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【サンフレッチェ広島】 なぜサンフレッチェ広島は強いのか―。「広島サッカー」を確立させたブレない継続 【J1】

2015/11/05 21:54配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム

とにかく強い―。

今季の戦いを通してそう強く感じるチームが在る。

サンフレッチェ広島だ―。

リーグを連覇した2012年、2013年シーズン。
昨年はリーグ8位という位置でシーズンを終えたサンフレッチェ広島だったが、ナビスコ杯では準優勝と昨年もタイトルに絡んだ。

それでも、今季シーズン前は今年の広島を今の位置になるという予想をするのは難しかったはずだ。
チームの顔ともいえる攻撃のトライアングルにおいて、大きな戦力だったシャドーを2枚失った広島はどういったサッカーをするのか。
戦力ダウンは否めないと思われていた。

しかし。
結果的には良い意味で通ったひとつの歴史と振り返ることができるほどに
今、「強さ」が確実に存在するのだ。

広島らしさ―。
長年チームの形態を変えずに突き進む、信念。
それがサンフレッチェ広島だからこそ在る「強さ」を生んでいるのだ。

その理由は「継続」にある。


●簡単に変えることのない広島サッカーの追及そして継続

現在のサンフレッチェ広島は年間順位首位、セカンドステージも首位という位置にある。
シーズン通して負けた数は現在6。浦和レッズの4には及ばないが、それでも首位に立つということは当然敗戦は少なく、今季は得点も多く失点が少ない。
攻守に良さを感じる数字が並んでいる。

サンフレッチェ広島がシーズンを制覇した2012年。それから迎えた2013年は、前年度チャンピオンを追いかけての打倒サンフレッチェ広島で各チームが挑む形となった。
最終節までもつれた優勝争いだったが、結果的に連覇という形で広島が頂点に立った。

昨年は8位という位置に終わったが、なぜ結果がでなかったのか。
それは何度も書いてきたが、夏場からのダウンが大きく影響したと思われる。
首位の背中が見える5位という位置で中断期に入り、長めのキャンプで課題となった部分や広島にとって新たな戦力となるであろう若い選手をテストし手ごたえを得たが、涼しい土地という快適さを感じる天候の元で行ったキャンプは、日本独自の蒸し暑さの中で戦う夏場の戦いにコンディションを落とすという形でリスクを生んでしまった。
さらにW杯から戻った広島を代表して日本代表で戦った青山を負傷で欠いたことも痛かった。
守備に絶対的な自信を持っていたであろう広島が大量失点を許してしまう試合もあるなど、苦しく長い時間を経験した。
結果が出ない時間は長く感じ、生まれてしまった重なるイライラが元となったか選手起用に左右してしまうような事件も起きた。
それでも広島はそういったことを乗り越えるため選手や監督、スタッフの強い絆を元に慌てることなく、その時間を紐解いていった。
どんな状況となっても広島「らしさ」を全うした。
新たな可能性も試しながらも、ブレることはなかった。

昨年の結果によって、広島が築いた一時代は落ち着いたと感じた人も多かったかもしれない。
オフには代名詞ともいえる1トップ佐藤寿人を頂点とする名物シャドーコンビが揃って移籍を選択したことにより、厳しいオフとなった。
二人を欠いて、広島のサッカーはどうなるのかという心配をも生んだ。

選手がいなくなった。
共に経験し戦った選手たちが毎年のように引き抜かれ、その度に広島は苦しい想いをすることになるが
それでも選手がいなくなったからという理由で戦い方を変えることがないのが広島「らしさ」だ。

基本的なフォーメーションを今年も代えることなく、そのポジションにハマる選手を競争という形で当てはめた。
石原の代わりでもなく、高萩の代わりでもなく、広島サッカーのシャドーという位置に入る選手を選手個々のそれぞれの能力を見て感じながら、テストし続けた。
ポジションのコンバートもあるなど、森保監督の決断も大きなものだったであろう。

サンフレッチェ広島には、サンフレッチェ広島のサッカーがある―。

現浦和監督であるペドロヴィッチ監督の教えを継続しているというのも一理あるが、
ペドロヴィッチ監督の創った基盤だからといって、広島と浦和は同じサッカーをしているわけではない。
創ったものが基盤になっているのは確かだが、それを継続しつつ肉付けし、森保監督の指導、経験を浸透させ信頼を厚くした「チーム」あってこその、サンフレッチェ広島なのだ。


広島の強さは連覇をした時から変わっていないわけではない。
いや。
やっていることは基本は変わっていないのだが、チームとしての熟成と経験を重ねている。
その「今」になるのに必要だったのは「時間」だ。
時間はお金では買うことはできない。
選手や監督を交代や獲得したことで得られるわけではなく、時間は時間を過ごさなければ得ることはできない。

同じことを何年もかけてやっているからこそ、そのサッカーを熟成させ「今」のチームを創ることができているのだ。

監督を交代する度に、戦い方もシステムも代えてチームを1から作り直し
その度に適合しそうな選手を補強し、監督が代わってしまうとその選手の使い道がない…そういうチームの作り方をしているチームが多い中で
広島は「広島のサッカー」という確立を元に、我慢する時間も過ごし簡単にその形を捨てることなく、チーム編成をし戦ってきた。

