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【ガンバ大阪】 J1優勝!宇佐美貴史と遠藤保仁という二大看板が強くしたガンバ大阪 【J1】

2014/12/09 17:03配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム


最後の試合は、0-0のドローに終わったものの、終了のホイッスルから数分後。
届いた知らせは、優勝の可能性が残る2チームの敗戦の知らせ。
それにより、ガンバ大阪の優勝が決定した。

今年のJリーグの話題の中心だった宇佐美貴史は、サポーターと共に歓びを共有した。
その突き上げた拳は強く、高々と挙げられていた。

ガンバ大阪はナビスコ杯に続き、徐々に勝ち上がっていったリーグでついに最終的に逆転し、リーグ優勝を収めた。

●海外移籍は失敗ではない。救世主となったエース宇佐美

宇佐美が海外挑戦したことを、失敗だったと表現する人が多い。
しかし、そういった発言をする人たちは宇佐美の旅立つ前と今のプレーを比較したことがあるのだろうか。

宇佐美は確かにドイツでは試合に出場することが少なく、結果を出して戻ってきたわけではない。
しかし、あのバイエルンに日本人が所属したということはどんなに大きいことだったか。
バイエルンは世界のサッカークラブの中でも、強豪中の強豪であり、確かにビジネスもうまいチームだけに、宇佐美を先行買いしたというのが第一であろう。
しかし、あのバイエルンが日本人を獲得するということには大きな大きな意味があった。
考えてみてほしい。ドルトムントで活躍した香川やシャルケで活躍する内田、そして現在大活躍中の岡崎はじめ、ブンデスリーガで活躍し、評価が世界的にみても高い日本人は他にもたくさんいる。
しかし、バイエルンが当時選んだのはそういった実績ある日本人ではなく、宇佐美貴史だったのだ。
誰でも行けるチームではない。代理人の力だけでどうにも入れるチームではない。
そのバイエルンが宇佐美貴史を獲得しにいったのだ。

たしかにそれは無謀な挑戦だったのかもしれない。
ビッグクラブにいきすぎたのではないかと表現されることもある。
しかし、巨額のお金が動き世界のトッププレーヤーたちを雇うバイエルンだからこそ、日々の練習の中では熾烈な戦いがあり、その練習は世界トップレベルだったことであろう。
その中で日々過ごした宇佐美。
それまではビッグマウスで日本のサッカーでは天才とよばれ続け、生意気な発言も多かった彼が、はじめて自分の手が簡単には届かない世界へと身をおいたことで様々な壁にぶつかり、そして吸収したのだ。

海外移籍が失敗だったのだとしたら、今の宇佐美は存在しない。
今、Jリーグは宇佐美でこれだけ湧いてるのには理由があるのだ。

宇佐美が帰ってきたのは昨年の途中。
チームはJ2に降格し、戦っていたがガンバに帰ることに迷いは当然なかった。
J2であってもガンバ大阪愛は変わらないからだ。

宇佐美は小さな頃からガンバ大阪を応援してきた。
いつかあのピッチに立ちたいと、常に上を目指してきた結果、早い段階でそれが叶った。
海外移籍をしたものも、戻る場所はガンバ以外考えられなかった。

その結果、J2で宇佐美は得点を重ねた。
ガンバ大阪のエースとしてすぐにその存在感を示し、J1昇格へと引っ張った。

海外にいってわかったことがある。それは技術だけではダメだということ。
身体を造り、強くなることが必要だと踏んだ宇佐美は、日本でプレーしていた当時は細く65㎏前後だった身体から、75㎏まで体重を上げた。
筋肉はただ付けるだけでは当然ダメだ。ウエイトが上がるということはそれにかかる負荷も当然存在し、その不可を最小限とするためにバランスの良い必要な部分への強化が必要となる。
ドイツへ渡り、身体の大きなデイフェンスたちを相手にするにはFWは身体が強くないといけないと知った。
重くなっても速さは必要であり、そして技術も当然落とせない。
それを宇佐美は追求し、自身を造り上げた。
それは強靭でありながら、しなやかでもあり、そしてトリッキーさと天才肌を持ち備える宇佐美貴史という歴史の中で、最強な変化だった。

今シーズンはシーズン直前に負傷してしまい、ガンバ大阪は宇佐美不在でリーグ序盤を戦うこととなった。
その穴は思っていたよりも大きく、ガンバ大阪序盤の成績は厳しい結果が待っていた。
一時ははじまったばかりといっても降格圏内に入ることもあるなど、J2から戻ってきたガンバはやはりまだ厳しいかという意見が飛び交った。

