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FC岐阜、まさかの赤字 Jリーグのスポンサーのあり方

2014/12/04 12:08配信

武蔵

カテゴリ:コラム

Jリーグは寒さが深まるに連れ、熱を帯びるものです。

J1は優勝争い、残留争い共に佳境を迎え

J2はJ1昇格プレーオフが行われています。

リーグとしてのインテンシティはこの時期が最大なのではないでしょうか。

また、この時期の風物詩と言えるでしょう

人事異動の各紙報道、または公式発表が始まります。

「シーズン終了日の翌日から5日後までに通達」というJリーグの規定があることから

シーズン終了の翌週であるJ2では、各チームが通達を終え

公式発表を行う時期でもあります。


その中で、ある記事と公式発表を、続けざまに見る機会がありました。

それは

「J2岐阜の元日本代表DF三都主アレサンドロ構想外」

というものです。

これだけなら、あぁそうか、年齢も年齢だし、プレーや年齢構成を

是正したいという狙いがあるのかな、と思うだけです。

しかし同じ文中に

「岐阜は今季、入場者数が増加。ただ、収支は1億5千万の赤字になる見通し。」

とあれば、話はだいぶ違ってきます。

赤字だから、切りやすい人件費から切る

その中でも高給取りである三都主を切る

逼迫した財政状態の中、やむを得ない処置を取った

それだけ危ない状態なのだ

・・・と思われても仕方がないでしょう。

そして同日、契約満了・非更新の選手が発表されました。

その中には、三都主よりも出場試合の多いDF田中秀人の名と

17得点を挙げたエース・ナザリトの名前があり、衝撃を受けました。

特にナザリトがいなければ、チームはどうなっていたか分かりません。

順位を落とし、J2残留争いとなっていたかもしれません。

そのナザリトを保持することが出来ないというのです。

FC岐阜は救われたはずではなかったのか

岐阜は一昨年、救世主の支援を受けることに成功し

一躍、話題をさらいました。

岐阜市出身でJトラストの社長である藤澤信義氏から実質的な寄付という形で

1億5千万円の融資を受けましたのは昨年のことです。

奇しくも今回の赤字と同額です。

それにより、岐阜はライセンス問題のかかる債務超過を解消し

また、藤澤氏による追加融資(第三者割当の全額を引き受けるという形)を受け

経営危機を脱したどころか、J2でも上位の予算規模を持つクラブとなりました。

それにより、チームの成績と人気の双方の向上を目指すことが可能となったのです。

それが、話題に事欠かなくネームヴァリューのあるラモス留偉監督の招聘

元日本代表の実力者・GK川口能活やDF三都主アレサンドロの獲得

さらには、コロンビアの年代別代表経験者でありエースとなるナザリトの獲得に

繋がっていったのです。

しかし、また赤字を出してしまったのでは、ライセンス問題に関わってきます。

地元意識という理念がある以上、今後の藤澤氏の支援は期待できるのかもしれませんが、

FC岐阜は、社長がそういった支援を当てにせず、独立して採算を合わせていく

という旨の発言をしています。

しかしこれでは説得力に欠けます。

FC岐阜の50%に近い株を持つ藤澤氏への依存は深まるばかりではないでしょうか。

外資解禁へ。リーグの価値向上と合わせた政策を

昨今、Jリーグでは外国資本の解禁を検討しているようです。

クラブ規模の拡大により、レベル向上、昨今早期敗退が増えているACLでの復権を目指し、

Jリーグの価値を上げることにより、全世界のサッカー放映権料の1/3を担うとされる

東南アジアでのシェア拡大を狙う意図があるものとされています。

しかし、外資の参入を解禁したとして

従来のスポンサーと同じ規模ではその効果は小さいものです。

早急の効果が見込めるのは、親会社と呼べる規模でのスポンサードです。

そして、多くのJリーグサポーターはそのデメリットをよく知るのではないでしょうか。

そういった歴史を踏まえての、現在の地域密着という理念が作られました。

それにも賞味期限があり、より良いバランスを求めるべき時期に来ていることは分かります。

しかし、投資に見合う成果を出さなければいけません。

Jリーグが東南アジア向けの商売をすることは未知数と言わざるを得ません。

Jリーグや日本サッカー協会の準備も進んでいないように思います。

ただの時間の経過ではなく、準備が必要です。

準備が出来ていない段階では、いつ発車しても見切り発車ということになってしまいます。

兵どもが夢の跡・・・となる可能性も

海外サッカークラブの華々しい成功の陰には、様々な種類の資本家が存在します。

チェルシーのオーナー・アブラモビッチ氏

マン・シティのアブダビの投資グループ

PSGにおいてはカタール投資庁が国を挙げての投資を行っています。

これらは文句なしの成功例です。

クラブ価値の向上や、PSGに至ってはモナコとともにリーグ価値の向上にも

貢献していると言えるでしょう。


しかし、このような成功例だけではありません。

カタールの王族が買収したマラガ

名将・ペジェグリーニを招聘し、欲するままに補強をし

CLに出場するまでになりました

しかし、経営に飽きてしまったのか、給与の未払いが常態化し

FIFAから制裁を受け、監督や選手達はみな移籍をし、バラバラになってしまいました。

また、大規模宗教団体が経営母体だったものの、トップの死去を引き金に一斉に資金を引き揚げ、

遂には消滅してしまった城南一和などは「親会社運営」の危うさを象徴するものです。

現在は城南FCという市民クラブとして存続していますが

もちろん、かつての隆盛は見る影もありません。

そんなことを言われるまでもなく、Jリーグを見てきた人達は

起こった悲劇を知っています。

しかし、Jリーグの首脳陣はどうでしょうか。

私は、その手の資金流入を手放しで喜べるほどの信頼を持つことができません。

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