CHANT(チャント) 清水エスパルス

清水はなぜ降格したのか そして、どうやって立ち直るか

2015/11/02 18:54配信

武蔵

カテゴリ:コラム

清水の問題点とはなんだったのか

「大榎監督は『選手はロボットじゃない』と言う」

と、インタビューに答えたのは、清水MF・石毛秀樹です。

この将来有望な、年代別代表での実績は豊富な若者は

清水ユース時代から、清水前監督の大榎克己氏とは師弟関係でした。

石毛はその中で

「チームとしての決まりごとがある中で、選手の自由な発想を大事にしてくれる」

としました。

確かに大榎前監督は、清水のトップチームの監督に就任した際にも

「選手はロボットではない」

「選手にロボットはいらない」

という発言をしていたことは有名です。

この発言は、良く言えば、選手の自主性を重んじる

という表現をすることが出来るでしょう。

ただ、プロとは結果で語られるものです。

大榎前監督の前任であるアフシン・ゴトビ元監督時代に

17試合で勝ち点21を獲得したのと比べ

大榎政権では31試合で同じく勝ち点21を獲得するに留まった

という結果を今さら持ち出すまでもなく

クラブ史上初のJ2降格という結果が出ているからこそ

悪い方の表現をせねばなりません。

大榎前監督のそのやり方は

選手の即興性に頼った、行き当たりばったりなやり方だった、と。


チームの売りのはずの攻撃面は、そのような再現性に乏しい

計算のまるで立たない類のものと言えました。

では、守備はどうだったでしょうか。

大事な攻守の切り替えにおいてはどうだったでしょうか。

「チームの決まりごと」は機能していたのでしょうか。

そもそも、それは本当に存在していたのでしょうか。

大榎監督が清水のトップチームで見せたサッカーは

そういう疑問が立ってしまう内容のものであったことは否めません。


今回の降格を、清水の育成に求める声は大きいものがあります。

地元出身選手や、ユース出身の選手が

トップチームの中心と成り得なかった、という声が聞かれます。

育成年代において、過度の自主性の尊重は

いろいろな見方が出来る中で

選手、つまりは子供へ丸投げしているとも言え

最近では、そもそもの基準となる「型」の指導と

その「型」自体の設定が重要視される傾向にあります。

型が無ければ、困った時に立ち返る場所が無い状況となり

自分たちのサッカーができない場面において

採れる選択肢が限られたものとなってしまい

肝心な場面で、その場の成り行き

つまり、即興性に頼ったチームになってしまいます。

そう、それは大榎体制下における清水のトップチームのように・・・。

清水というクラブ内での評価基準に問題があったのでは?

プロのサッカークラブにとって

まず大事なのはトップチームの結果です。

今回、清水のトップチームは

初のJ2降格という結果が出ました。

トップチームに問題があり

ユースにも問題があったとしたら

その両方に携わった人物の責任は問われるべきでしょう。

2008年から2014年7月まで清水ユースを率い

2014年7月からほぼ1年、トップチームの監督を務めた

大榎克己氏は、今回の降格の、極めて重要人物と言えます。

プロサッカークラブの育成年代

とくに2種年代であるユースの、1つの結果

つまり、トップで活躍する選手を育てることができなかったこと。

それと、1年半のトップチームの指揮においても

満足な結果を残すことは出来なかったからです。


そして、それ以上に問題なのは人事に関することです。

その大榎氏を評価し、重要なポストに据えた人物は

負うべき責任が極めて大である、と言えるでしょう。

もっと言えば、その評価基準そのものが問題と言えます。

この評価基準が、現在のJリーグのトップカテゴリーにおいて

結果を出すためには不適当であった、という答えが

今回の、クラブ史上初のJ2降格、であったと言えます。

そして、その評価基準を是とする空気の積み重ねが招いた結果

であることは否めません。


大榎氏のサッカーのどのように評価したのか。

「自主性を重んじる」彼のどこを評価したのか。

清水がこの先、プロのサッカークラブとして結果を出したいのであれば

その評価基準を一新することが求められるでしょう。

清水再建のカギを握るのは左伴社長

大榎氏の後任であった田坂和昭監督は

442の理性的なサッカーの構築に努めましたが

10試合勝ち無しと、こちらも結果を出すことは出来ませんでした。

その為か、経営危機にあった大分をJ1に導いた実績もあり

清水再建にとって重要なピースと思われていましたが

この度、今シーズン限りで退任、という報道が出ています。

初めてJ2で過ごすシーズンに向けて

先行きは、今のところは不透明であると言えます。


それでも、今年2月に就任したばかりの左伴繁雄社長は

柏に0‐3と敗れたホーム最終戦の後のセレモニーにて

J2の舞台について

「フロントも含め、サッカーを正す絶好のカテゴリー」とし

J2を侮らない、という宣言をしました。

さらに、左伴社長によって増加した予算額は

J2ではトップレベルと言って良いものを維持できるでしょう。

戦力は維持しつつ、中身を変えることが出来るということです。

これは、よく言われているところの

J2によるリセット効果を

発揮するチャンスであることは間違いありません。

それが現在の清水にとって、結果を出すための最短ルートと言えそうです。

そのルートをたどる為には、この左伴社長のように

現実を直視し、問題点を見据えることが肝心です。

そしてそれを、清水エスパルスに関わる全ての人間が

自覚することこそ、必要不可欠と言えるのではないでしょうか。

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