しかし、エースが復帰したゴールデンウィーク。
徳島戦で3-0と快勝し、自らも復帰ゴールも決めた。
それでも中断期間まで続いた低迷。

しかし、その中断期間でガンバ大阪は革命を迎えることとなる。

パトリックの獲得により、宇佐美の相棒ができた。
その結果二人の呼吸や攻撃の思考がマッチすることが多く、それによってさまざまな攻撃のバリエーションが増え、阿部や大森などをいかす結果にも繋がり、ガンバ大阪の攻撃力は増した。

宇佐美はゴールばかりが注目される選手だが、選手をいかすこともできる選手だ。
難しく適切なラストパスも出すことのできる選手でもあり、試合全体の流れを作ることもできる選手だ。

当然そこに絡んでくるのがチームの心臓である遠藤。
遠藤がより好調になり自由になったことで前線の宇佐美とパトリックという多彩な使い方のできる選手たちとのシンクロによって、予想できないような攻撃も多々見ることができた。
その結果、中断後からガンバ大阪は圧倒的な強さを誇りながら、試合を重ねるごとに強くなり、それまでの主役で今年圧倒的な強さを誇っていたはずの浦和でもその勢いを止めることができず、ガンバ大阪は最後までを駆け抜けた。

●遠藤が奏でる楽しむサッカーの表現

何度も書いてきてしつこいほどかもしれないが、遠藤は近年で一番調子が良いといって良いほどに、今の遠藤はとんでもない選手だと感じさせる。
それは今野がボランチという位置に入ったことによる覚醒だということは先日書いたが、
今野がボランチに入ったことにより、ガンバ大阪は新たな攻撃、そして守備の可能性を得て、遠藤がより攻撃に身を置くことができる中で、遠藤から奏でられる「ゴールを生むためにパス」が増えた。
遠藤保仁。34歳。
年齢というひとつのバロメーターで選手を評価することは間違っているという示しというほどに、今年の遠藤は日本が誇る日本が生んだ自慢のプレーヤーだと世界に発信できる存在だ。
それは日本代表でも魅せた通り。
先日のアギーレJAPANの戦いは、はじめて遠藤を使うと遠藤なしではもうサッカーができないほどに遠藤に惚れ込んだことがわかるかのような戦いだった。
一度、遠藤を使うことで、遠藤がいないサッカーはできないと感じさせることができる。
そんな選手なのだ。

それはW杯後からの遠藤だ。
W杯前からW杯中の遠藤は、どこか物足りなさを感じた。
あきらかに落ちてしまっているように見えた体力や、フィジカル面での不安。
しかし、W杯が終わり、中断が明けると遠藤は試合を重ねるごとに久々にみせる遠藤が指揮を執るオーケストラをみているかのような錯覚に陥るほどのサッカーを魅せた。

今のガンバ大阪は宇佐美ばかりが取り上げられるが、遠藤が創り上げたチームだ。
もちろん長谷川健太監督の手腕も大きいのだろうが、遠藤はガンバ大阪に厳しく経験を伝えてきた人間なのだ。

遠藤が海外にいかなくともパフォーマンスを海外選手たちと共にできるのにはワケがある。
遠藤はJリーグであっても海外基準と同じくパフォーマンスを下げることはしない。
それはJ2でも同じだった。

世代交代が進むガンバ大阪では遠藤のやり方についていけない選手も多々いた。
しかし、それに遠藤は合わせることはしなかった。
下の基準に合わせてしまっても、それはチームとして伸びない。
チーム力を上げるためには自分の基準についていけること。それが最低条件だと言わんばかりに遠藤はどんなに合わないパスでも出し続けた。
選手がそれに追いつけなくても、感じ取れなくても、それを続けた。
それが遠藤が得てきた経験をチームに伝える手段だったのだ。

その結果、今のガンバの選手たちが育った。
遠藤基準の選手たちが育ったことで、今のガンバ大阪の強さに繋がっている。

宇佐美が戻ってきたこと、そしてパトリックの獲得、今野のボランチのコンバートによって遠藤の幅は拡がった。
自由にしなやかに、そして楽しそうにサッカーを奏でる姿は、遠藤保仁の最高を観ている感覚だ。

ガンバ大阪は、リーグ優勝を果たした。
今のガンバ大阪の強さを止められるチームは果たしてあるのだろうかというほどに、今のガンバ大阪は、「強い」。
ひとつひとつの積み重ねを経て、手ごたえを感じながら自分たちに自信を持ちながら
ガンバ大阪は輝きを増し、頂点に立った。


2014 Jリーグ ディヴィジョン1
優勝 ガンバ大阪

積み重ねた勝ち点は63


ナビスコ杯とJリーグ優勝を獲ったガンバ大阪はまだ天皇杯の栄光にチャレンジする位置におり、三冠の期待も大きい。
が、まずは

Jリーグ 優勝という栄冠に

おめでとうを 伝えたい。


ガンバ大阪、J1優勝


おめでとう!!

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