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【FC大阪】 JFLで戦う新たな一歩 FC大阪ホームゲームに懸ける全力 【JFL】

2015/04/16 13:54配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

少し肌寒く、グレーの空が拡がった 3月15日。

ヤンマーフィールド長居では初めてのJFLホーム開幕戦のため、準備が進められていた。


チームカラーである水色のウェアに身を包み、確認を行うのはユースの選手やレディースの選手たち。

トップチームのホーム開幕戦のために チームのスタッフや各カテゴリーの選手たちも総出で準備を行っていた。


全員で創り上げる「ホーム」。

それを感じさせる光景がそこにはあった。


JFLに昇格したFC大阪。

はじめてのJFLホーム開幕戦。


大阪第三のJクラブを目指すクラブの 大きな新しい一歩となるその日。


FC大阪の「全力」が詰まっていた―。



●Jクラブ並みの仕掛けの数々

試合開場時間となる2時間前。

開門前から対戦相手であるHondaFCのサポーターも待機しており、いよいよという空気が漂う。


メインゲート前に出店している飲食ブースもあり、試合を観る前や試合中に食べられるスタジアムグルメを楽しむことができるようになっていた。

入場ゲートを入ると待機していたのは、野球・独立リーグ球団06BULLSの選手たち。

FC大阪と相互協力をしている球団であり、一緒に大阪のスポーツシーンを盛り上げていこうという想いを共有している。

06BULLSの選手たちが入場してくる観客たちを出迎える形で待機し、自分たちのチームと存在をアピールしつつ、FC大阪のホーム開幕戦を盛り上げる役として活動していた。


06BULLSの選手たちの歓迎を抜けると、そこにはFC大阪の物販ブースが。

FC大阪のユニフォームやコンフィットTシャツにFC大阪ラーメン、FC大阪ポップコーンといった気軽に買うことができるFC大阪のフードが売っていた。

サッカーラーメンはこの日新しく登場したもの。インスタントでありその場で食べることはできないが、ちょっとしたおみやげやその日の試合の記念にといった感覚で購入することができるのはありがたい。

ポップコーンもカップに入ってることで食べやすく、その場で食べることも持ち帰ることも可能だ。

その他、FC大阪×TORIO コラボ男性用下着やJFLプログラムなども購入可能で、JFLのクラブとしてはグッズが多彩という印象を持った。

物販ブースでグッズを販売していたのはFC大阪CRAVO(女子チーム)の選手たちやFC大阪広報ガールズ。

女性が大きな声を出して呼び込み販売することで、華のあるブースとなり、明るく光る笑顔が溢れていた。


その奥には子供たちが遊べるゲーム機器が。

ハーフタイムや試合後に子供たちがこの場にたくさん集まり、子供たちの心を掴んでいた。


ピッチでは、徐々に集まって来ている観客に向けてグッズの紹介が行われていた。

長年FC大阪広報タレントとして活動し、多数のテレビ番組にも出演している檜垣さゆりさん、そして元アナウンサーという経歴を持ち、Ustream番組「FC大阪TVwithスポニチプラザ」のMCを務める広報タレンの楪 望さんが、ホームゲームを進めていく。彼女達がいることでFC大阪のホームゲームのスタジアム進行に「プロ」を感じることができる。

スタンドにはこの日ゲストで来ていた、NPB非公認プロ野球マスコット 元祖喋るキャラクター「1・2・3・4ゴーヤ」が登場。

大阪っぽさを感じる独自の喋りと強烈なインパクトで笑いを起こし、会場を和らげることで、はじめてという凛とした空気に、良いリラックスが流れる。


試合が始まる時間に近づくにつれて、スタンドにはたくさんの観客が着席していた。

隣のヤンマースタジアム長居ではその日夕方より、J2セレッソ大阪のホーム開幕試合が行われるため多くのサッカーサポーターたちが長居公園に溢れており、FC大阪の開幕戦にもセレッソ大阪サポーターの姿が多く見られた。

気温が下がり寒いと感じる体感温度であり、天候も優れない中でも徐々にその人数は増えていき、気づけばメインスタンド中央を中心にたくさんの人が試合開始を待っている状況だった。


