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明確な意図のあった鹿島、守備文化のない浦和

2014/10/31 18:03配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

10月26日、Jリーグはいよいよ佳境、第30節を迎え、上位対決は天王山と呼ばれる時期に入ってきました。


首位浦和と、その浦和を勝ち点差7で追う4位鹿島との一戦は、残り5試合ということもあり、まさに優勝を賭けた大一番です。

その内容においても、熱戦と言うに相応しい好ゲームが繰り広げられました。

しかし、ここで一つ疑問が湧きます。

浦和は挑戦を受ける立場でした。2位のG大阪が迫っているとはいえ、ホームで勝たなければ優勝が見えてこない鹿島とは違い、

余裕をもって試合に臨めたはずです。

この大事に戦いたいはずの一戦が、おそらく不本意ながら手に汗握る一戦となった原因はどこにあるのでしょうか。
それを浦和の守備に求めることが出来るかもしれません。それはいったいどういうことなのでしょうか。

ボールを持たされる浦和、ハマる鹿島のプレッシャー。

まず明記しておかねばならないことは、浦和は3分になんでもない競り合いからペナルティを貰い、それを外したことです。

これを決めていたら試合の趨勢は一気に浦和に傾いていたのに・・・というたられば論です。

また、そのようなビッグチャンスを逸したことにより、鹿島という勝者のメンタリティを持つチームに一息つかせてしまうことになりかねません。

果たしてこの試合では、この直後の宇賀神、マルシオ・リシャルデスのシュート以来、シュートで終わる事が出来なくなります。
(逆に言えば、味方GKのPKストップという息を吹き返すチャンスの後に、この2本のチャンスを与えてしまう鹿島も、この順位に居ながら過渡期である、ということが言えるかもしれませんが)

ではそれはなぜか。
浦和の常套手段である415に対し鹿島は基本的に442で対峙しますが以下の2つの方法で数を合わせてきました。

①ボランチのどちらか片方がDFラインに入り、浦和の縦パスを後ろからチェックに行く

②2列目の遠藤とカイオが浦和WBや森脇槙野の両CBにマークにいき、突破をさせない

欠点として、2列目のサイドの2人に多大な運動量を強いることになります。

現に、遠藤とカイオは同点の中盤から終盤にかけて、それぞれ5分と違わず途中交代をしています。

遠藤の運動量や、前半終了間際のカイオのプレスバックなどは目に見えて効果が上がっていることを示すものではありますが、

この戦法を取る場合、交代枠の用意が必要となるということでしょう。

ともあれ主にこの2つにより、浦和は次第にボールを前進させることが困難になっていきます。

そして鹿島は、浦和がボールを前進させられないのであれば全体を押し上げ、DFラインで繋ぐ浦和にプレッシャーをかけ、

浦和にとって分の悪いロングボールを入れさせ、そのセカンドボールを回収することに成功し続けます。

先制点はそれを続けたことによります。

攻守一体のチームプレーで、そこには良い守備を良い攻撃に繋げるという意図を感じます。

カイオのファインゴール。その裏で問題が浮き彫りの浦和の守備。

鹿島の先制点。それはカイオのファインゴールでした。

日本の高校(千葉国際高)に留学し、そのまま鹿島に入団したカイオ。

その経緯から、将来帰化して日本代表へ、という呼び声も高いカイオの活躍は、このファインゴールのみならず、

上記の献身的な守備、また技術を生かしたポゼッション、ドリブルでの仕掛けなど目覚ましいものがあります。

そんなカイオの一撃は、Jリーグのチームであればある程度仕方ないと思ってしまうかもしれません。

しかし、それでも浦和の守備には問題点がありました。

それは最終ラインの統率です。

鹿島が浦和のボールを奪い、運び、前に出し、一度は浦和が跳ね返します。

それを拾ったのは遠藤。赤崎がボールを再度呼び込みに下がってきます。

この時点で浦和の最終ラインの裏を脅かす選手はいません。

この時点で、下がっていく赤崎にマーク、ではなく、最終ライン(この時点で3人)を統率し、ラインを押し上げねばなりません。

それはボールを奪う上で最重要な圧縮(プレッシング)をするためです。

圧縮をすることでスペースを消し、いわゆる出し所がない、という状態にしなければなりません。

ディフェンシブサードでは相手のボールを奪う守備が何より重要になってきます。

そのために大事な事がすっぽり抜け落ちてしまっているということです。

また、この時点でラインを上げていれば、それだけ早くプレッシャーがかかり、

カイオのプレーゾーンをゴールから遠ざけることが出来ていたはずです。

そして、裏に抜ける選手がいない、またそのケアが出来ていた場合、ドリブル突破か横パスが主な選択肢となります。

しかし、ラインを上げ、圧縮が出来ていた場合、横パスをカット出来る可能性が高まります。

このように相手の選択肢を削ることは理想のディフェンスと言えるのではないでしょうか。

ただ、少なくともこの時点での浦和は、その理想的なディフェンスを、よりシビアな状況では発揮できませんでした。

それはそういった引き出しが無い、守備の文化が無いと言われても仕方がない緊急事態と言えるでしょう。

人数をかけてスペースを消して守っているだけ、と言われても仕方がありません。

確かに攻撃陣は強力だが・・・

浦和は後半、PKを止められ、シュートチャンスを2回逸したマルシオ・リシャルデスに代え李忠成を投入すると、

その李が同点ゴールを決める層の厚さを披露します。

ボールを握る事が出来ていた浦和はその後も迫力ある攻撃を繰り出していたと思います。

しかし、興梠のアクシデントもあり、その層の厚さによる変化に頼ることが難しくなった場合、持てる武器の威力の低下が危惧されます。

ペトロヴィッチ体勢悲願のタイトル奪取は困難を極めるだろう、と言わざるを得ません。

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