【大宮アルディージャ】 勝利で終えた最終戦…J2降格が決定。勝ち点1の重みの現実 【J1】
2014/12/08 16:57配信
カテゴリ:マッチレポート
勝ち点1の重み―。
その重みを知っているJリーグ選手は、実は少ないかもしれない。
勝ち点を少しでも積み重ねることに意味があると知りながらも、その重みを肌で感じたことのあるチームや選手は極一部であることだろう。
勝ち点1差。
その差は無情にも大きく、運命を分けた。
ホームで迎えた最終戦。
勝利で飾ったにも関わらず、大宮アルデイージャの降格が決定した。
●低空飛行を続けた今季
今季こそは残留争いをしない位置にとシーズンをスタートした大宮だったが、苦しい戦いはシーズン中ずっと続いていたといって良いだろう。
今季スタートさせた時は、大熊清氏がチームの指揮をとっていた。昨年大宮はフロントと現場に大改革を行った。
なにもかもを変えてしまうのはチームの危機を生むことも多いが、思い切った決断がこの場合でもマイナスに動いてしまったと結果的にみてとれる。
大熊清監督が指揮をした大宮アルディージャには、戦術というものがみられないサッカーが続いた。
8試合連続勝利なしなどリーグの中盤ですでに降格圏に位置し、さらには最下位に位置していた徳島ヴォルティスに敗戦するとサポーターも意見を持って動いたほどだ。
それによって監督交代の空気が一気に高まったものの、いったんそれを社長が否定。
しかし、結果的には埼玉ダービーで浦和に完敗した後に、監督交代という道となり、大宮は新しいチーム体制にすることで降格圏脱出を狙った。
選手の質としてはズラタンをはじめ、外国人選手を中心に良い選手がそろい決して降格が妥当というようなチームではない。
監督交代後、今季初の連勝を記録。その後ひとつ負けたものの、3連勝も記録した。
その結果、一時は降格圏を脱し14位の位置まで上がることができていたものの、その後、失速。
大宮アルディージャはJ1昇格をした2004年からの10シーズンの中で、たくさんの降格争いを経験してきた。
大宮アルディージャは最終順位を一桁順位で終えた経験は今までにないのだ。
残留争いをしてきた経験は多く、褒められた結果ではないかもしれないが、それを経験してきた者だけが知る熾烈さ、戦い方を知っている。
それは残留争いをしたことがないチームよりも、経験値として高く、はじめての苦しみではなくその苦しみをどうモチベーションに変えるかプレッシャーを苦しみではなく勝つために使うか、勝ち点の重み、得失点差の重みを知っていたことだろう。
何度も経験してきたフロント、そして戦ってきた選手たちはもちろんサポーターも同じく知っていたことなのだ。
最終戦を前に、1つ上の順位に位置していた清水エスパルスとは勝ち点がすでに3離れていた。
清水が負けた上で勝利をして初めて、清水と同じ土俵に立つことができるというほどのギリギリの状況。
大宮アルディージャには勝利の道しか残されていなかった。
降格をするチームのほとんどが後悔をたくさん抱き、シーズンを戦っているが、その後悔は一度抱えず勝利のためだけに準備した最終戦となった12月7日。
大宮アルディージャは、すでに降格を決めたセレッソ大阪と対戦した―。
●笑顔がなしの勝利。勝ち点1で失う大きな代償
試合は大宮のペースが続く試合となった。
立ち上がりこそ、セレッソ大阪がボールを持つ時間があったものの、試合を優勢に進めたことで何度もセレッソ大阪陣内に迫った。
両サイドバックが高い位置を取り、積極的に攻撃をしかけると前半21分。
ズラタンがペナルティエリアに侵入すると、マイナスのボールを供給し、そこに走り込んでいた金澤が右足で合わせ先制。
ゴールネットが揺れた瞬間、残留を信じるNACK5スタジアムは大きく揺れた。
後半はセレッソ大阪が試合を動かす時間にもなったものの、それでも集中して守備を崩さず気迫に溢れる戦いを魅せた。
後半5分には、プレスからボールを奪うとムルジャがゴール。
試合を決めるために必要な大きな追加点を奪うことに成功し、大宮は勝利へ向かってスタジアムを一体化させた。
セレッソ大阪も最後の意地をかけての戦いのために、試合終盤には怒涛の攻撃を展開。
しかし、大宮の集中力途切れることのないディフェンスは失点を許さず、試合はそのまま2-0で大宮が勝利した。
終了のホイッスルと共に、静まり返るNACK5スタジアム。
誰も喜ばず、誰も発さない。
静まり返る満員のスタジアムは、その結果を告げていた。
J1最終戦。
勝利で終えた大宮アルディージャだったが、J2への降格が決定。
J1昇格を果たしてから10シーズン目を迎えたが、はじめてのJ2降格という結果となってしまった。
清水エスパルスは最終戦でドローとなり、勝ち点1を積み上げた。
その結果、J1残留が決定。
大宮アルディージャは来季、J2で戦うこととなった。
多くのサポーターが最後まで声を枯らし、応援し、信じつづけた。
サッカー専用スタジアムであり、素晴らしいスタジアムとして評されることも多いスタジアムを有し、大宮駅からオレンジで染めるアルディージャのある街・大宮。
試合前は夕焼けによって空もオレンジ色に染まり、すべてを味方に付けている雰囲気に包まれていた。
しかし、現実は厳しかった―。
今季積み重ねた勝ち点は35。
毎年残留ラインは35前後と言われているラインだが、今年も35前後で残留と降格の明暗を分けた。
降格という現実を受け止め来季への準備をいかに早く取り組めるか。
J2は恐ろしい魔物が住む場所だ、簡単ではない。
残留力が毎年話題となっていた大宮アルディージャだったが、残留力という経験がありながらも、降格が決定してしまうという歴史が刻まれた―。
感動した
名無しさん | 0 0 |2014/12/09|18:17 返信