その裏ではFC大阪のスタッフたちが大きな声を出し、スケジュールを確認しながら準備を進めていた。

ホームゲームに訪れてくれた人たちに自然な形で、多彩で材料豊富なホームゲームを楽しんでもらおうとスタッフたちは必死に走り、はじめて迎えたその舞台でやらなくてはならないことをひとつひとつクリアしていた。

●ホームゲームを創り上げるフロントの奔走

チームがJFLで戦う準備は年が明ける前から行われていたが、ホーム開幕戦を迎えるにあたり2月中旬から準備が進められてきた。

初めてのJFLホームゲームということで特別な日となる。FC大阪をはじめて観に来る層も必ずいると考え、はじめて来る人たちにもこれまで応援してきてくれた人たちにも楽しめるホーム開幕戦にしようと、ホームゲームの運営も1ステップ上がったものにしようという意識があった。

スタッフは15名を中心に、最大25名前後で準備に当たった。

ホームゲームでどういったイベントを行うか、飲食に関してはどうするか、受付やチケットの販売、プロモーション、物販、グッズ、開場から試合終了、そして試合終了後までの流れのスケジュールの取り決めなど等、ホームゲームを創り上げるプログラムとスケジュールを作っていく。


時間が足りないほどに準備することが山ほどあった。

はじめてのホームゲームはもちろん、その後すぐに次のホームゲームもやってくるため、その後のホームゲームのことも考え準備しなくてはならない。

その後のためにも、土台となる最初のホームゲームの流れはとても重要なものだった。

一度経験したことを土台に肉付けし、今後動くことがきるようになるであろう新しい一歩。


地域リーグでもホーム会場のイベントなどたくさんの仕掛けを行ってきたFC大阪といえども、JFLとなるとはじめてお金を払ってもらって試合を観に来てもらうという立場となるため、より充実したホームゲーム開催にしたいと意気込んで準備を行ってきた。

試合を観に来てもらい戦いを感じてもらうことがもちろん中心だが、たとえばイベントが楽しそうだから行きたい、イベントが楽しかったからまた行きたい、おいしい食べ物があったからまた行きたいといったような、幅広い部分で体感してもらえることが多いホームゲームにしたいとFC大阪はホームゲームを創っている。


様々な理由を持って会場に足を運び、FC大阪を感じてもらいたい。

その想いが詰まったホーム開幕戦となった。


たくさんのものを詰め込むからには、それだけの時間と準備が必要だということ。

この日行われたイベントや物販、来場ゲストなど仕掛けた数が多い分、スケジュールを時間通りに進行させるのは大変だったはずだ。


発展途上であるチームであることもあり、サポーターとスタッフの距離も近い。

多く足を運ぶサポーターにも笑顔で頭を下げ、挨拶をするスタッフたちの姿も印象的だ。


ありがとうございます。


チーム側からナマで伝えられるその一言が サポーターにどれだけ響くことであろうか。

一緒に創り上げていくという仲間であることを感じさせてくれる一場面なのだ。


まだ慣れないことに四苦八苦しながらも、スタッフたちからは、たくさんの人たちへの感謝の気持ち、そして楽しんでもらいたい・次に繋がってほしいという想いが感じ取られた。

それもこれもFC大阪を今後大きくするために必要なことなのだ。


どのチームよりも多くの人たちに観に来てもらえるようにしたいと、大きな目標を持っているFC大阪。

イベントや飲食ブース、物販などさまざまなところで充実していきたいという。

チームが勝利すること、魅力ある試合をすることを大前提として観客をもっと呼び込みたい。



●FC大阪As Bonitasという存在

FC大阪のホームゲームで試合とは別に会場が大盛り上がりとなった瞬間があった。

それは、ハーフタイムに行われた「FC大阪AsBonitas」のお披露目ダンスパフォーマンスだった。

FC大阪と「FANTERS JAPAN/本社:大阪市西区」が協力し、女性ダンス&ボーカルユニット「FC大阪 As Bonitas(アス ボニータス)」を結成した。

「FANTERS JAPAN」所属のプロパフォーマー「VIVIas」が中心となり、サッカーにちなんだ11名で2015年度より活動を開始している。スタンド前で繰り広げられる圧巻のパフォーマンスに観客は釘づけとなり、パフォーマンス終了後には惜しみない拍手が送られた。

