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広まるセカンドチーム構想と諸問題

2014/10/28 16:38配信

武蔵

カテゴリ:コラム

FC東京のセカンドチーム構想が10月24日付の記事として出ました。
昨今、にわかに広まる各クラブのセカンドチーム構想と、それを取り巻く環境について考えていきたいと思います。

サテライト無き今、Jリーグでは育成について考えるべき課題が山積しています。
例えば高卒選手がなかなか試合出場の経験を積めないという点が挙げられます。

常に下位カテゴリーへの降格を隣り合わせのシビアなJリーグにおいて、なかなか成長の場が与えられないのは仕方がないことです。
しかし、だからといってユースからの昇格、または高体連組の高卒でプロ入りした選手がロクな出場機会も与えられずに放出される、というケースは後を絶ちません。そして放出先の下位カテゴリーで活躍しだす、というケースも。

移籍係数撤廃によりゼロ円移籍が横行し、お金が回らなくなったことで、育成というのは重要度を増しています。
目に見えて育成が上手くいかず、いわゆるサイクルが上手く機能しないことにより、低迷、またはJ2降格の憂き目に合った名門クラブも続出しています。

また、毎年、Jリーグに入ってくる新人選手のうち、比較的即戦力と言える大卒の選手がその割合を多くしているということは、その上手くいかないJリーグの育成を、大学にアウトソースをしているということが言えます。

そう言った事情もあり、若年世代の育成の場としてセカンドチームを持とう、というのは差し迫った問題であると言えます。

そしてそれは、その構想を持つのがFC東京だけではないことも示しています。

最近ではガンバ大阪のU-21新設の構想が明らかになりました。

FC東京が大卒選手にも門戸を開くことを明言しているのに対し、

ガンバ大阪はユースに自信があるのか、U-21のチームにするという方針があるそうです。

これらの記事において重要なのは「J3参入」というキーワードです。

舞台如何では低成長?

さわりを話してしまうと、セカンドチームの問題点とは「舞台」と「予算」と「レギュレーション」です。一つ目である舞台というのはカテゴリーのことです。カテゴリーにより当然変わってくる舞台の質により、成長の度合いが変わってくる、だろう、ということです。

なぜ「だろう」という表現なのかというと、セカンドチームを持つJリーグクラブは存在するからです。

そして、それらはいずれも成功例とは言えないですし、当初の目的を果たせず解散の憂き目に合ったチームもあるからです。

成功例を挙げられないので、カテゴリー如何では成功する!とは言い切れないのです。

ただそれらは、やってみなければ分からない論でいくと、JFLというプロアマ金剛の特殊な舞台だったからであって、プロリーグであるJ3への参入が認められれば効果が挙がるはずだ!という意見を否定できるものではありません。

「舞台」の問題は「予算」の問題とも密接に関わる。

良い環境が良い選手を育てる、という観点において、育成の場としてはJ3でも不足なのではないかということです。

つまり、平均観客動員数が2000人そこそこであるJ3で、果たして選手は育つのか、ということです。
これもやってみなければ分かりませんが、不安な点の一つです。

現に、育成において成功しているとは言えないセカンドチームの動員がトップチームの1/30~40であるというケースもあります。

そして、少ない観客動員は、予算の面でも影響するでしょう。

よく選手の所属先選びにおいて聞くのは「スタジアムの雰囲気」というものがあります。

観客動員が少ない場合、通常のホームスタジアムを使用することが予算を圧迫するというケースが考えられます。

使用料の安いサブ的なスタジアムが、そのような立派な動機で入団してきた選手のモチベーションを保てるでしょうか。

解決策を海外に求めると、トップチームの試合の前座としてセカンドチームの試合を行うというものがあります。

しかし、特に湿度の問題で芝の管理がシビアな日本で、

荒らされた芝でトップチームが試合を行うことは、諸々と本末転倒な事態になってしまうかもしれません。

本末転倒といえば「予算」単体の問題でも存在します。

セカンドチームの運営にかかるコストがクラブの強化費や、そもそも育成の柱である下部組織に回す部分を圧迫してしまってはどうでしょう。

これこそ本末転倒というべき事態です。

規約の壁。最大のメリットを欠くセカンドチーム。

そして最後は「レギュレーション」です。今まで存在したセカンドチームは、このレギュレーションの壁に阻まれてきた部分があります。


今の規約では、移籍期間内でなければトップチームとセカンドチームの行き来が出来ないということが最大の問題でした。

それは23歳以下の移籍自由化をもってしても埋めることが出来ません。

セカンドチームの最大の目的は選手の育成であり、選手の目的は当面、トップチームでプレーすることであるはずです。
しかし、移籍期間内でなければ行き来出来ないのであれば、調子やケガが関わる、

一般的に若手選手が出場機会を掴む好例である不測の事態に対応することが出来ません。

この部分をなぜかJリーグは手を付けてきませんでした。

FC東京は立石強化部長が構想自体は以前からあったことをフットボールサミットで明かしていますが、

それらの規約が問題だとも同じ話の中で挙げています。

これらの諸問題が解決されれば、セカンドチームを持つことは意義のあることでしょう。
しかし、これらの諸問題が解決されたからといって即成功に繋がるワケではないということを、

やってみなければ分からない、という言葉をもって示します。
これらの諸問題が解決して、やっと、Jリーグのセカンドチームのスタートラインなのです。

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