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武藤嘉紀がチェルシーに移籍するべき、たったひとつの簡単な理由

2015/04/18 17:53配信

サッカー君

カテゴリ:コラム

FC東京の武藤嘉紀に、世界的ビッグクラブであるチェルシーから正式オファーが届いていることが明らかになってから少し経ちました。
FC東京の大金社長は、武藤がチェルシーに席するべきか「非常に迷っている」と明らかにしたように、本人も相当悩んでいるようです。

しかし、FC東京のファンとして、武藤嘉紀のファンとして、私には明確な答えがあります。
それは、「チェルシーに移籍した方がいい」という結論です。

移籍をしない方がいい、と考える人の理由ももちろん分かります。
サッカー選手は試合に出場してこそ成長できるものだし、チェルシーに行っても試合に出場できずに飼い殺されるだけだと。

でも、この意見には、一つ大きく見落としている点があると思います。
それは、国内に留まっても、もっと中堅クラブに移籍したとしても、「そもそも試合に出れるかはわからない」という点です。


もしFC東京で最近絶好調の石川直宏に加え、前田遼一も本来のパフォーマンスを取り戻したとしたら、FC東京ですら控えに甘んじることも十分にあり得ます。
もしくは、自分自身が絶不調に陥ってしまい、次なるスターに現在の「日本代表の顔」というポジションを奪われてしまうかもしれません。
もっと言えば、もしかしたら前十字靭帯を断裂して1年間もの長期間を棒に振ってしまう可能性だって、0ではありません。

そう、そもそも未来のことは誰にもわからないのです。
長期的な計画はとても大切だと思います。しかし、著名な方が口をそろえて言うように「未来のことは誰にも分からない」のです。

自分自身を、高く売る

サッカー選手に関わらず、人は誰でも乗っている時期と、そうでない時期があると思います。
また、人は自信を持っていれば良い結果を出すことができ、自信を失っているときは何をやってもうまくいかないものです。

自信を保つためには、いかに自分自身を「乗っている」状態にキープするかが大切ですが、それには乗っている状態のときに、できるだけ上のステップへ成り上がることが大切だと思います。
上のステップへ上がってしまえば、それで落ちぶれてしまっても「上のステップの下位」です。
「下のステップの上位」よりは、数段マシでしょう。FC東京がJ2の上位よりもJ1の下位の方がまだマシだというのと同じです。

武藤は現在、間違いなく乗っている時期です。
メディアの後押しも手伝って、日本で最も期待されている選手と言ってもいいほど。
言ってしまえば、「実際の価値以上に評価されている」といっても誤りではないかもしれません。

株式で言えば、売りどき。

自分を高く売れるときに高く売ることは、会社員でもそうですが、怪我など何があるかわからないサッカー選手であれば特に大切だと思います。

あれだけメディアに取り上げられた柿谷が、今となっては見向きもされてないことを考えれば、来年武藤には全く注目が集まっていないことも大いに考えられます。
そうなってしまえば、広告的な価値が失われた以上、チェルシーというビッグクラブからのオファーも来なくなるでしょう。

「上のステップ」へ上がれる機会はそうはありません。まして10代ならともかく、武藤はもう今年で23歳です。
今回のオファーを断ったとして、ビッグクラブからのオファーは二度と無いかもしれないのです。

チェルシーは、別格

人は誰でも周りの環境によって成長させられるものだと思います。
頭の良い大学に通うことの何よりのメリットは、「優れた講義」ではなく、「周りの人間のレベルが高い」という環境にあると思います。

周りの人間が立派であれば、自分の基準も自然と高くなります。
反対に、毎日パチンコばかりしているような人の中で生活をすれば、それなりの努力で「凄い」ことになってしまい、基準も低いものになってしまいます。

Jリーグをパチンコばかりしている生活と例えている訳ではありませんが、その面ではチェルシーは別格だと思います。

特に率いるのは、世界で最も有名な指揮官モウリーニョ。
彼の下で指導を受けたいと思う選手は世界中にいくらでもいると思いますが、願ったとしても実現できるものではありません。

そして、抱負な資金力を武器に世界中から集めたスーパースター達。
もし、自分自身が世界的なプレーヤーになりたいと思うなら、飛び込まない選択など無いほどの環境でしょう。

FC東京にも十分すぎるメリットがある

もう一つ移籍反対派の理由の1つとして、FC東京でのプレーもたかだか1年程度。
もっとクラブに恩返しをしてから移籍をしては?という考えもあると思います。

もちろん人気絶頂期の時期、観客動員にも大きな影響のある武藤をこの時期に失うのは、チームにとっても痛いかもしれません。

しかし、7億円という移籍金はそれに見合う対価だと思いますし、本当のメリットは移籍金以外にあると思います。

武藤が移籍をすれば、長友佑都に加えて、2人目のビッグクラブへの移籍。
また、東京という代表監督が視察に訪れやすい立地も手伝って、ここ数年ではFC東京は間違いなく日本代表へ最も選手を送り出しているクラブです。
バルセロナを退団した久保選手がFC東京を選んでくれそうなように、最近では「成長したいならFC東京」という流れも生まれつつあるのではと感じています。

短期的に見れば武藤の移籍は、有望な選手の流出です。
しかし、長期的にはこういったビッグクラブへの移籍事例を積み重ねることで、将来永きに渡って有望な若手選手が「所属クラブとしてFC東京を選んでくれる」ことに繋がると思います。

そして、その有望な若手選手を育てて、海外クラブへ多額の移籍金を獲得して送り込む。
Jリーグが世界最高峰のリーグになれない以上、こういった流れで日本を代表するビッグクラブへと成長していくことがFC東京の歩むべく道であるように思います。


もし、集客・PR面で恩返しをしたいと思うなら、これからメディアの前でことあるごとにFC東京の名前を出してくれればいいことです。

移籍をした方がいい「たったひとつの簡単な理由」

少し長くなってしまいましたが、上記は飽くまで私の一意見に過ぎません。
人は誰でも性格が異なりますから、リスクを承知でチャレンジするか、より安全に成長できる環境を求めるか。
つまり、「攻めの決断」か、「守りの決断」の話になるのかなと思います。

私は、この場合は「攻めの決断」を取るべきと考えており、その理由が記事のタイトルにもした「たったひとつの簡単な理由」です。

それは、

「やってしまった後悔はだんだん小さくなるが、やらなかった後悔はだんだん大きくなる」



という言葉です。


これは、サッカー選手でなくても、普通の会社員でも言える言葉だと思いますが、とても腑に落ちる言葉だと思います。

将来のことなんて、誰も分かりません。
守りに入ったとしても、怪我で長期離脱してしまうかもしれませんし、絶不調に陥ってFC東京でも控えになってしまうかもしれません。

チェルシーに移籍しても試合に出れずにくすぶってしまうかもしれませんし、すぐにレンタル移籍で放出されるかもしれませんし、そのクラブでも干されるかもしれません。

しかし、チェルシーという世界最高峰の環境に身をおくことで、日本に留まっていては絶対にできないような成長をする可能性だってありますし、むしろチェルシーで出場機会を得ることだって可能性としては0ではありません。


どんな選択を選んだとしても、どうなるのかなんて分からないのです。
どうせわからないのであれば、ポジティブな可能性が感じられる選択、後悔しない選択をするべきだと思います。


武藤嘉紀選手には、長友に続いて世界のトップレベルに通用する選手になってほしいと思っています。
ぜひ、後悔のない選択を、より可能性のある選択を取ってほしいと思います。


例え良い結果にならなかったとしても、その決断がベストであったと思えるはずですから。

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