FC大阪As Bonitasの彼女たちは今後も精力的に試合やイベントにて活動をしFC大阪を盛り上げていく存在となる。FC大阪が魅力あるホームゲームを作り上げる一役をFC大阪As Bonitasも担っていくこととなる。

●一緒にひとつひとつ創り上げたい チームに必要不可欠なサポーター

FC大阪としてははじめてのJFL。

ひとつステージを上げた戦いとなり、注目度も増える。

だからこそ、サポーターは応援も1ステップ上げていきたいという気持ちを持っていた。


張られるたくさんの応援幕。

早い時間から振られる大旗。


大阪にはすでに知名度のあるJクラブが二つあるが、彼らはFC大阪を応援することを選択している。

地域リーグから声を出して応援してきたサポーターもまた、新たな一歩の特別な日を迎えていた。


なぜ既存クラブではなく、FC大阪を応援するようになったのかとサポーターに問うと

元々サッカーには全く興味がなかったのだと答えた。


3年前に今同じく声を出して応援する友人に連れられ、はじめてFC大阪の試合を見たという。

サッカーにはまるで興味がなかったが、それでも1から創り上げていくクラブに強い魅力を感じ、自分もその創り上げる瞬間に立ち会いたいと感じたという。



―そうだ。

土台なんて必要ない。


サッカーを好きである土台なんて必要なく、その場で魅力を感じその場で引き込まれるその瑞々しい感覚が重要であり、それがプロであるかどうかなんて関係ないのだ。

いつどんな時にfootballとの出会いがあるのかなんてわからないものだ。

その時目にした触れたfootballから感じるものを受け止めた時、人はその魅力に取り込まれるのだ。


1から創り上げたいと引き込まれたという感情に出会えたというその奇跡に

何か忘れていた感動を覚える言葉だった。

footballな出会い。

それがFC大阪だった、ということなのだ。


サポーターはひとつ上に上がったステージを簡単ではないと口にした。

JFLで当たるすべてのチームが横綱だと感じている。

自分たちはチャレンジする側、と。

戦いはすべてチャレンジとして、サポーターも覚悟を決めて挑んでいた。


多くの人が集まったスタンドにチームを応援してきたサポーターが水色のビニール袋を配布した。

選手入場と共にスタンドの半分をチームカラーに染めた。

まだまだ少人数ながら周囲の人たちを巻き込もうと様々な工夫を取り入れ応援するサポーター。

わかりやすいチャントやコールは一緒にお願いします!と呼びかける。

手拍子を誘うように大きく動き、誘い込む。

サポーターも会場をFC大阪のホームゲームにしようと取り込み、チカラとなっていた。


この日集まった観客は531名。

サッカー少年たちの姿も多く見られ、この数字以上の人がいたのではないかというほどにスタンドには人が多くいたという印象を持つ。


試合結果は0-1。

ホームゲームを一番盛り上げるのはもちろん勝利という結果だったであろうが、結果JFLはじめての敗戦という形でタイムアップしてしまった。

試合中、何度か雨が降ったものの試合の途中で帰る人はほとんどいなかった。

それどころか、敗戦だったにも関わらず会場の外には多くの人が選手たちが出てくるのを待っていた。

サッカー少年たちは色紙やサッカーボールを抱え、サインしてもらおうと目を輝かせ寒い中、戦い終えた選手たちを待っていた。

試合後、観客たちをスタッフとその日メンバー外だったFC大阪の選手たちが並んでお見送りしていた。

ありがとうございましたと伝えるその姿からは伝わるものがある。


たくさんの人がFC大阪のホームゲームに足を運び、次は頑張ってねと口にする。

試合のメンバーに入ることができなかった選手たちが見送りを行っていたが、その選手たちもピッチの上に立ち応援してもらう側になるために日々努力を重ねようと改めて感じる場となったのではないだろうか。



3月15日。

ヤンマーフィールド長居にて行われた FC大阪の「はじめの一歩」。


敗戦となってしまったものの、たくさんの人の記憶に残る一日になったのではと感じる一日。

その場に立ち会った人たちが、今後FC大阪が迎えたJFL開幕戦という節目の歴史に携わったのだ。



JFLという新たなステージでFC大阪はクラブとして新しい一歩を踏み出した―。


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