ストーブリーグで一番気になる 城福浩の進路
2014/12/15 14:46配信
カテゴリ:コラム
城福浩と甲府の3年間
さて、リーグ戦が終わり、このところ熱を帯びるのは人事にまつわるニュースです。
野球ではストーブリーグなどと言いますが
サッカーではなんと呼ぶのでしょうか。
その中でひと際、興味を引くのは選手ではなく
ヴァンフォーレ甲府を今年まで3年間率い、そして退任することが決まった
城福浩監督の去就です。
2度目の昇格を果たした2011年のシーズンは16位に終わり
2012年をJ2で過ごすことになった甲府。
そこで就任したのが城福浩監督でした。
「プロビンチャ(=地方スモールクラブ)の星となる」
を掛け声に、小規模クラブなりに結果を出すやり方を徹底し、
見事1年でのJ1返り咲きを果たしました。
そして、2013、2014シーズンは
J1の18チームのうち、それぞれ選手の年俸総額が15位、17位という
予算規模でいけばJ2に降格してもおかしくない
残留争いの主役となり得る状況で、見事に
かなり余裕を持った、最終盤まで降格の可能性を残さない戦いぶりを見せ
2年連続で残留を果たしました。
その歩みはFWというポジションでの試行錯誤が色濃かったと思います。
2012年は、日本で実績がありながらもその当時は北京でくすぶっていて
2011年シーズン途中から加入したものの
大して戦力にならなかったダヴィの再生から始まりました。
そのダヴィが鹿島へと去った2013年は一番苦しかったかも知れません。
なにしろ、レニー、ウーゴ、オルティゴサ、パトリックといった外国人FWはいずれも
フィットすることなく、2014シーズンを違うクラブで迎えています。
そんな中でも降格圏である16位の湘南とは勝ち点差12という
そのままの勝ち点差ならば、3試合残しで残留が決まる(実際は2試合残し)という
余裕を持った残留を決めました。
2014年シーズンは総額2億とも言われる大枚をはたいて
クリスティアーノを獲得しました。
クリスティアーノは能力は間違いなかったのですが、守備重視の甲府の採る
3421システムの中で、1トップの適性があるとは言えず
やはりここでもFWの人材難に悩まされることになりました。
それを救ったのは、2013年オフに一度は解雇し、そのオフ中に再契約をした
盛田剛平でした。
この、ついこないだまでDF登録だった男の活躍で、これまた2試合残しで
残留を決めました。
裏を返せば、それほど余裕のない財政状態でのJ1残留「劇」だったのです。
これで来期の甲府は、甲府史上で初めての、3期連続のJ1を戦う事になります。
そんな「弱くても勝てます」を実践してみせた城福浩監督
彼が今季で退任することになりました。
その退任の挨拶、特に併記された海野社長のコメントの中で
「別のステップでの挑戦」
という文字が目に焼き付きました。
ステップと言われて最初に連想する言葉は
もちろん「ステップアップ」です。
ステップアップのために甲府を去る
これが城福浩監督の今後の行方を指し示す手掛かりとなりそうです。
甲府からのステップアップ
現在各紙報道で出ている「ステップアップ先」はというと
まずひとつは横浜Fマリノスです。
しかしマリノスは、提携するマンチェスター・シティとのコネクションを生かした
外国人監督の招聘という路線に切り替えたようです。
中村、中澤両選手からの世代交代が最優先課題との見方を強めており
そこのところをドラスティックに実行するためには
外国人監督が適任であることは疑問の余地がありません。
そして次に挙がるのがサガン鳥栖です。
鳥栖は2014シーズンで5位
昇格初年度となった2012シーズンでも5位となっており
甲府と同じプロビンチャではあるものの、実績では1歩先を行く存在です。
しかしこの際は、その「プロビンチャ」であるということが
「ステップアップ」とはそぐわない形となります。
鳥栖の選手年俸総額は、2014年は甲府と500万円も変わらない16位
2013年シーズンに至っては甲府より下なのです。
また、鳥栖は待遇面でお家騒動を起こし
J1定着の立役者である尹監督が退任する事態になりました。
これでは慣れ親しんだ甲府を去る理由としては不適当と言わざるを得ません。
ただ、鳥栖は城福浩監督に正式オファーを出したという報道がありました。
最後に挙げられるのはU-18日本代表監督です。
U-18日本代表とは、2017年の韓国U-20W杯を目指す世代で
来年、2015年に立ち上げられます。
ご存知の通り、日本代表は2007年の出場を最後に
4大会連続でU-20W杯の出場を逃しております。
U-16日本代表を率いてアジアで準優勝を果たし、
3大会ぶりにU-17W杯への出場を果たしております。
日本の年代別代表の国際経験の不足は深刻さを増しており、
長年、年代別代表に携わり、監督としても実績のある城福浩を
監督に据えることで、その流れに終止符を打とう、というのは理解できます。
あとは、それに使命感と待遇の良さを感じることが出来るか、ということになります。
使命感はともかく、日本代表であれば、国籍は日本に限定され
それは甲府での不自由さと変わらないのではないかという懸念を持ちます。
ただ、この状況下で、自身の待遇は大幅にアップされるでしょうから
それをどう考えるかということになるでしょう。
どの道を選ぶにせよ、2015年は迫っています。
休養という選択肢は無いように思いますので、決断まで待ったなしという状況で
注目はいやが応にも集まる事になるでしょう。