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【FC町田ゼルビア】 当たり前の日々を大切にすること。熟成された一体感が魅せるfootball 【J3】

2015/10/26 22:17配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

ついにFC町田ゼルビアが首位に3差の位置となった。
J2昇格への熾烈な戦いを懸けJ3はリーグ終盤を迎えているが、昇格の絡む2枠、そして優勝争いは目が離せない状況となっている。

昇格を目指していることはもちろん、頂点しか見ていない。
それが今のFC町田ゼルビアの大きなモチベーションとなっている。

直接対決はもうないが、それでも自分たちが勝ち続けることで頂点が見えることに繋がると
日々目指し続けている先が、少しづつ少しづつ切り開き見えてきた。

その場所を決してあきらめてはいない。
昇格という最大の目標はもちろんだが、それよりもリーグの頂点に立つこと。

FC町田ゼルビアは今、全員で同じところへ向けて全力で戦っている。


●当たり前のようで当たり前ではない「チーム」であるということ。

訪れるのは5月以来となった小野路グラウンド。
天皇杯の組み合わせ抽選があった次の日だったが、チームの向いているところはリーグ一点だ。

リーグの試合は残り5試合、FC琉球との一戦を前にしていた、その日。
想定は当然FC琉球との負けられない一戦に向けてのものだった。

アウェイ沖縄という、気候が全く違う場所での戦いとあって
フィジカル的な問題も想定して戦わなくてはならず、試合への準備が難しいながら、全員が目の前の戦いに集中し、そのトレーニング時間1分1分をとても大切にしているトレーニングだった。

最大で勝ち点12以上離れた時期もあった首位山口との勝ち点差は6まで縮まったのも、リーグ試合ひとつひとつを大切に戦い勝ち点を得たことで差が縮まってきた実感と、そこで生まれる優勝の文字を信じ
町田だからこそ持っている一体感を持ち、挑んでいる今。

グラウンドに響く選手たちの大きな声、一人一人の仲間たちのプレーを真剣に目で追い、声をかける。
チームメイトの動きを目にするということは自分がボールを出す際や、動き出しの際にその選手の特徴を掴むことに繋がる。
その選手のプレーを目にすることは連携において予測できることに繋がり、重要なチームメイトの「データ」となる。
その一瞬も逃さず目を離さずチームメイトのプレーを見守り声をかけるのも、今の町田の一体感を生むひとつの要因ともなっているであろう。

相馬監督の声が響く。
選手たちも確認の声、指示の声、仲間を讃える声を響かせる。

チームとして戦っているからこその手ごたえを感じながら、ひとつひとつを戦ってきた町田。

選手たちのほとんどが他のチームでのプレー経験があるからこそ、同じメンバーで同じ時を過ごせることも当たり前ではないことを知っているであろう。
だからこそ、終盤にこのメンバーで同じところを目指し戦っていられることに、このメンバーでしか感じることのできない楽しみ、幸せを意識しながら
トレーニングの貴重な時間を積んでいるように見えるほど、「チーム」を感じる。

それがFC町田ゼルビアなのだ。

●ついに迫った勝ち点3差。積み重ね追う、目指すは頂点

迎えたひとつの負けられない戦いが続く中での
大事な「ひとつ」である、FC琉球戦。


簡単な相手ではなく、ハードワークをしてくる印象がある。

そう話したのは今季町田に加入し、リーグ最少失点という現在のゼルビアのディフェンスを形成し大きな役割をこなすDF増田。
目の前の試合をひとつひとつ大事の戦いたいと話したが、負けられないこの日試合を大きく動かす早い時間帯でのゴールを決めた。
高さのあるその恵まれた身体を持ってゴール前に入り込み、頭に当て放たれたボールはネットを揺らし大きな先制点を生んだ。

61分にもサイドから松本と森村とのワンツーからクロスが上がると、クロスの位置と相手ディフェンスを見て自分の位置を定め止まるプレーで鈴木が待ち構え
頭で冷静に合わせゴールを決めた。

残り一戦一戦を大事に戦いたいという言葉を全員が共通で持っている町田は
その言葉通り集中した試合を展開し、リーグ最少失点を誇るディフェンスはこの日も健在となり0に抑え、
2-0でFC町田ゼルビアが勝利を収め、5連勝を達成。

首位山口がその後3位長野に敗戦となったため、ついに首位レノファ山口に勝ち点3のところまで詰め上がった。

首位山口の独走があり、一時期は多くの人々が他のチームは2位争いをすることになるという見解をしていた中で
そんなことはない、なにが起こるかは最後までわからない、なにかを起こすのも自分たちという強い信念を持って
これまで戦い、終盤を駆け上がってきたFC町田ゼルビア。

昇格という大きなものを掴むために。
昇格に絡める2位以内に入ることが目標ではなく
自動昇格、そしてリーグを一年戦った上で得られる頂点・優勝という位置を狙い日々を戦っている。
その目標に向け、選手スタッフ諦めることなく自分たちの100%で歩んできたからこそ今、その先が切り開かれようとしているのだ。

ひとつ結果を得るごとに、手ごたえを掴み強くなっていく。
それを感じることができるのも、チームとして同じものを積み重ね、同じところへと向かっている強みと言えるであろう。


残る試合は4試合となった。
ひとつも負けられない緊迫した状況が続く。

J3のチームで唯一天皇杯を勝ち上がり、ベスト16進出という道を手にしたFC町田ゼルビア。
浦和レッズという巨大クラブと対戦することになり注目されるが、今はリーグが目の前にある状況であり
リーグに集中した時間を過ごしている。

しかし、天皇杯という失うものがない戦いを全力で戦える違った楽しみがある戦いも持っていることで
全く違った形でチャレンジできる機会があることは良い弾みとなりそうだ。

リーグのことを見据える目は険しく強い目となるが、天皇杯の先を見ると上にチャレンジできる楽しみで弾ませる目となる。
リーグであっても天皇杯であってもFC町田ゼルビアとして結果を求め戦えることに歓びを感じる。
相馬監督の下、全員でチームを熟成させている実感があるからこそ、日々チャレンジできることの歓びを選手たち一人一人が持っているのだ。

相変わらず。という言葉は失礼にあたるであろうか。
できることなら、良い言葉として受け取ってほしい。

FC町田ゼルビアの選手たちは「相変わらず」練習が、そしてサッカーが大好きであると伝わってくる。

全体練習が終わっても一人としてすぐには練習を終えず、ピンと張りつめていた練習時間が終わり
今度は笑顔を絶やさず笑いを絶やさず、全員がピッチに残りボールを蹴り続ける。
監督やコーチも共にその中に入り、全体練習は終わったものの指導は続く。

リラックスしながらもそれは遊びではない。
遊びでただボールを適当に蹴るのではなく、サッカーがまだしたくてたまらないというのが伝わってくるのが、町田ゼルビアの選手たちだ。

サッカーをする場所が、サッカーをする時間があることを
チームという場で、同じところを目指す仲間がいることを
同じ時間をチームメイトと過ごすことを

そこにfootballがあることを―。

それが大切で仕方ないと、伝わってくるのだ。


その時間は「相変わらず」、長く続き。

ボールを蹴る音と声が 響き 続いていた―。

熟成された一体感。

それがFC町田ゼルビアだけが持つ「強さ」となる。

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