したあとの

とにかく勝ち点1を守るという明確な姿勢は、チームを1つにしたと言えるものでした。



福岡は首位のチーム相手に勝ち点1を獲得しました。

残留争いを考えると、2点リードから追い付かれての引き分けは

良いイメージを持つことは難しいかもしれません。

ただ、戦術的には、完全にシュートまで持っていかれる状態が長く続きました。

しっかりと攻略された中で、粘っての勝ち点1獲得は喜ぶべきでしょう。


そして、それを呼び込んだのは

福岡の「自分たちが勝てる部分」により得た2得点でした。



川崎は最下位相手に痛い引き分けです。

最下位相手に慢心があったと見ることは出来ず

中村憲剛を欠いたチームがアウェイで2点ビハインドを追い付いた

という表現が、内容的にはしっくり来ます。


ただ、しっかりと質という「自分たちが勝っている部分」で勝負して

勝ってもおかしくない、あわや2点ビハインドを跳ね返す

といったところまで持ち込んだのは、さすがタイトル争いをするチームと言えます。


次節は勝って首位・鹿島の結果を待ちたいところです。

鹿島は、カイオはともかく、守備の柱である昌子源も出場停止で欠きます。

中村憲剛の復帰如何でだいぶ事情は変わるでしょうが

チケット完売の1stステージ最終節で

とにかく勝ちが求められるということに変わりはありません。

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