フォルラン、遠藤、カズさん・・・ 「代表引退」という文化
2015/03/27 18:11配信
カテゴリ:コラム
遠藤、ハリルホジッチジャパンからの「落選」
ヴァヒド・ハリルホジッチ新監督としての初陣である3月シリーズ
27日のチュニジア戦、31日のウズベキスタン戦
このメンバー発表が行われたのは、19日のことでした。
それを受けて取り沙汰されたものの中で目を引いたのは「落選」に関することでした。
すなわち、長らく日本を支えてきた中盤の舵取り・遠藤保仁についてのことです。
日本代表の発表に際して、いつもと変わったことがありました。
いつもより多い31人のメンバーと12人のバックアップメンバーを選んだことそれと、落選者に関する声明です。
バックアップメンバーというものの説明に関して
「ラージグループ」というフレーズが出てきました。
つまり、日本代表の序列を分かりやすく示し、モチベーションを保とうというものです。
代表合宿にも参加しないこのメンバーは実質的に「落選」したと言って良いでしょう。
次に発表直前に視察した川崎vs名古屋の試合の出場メンバーについてです。
新監督はその中で
「今回は選ばなかったが、継続して見ていきたい選手がいた」と述べました。
今回「落選」はしたものの、次に繋がると言えるでしょう。
その試合に出場した選手のモチベーションUPに貢献すると言って良いでしょう。
そして、それらの「落選組」の中で、別格の扱いを受けた選手がいました。
それが、個人的に言及を受けた遠藤保仁です。
新監督は、これまでの遠藤の貢献、現在の能力を手放しで称えたのち
「ロシアW杯のことを考えて呼ばなかった。」
「重要な試合では呼ぶかもしれない。」
としました。
152のキャップ数を誇る遠藤保仁も、今年で35歳。
ロシアでは38歳となります。
新指揮官の意思を理解し、後進に期待したいところです。
しかし、そこで考えたいのが「代表引退」という文化についてです。
海外に有り、日本にはほぼ無いそれについて考えてみたくなったのです。
フォルランの「重大発表」
C大阪のディエゴ・フォルラン。
彼の実績については説明に及ばないと信じたいところです。
そんな彼が「明日、重大発表を行う」としたのが今月11日のことです。
つまり、その翌日の12日に「重大発表」を行うと。
それを聞いた日本のメディアやファンは
「移籍か」
「現役引退か」
と騒ぎ立てました。
結果は知っての通りです。
それに対して、同じく日本の反応は
「なんだ、そんなことか」
「大したことではないじゃないか」
「肩すかしもいいところだ」
という意見が散見されました。
ここに、日本と海外の「代表引退」に対する考えの違いを感じます。
日本のファンは、もう少し海外の文化の「尊重」を
まず残念なのは、日本のメディアやファンの対応でした。
南アW杯得点王、ウルグアイ代表歴代1位の出場試合数と得点数・・・
フォルランほどの選手が代表引退を口にする時期に日本にいること
これをまず誇りに思いたいと、私なんかは思います。
それだけの記録を残した選手が、そのチームを去ると言っているのです。
それに対する反応が
「肩すかし」
では、サッカーファンとしてはいささか寂しいと思わざるを得ません。
海外では、このようなスターの代表引退は、重要な出来事として扱われます。
日本に無い文化だとしても、滅多に無いこういう機会に
認識を改めていただければな、と思います。
「世界のフォルランが日本にいる」
これを生かすことで、もっとより良いJリーグが生まれると確信しています。
そしてフォルランには、7月までとなっている契約の中で
「現役引退は全く考えていない」
と言い切るほどのコンディション、能力を惜しみなく発揮してほしいと思います。
日本に「代表引退」という文化が無いのは何故か
日本で代表引退というと、中澤佑二でしょうか。
2006年のブラジルW杯後に代表引退を示唆し、しばらくは招集を受けなかったことで
日本にもその文化が輸入されたかと思ったものです。
しかし現在、基本的には、日本にはその文化は有りません。
理由のひとつとして考えられるのは、「代表引退」の先駆者がいないことです。
中澤では弱かったのかと言われれば答えに困りますが
その後に復帰し、南アW杯では全4試合にフル出場していることもあり
いささか効力が弱いということは言えます。
また、現在でも例えば、中村憲剛や大久保嘉人のようなベテラン勢が
今でも代表選出に意欲を見せます。
彼らのパフォーマンスを見れば説得力もあります。
そしてなんといっても、三浦知良の存在が大きいでしょう。
彼は今でも現役であることは言うまでもありませんが
今でも代表に意欲を示し続けていることでも有名です。
そして、選手としての23人枠に彼を推すサッカーファンが少なからず存在します。
「カズさんが目指すのであれば・・・」
という気持ちが日本のベテラン勢に有ることは否定できません。
件の、現役引退は全く考えていないというフォルランをして
「カズさんほど現役を続けるのは無理」
と言わしめるほどの存在である三浦知良。
彼が再び代表に入ることはなくとも、その影響は計り知れません。
そしてもうひとつ。
上述の、ベテラン勢が見せる説得力あるパフォーマンスと無関係ではありません。
つまり、既存の代表選手よりも上であるとの自信があり
また、実際にそうであることがしばしば有るからでしょう。
最近、日本代表において危惧されている
「下の世代からの突き上げ不足」
という問題と、もちろんセットで考えられるべきことです。
それに下支えされた自負が、ベテラン勢に代表引退という決断を
その表明をさせない一因なのではないでしょうか。
遠藤は「落選」に際し、代表引退を否定しました
曰く「代表は今でも目標のひとつ」とし
選出を厭わない姿勢を明確にしました。
メンバー発表で唯一、個人として言及を受けたワケですから
水面下での下交渉は有ったかもしれません。
そのため「代表引退」を表明するのであれば
正直言って、絶好のタイミングだったでしょう。
ただ、海外のスターのような大々的な代表引退会見が
遠藤のキャラクターに沿うとはあまり思いません(笑)
今はその遠藤の姿勢を大切に思い、新監督の言葉通りに
本当に大事な時には、日本代表に復帰してもらいましょう。
そして、そのキャラクターが表れたようなプレースタイル、メンタルの強さ、飄々さを
遺憾なく発揮してもらいましょう。
もしそうなれば私は、日本に「代表引退」という文化がなくて良かったと
思うことが出来るでしょうから。
日本においては、代表は「行く」ところではなく、「呼ばれる」ところなのだと思います。
引退とは「呼ばれても行かないよ」という意味でしょうが、呼ばれる限り行く場所、が代表ではないかと思います。フォルランも日本であったウルグアイ戦には召集されてませんでしたよね。選手に「行く」「行かない」の主体がない限り、代表引退という発想は生まれないと思います。
僕は、それで良いと思います。代表は、選手が行く行かないを決める場ではなく、監督が決める場だと思いますから。
ユッキー8番 | 0 0 |2015/03/27|22:39 返信