長年同じ戦い方を基盤とすることで、対戦相手に丸裸にされてもなお、広島は広島のサッカーを追求し続けている。
胸を張り、全力で広島サッカーを 前面に押し出して。


●どんな状況となっても簡単に慌てることなく、いつでも落ち着きを備えた「信念」


広島の試合に出ている選手たちの年齢層は、高い。
現在、ベテラン選手となると若手の育成を掲げ選手を放出するチームが多い中で、珍しいと表現できるチームのひとつともいえるかもしれない。
世代交代ばかりが注目を集めがちだが、それだけがチームの在り方ではない。
広島は本来の重要なことを忘れてはいない。
ベテラン選手を育成という理由からチーム編成から疎外し、若手にクラブが席を明け渡すような現象が近年多く起きているが、広島は広島サッカーを表現するに能力の高い選手を年齢問わずに起用している。
経験豊富な選手たちとの競争を経て、より広島サッカーを強く表現することができるとされた時、ピッチに立つことができる。

チームの未来を考えることも、当然サッカークラブには必要だが、
若い選手を育てるために我慢をしながら試合で起用するという与える育成ではなく、試合に出たいのならば経験も能力も高い選手たちから奪うことが必要というのが広島の在り方だ。
年齢関係なく、広島サッカーを理解しプレーすることができ、相手に脅威となる選手。
そして広島の強さの理由のひとつである、どんな時も冷静でいられることも必要であろう。
これも経験が必要なことであるが、若い選手が起用された時どうしても出てしまう焦りや慌てなどがあっても周囲の選手たちが落ち着いてカバーできるよう構成されている。

二度の連覇を経験し、広島が上昇するまでを経験している選手
J2降格や昇格を経験した選手もいる。
その選手たちは、よっぽどのことがない限り、落ち着きを失うことはない。

失点をしても、チームのサッカーができない試合であっても、追い込まれても、いつでも冷静に対処できる。
怯むことはない。さまざまな場面で経験を重ねたからこそ、同じサッカーで時間を重ねてきたからこそ、慌てることなく冷静に試合を進められる。
経験に当てはめ次を繰り出すことができること、先に進む術を知っていること。
それがサンフレッチェ広島が分析され続け丸裸にされてもなお、対戦相手が広島を苦しめることが難しい理由であろう。

監督が代わりサッカー自体に変更があり、システムがその都度変更され、その度に選手たちは新たな決まり事を取り入れ
プレーを変えなくてはいけないチーム作りよりも、
チームとしてのサッカーの方向性を確立し、継続し時間を長く持つ持ち続けることで熟成されたチームを創る。
昨年、結果が出たとはいえない年になり、さらに複数の主力選手がチームを離れながらも、芯を変えることなく今季の準備を行った。

やっていることは変わらない。
ただ、昨年苦しんだ時間を経験として刻みプラスされたことに加え、ポジション争いにおける競争が激しくなったことで、ベテラン若手関係なくチームに新たなる刺激が加わったこと
これまでと変わらない形ながらも、そこに選手の個性が融合し広島サッカーがより進化したことで、今の広島が在る。

守備陣の安定は固く、今季は負傷により3バッグの重要な一角である塩谷を欠いた時期もあったものの
その時期を乗り越えるために起用された選手が経験を積めたこと、結果をほぼ落とすことなく戦えたことは自信にもなったはずだ。
攻撃も今年は脅威といって良いであろう。
心配されたシャドーの位置にはシーズンを通してさまざまな選手が起用され競争したことで各選手に得点が生まれたことも大きく、そして現在その競争から抜き出た存在となったコンバートによってその位置を確立した柴崎や、新たな戦力ドウグラスはチームにとって欠かせない存在になったと言える。
今季、佐藤寿人が得点を重ねることができるのも佐藤寿人の能力はもちろん、攻撃を組み立てる選手たちのアシストも大きい。
昨年の前半は課題とされたサイドの運動量もかなりのものだ。キレキレの柏に年齢を感じさせない貢献と技術の高さのミキッチ、競争に負けられない清水の攻守のセンスが光り、ポジションを奪われ栗しい時間を過ごしながらもチームに大きな存在であることに変わりのない山岸の復活ともなるゴールなど
誰が出場してもそれぞれの色を持って広島サッカーを最大限に表現できるサイドの選手たち。
ボランチは鉄板ともいえる青山、森崎和幸だが、サッカーを誰よりも知っているのではないかと感じるほどに二人の安定感はJリーグ随一であろう。
試合の行方を読み、自分のポジションも他の選手のポジションも多彩に動かしながらフォーメーションを崩さない。
リスク回避の術を全て知っているのではないかというほどに、ボールのないところでも貢献をし続ける。

ピッチに立つ11名、そして交代枠の3名以外の試合に出ることができない選手たちは、試合に出ている選手たちを一番身近に見ながら感じているはずだ。
あのレベルに達さないことには試合には出られないという高い壁を。
自らその壁を乗り越え掴まないことには、そしてそれ以上の個性がなければ、広島では試合に出場することはできない。
それはとても難しく、険しいであろう。
しかし、追いかける目標が高いからこそ、そこに到達したときには、国内で指折りの選手となっているはずだ。
ピッチに立ち続けている選手たちも安心などしていない。
控えている選手たちがどれだけの努力と我慢をしているのを理解しているからこそ、その責任も背負いプレーしている。
下からの突き上げがあるからこそ、まだまだ負けられないとモチベーションの向上にも繋がっていることであろう。

「継続」することで、

強さを生んだ。
安定を生んだ。

ファーストステージ3位。
セカンドステージは現在首位。
そして年間順位も現在首位。

長年徹底し熟成した「広島サッカー」は、今季リーグを獲ることに向かっている。

ブレることなく進んだ道。

その一本通った信念が日々重ねられることで大きくなり、今「強さ」を誇っている―。

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サンフレッチェフアンとして、久々に感動を受けた文章です。全国のサッカー関係者、サッカーフアンがクラブの在り方を考える機会になれば、日本のクラブサッカーも世界に誇れるようになる時期はそう遠くはないですね。

サンフレ大好き爺  Good!!1 イエローカード0 2015/12/17|10:38 返信

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