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【ツエーゲン金沢】 首位!夢でも奇跡でもないツエーゲン金沢の「本物」 エース清原をプロにしたであろう運命的な出会い 【J2】

2015/05/04 20:41配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


ついにツエーゲン金沢が首位に立った。
今季J3からはじめてJ2に昇格し、クラブとして大きな一歩のチャレンジを開始したツエーゲン金沢が今、J2で首位に立った。

シーズン前、この予想が出来た人がいただろうか。
ツエーゲン金沢の快進撃。
そこに今季のJ2の特徴が見えてくる。

これは夢でも、偶然でも、運でもない。
確実な実力がそこには、在る。

●今年のキーは狙いの「サッカー」を持っているか否か

J2は現在、消化した試合は42試合中11試合。
そこで勝ち点25で首位に立ったのが、ツエーゲン金沢だ。

ツエーゲン金沢の全選手の年俸の総額は約1億円といわれ、J2の中でも選手人件費はかなり少ないといって良いであろう。
特に今季はセレッソ大阪の20億円規模のクラブに加え、大宮アルディージャ、ジュビロ磐田とJ1でも少なくないであろう人件費を持ったクラブがゴロゴロし、さらには今季勝負に出た福岡や札幌といった10億円規模と言われるクラブも存在する。

選手の評価が挙がれば金額も当然上がる。
年俸は選手への最大の評価価値であり、有能な選手を集めるとなるとお金がかかるのがサッカー界のひとつの流れだ。

金沢の総年俸額は約1億円。
しかし、戦国時代といわれる今年のJ2で今、首位に立ったのだ。

ツエーゲン金沢を表現する上で一番しっくりとくる言葉は「チーム力」だ。
昨年開幕したJ3の舞台でも、開幕前から優勝候補として数えられていたクラブではなかった。
なにもかもがはじめてのJ3を勝つのは難しい上に、金沢が優勝し昇格という予想は難しく、評価として4.5番手に挙げられていた。

しかし、結果的にJ3優勝。
そこで積み上げたサッカーは、守備をしっかりと固めたサッカーであり、カウンターで得点を取るといったスタイルだった。

J2に舞台を上げた今季も、そのスタイルは変わらない。
プロの舞台で経験を積んできた他チームと対戦するために、しっかりと金沢が行っていることは「分析」だ。

相手をスカウティング(分析)し、守備を中心に選手一人一人の真っ向勝負ではなく、チームとして相手をどうブロックすることができるのかを考える。
そして約1週間の準備期間の練習で、その結果から見えた攻略方法を取り入れつつ、自分たちの創り上げてきた守備の徹底を確認する。

今季は現在11試合を消化し、失点はJ2トップの6。
2失点以上したのは横浜FC戦のみで、あとは1失点の試合が4試合となっている。
そして重ねた得点は18点。その内8得点がエースでキャプテンの清原が重ねた得点となっている。
しっかりと守ってカウンターで一気に攻撃するスタイルで、相手の嫌なところを突いてきた結果、今の順位がある。

相手の嫌なところや、ボールを獲りに行く位置や相手の得意とするコースを切るなど、分析結果を頭に入れ対応しつつ、自分たちのサッカーをこなす。
引いたサッカーを面白くないという人も多いが、金沢は勝つためのサッカーを展開しているのだ。

今後、ジェフ千葉やジュビロ磐田、Vファーレン長崎等、上位陣との対決があり、そこでどういったサッカーを展開するのかが注目される。
特に注目したいのは千葉との対決だ。

現在2位の位置につけているジェフ千葉。
ジェフの監督である関口監督が持つスタイルを徹底的に浸透させている千葉は、攻撃的でありながら守備的。
守備をしっかりと整えつつ、一気に手数少なく縦に速くボールを前へと出し、ショートカウンターで一気にゴールを狙う。
関塚サッカーといえば川崎フロンターレ時代の超攻撃的サッカーという印象が強いが、守備に関してもしっかりと整えプレッシングが速いサッカーを展開する。
今季の現在の失点は8。金沢に次いで少ない失点なのだが、試合として4-4という打ち合いとなった雨のセレッソ戦での失点試合を抜くと、他の試合では守備はしっかりと機能していると言える。
プレス速くボールを奪い、時間をかけたいところではポゼッションしてからスイッチと共に一気にスピードを出して攻撃を仕掛ける千葉のサッカーは、J2トップレベルであることは間違いない。

金沢や千葉、そして現在8戦負けなしで順位を上げてきている福岡やこれまでの首位ジュビロを破った札幌など。
共通することは、しっかりとした「独自スタイル」を持ってサッカーをしていることだ。

得点力のある外国人FWや選手個人が持っている能力に頼るサッカーではなく、多くの決まり事を全員共通で持ち、守備にいくところはココから行く、攻撃に行く際にはこの人数をかけるといったスタイルが徹底されたチームが今、結果を出している傾向にある。
そしてJ1にも共通していえることだが、日本代表が今取り入れた縦に速いサッカーが全世界的に主流になってきているが、J2でも縦に速くというサッカーが多く見られる。
J2の傾向としては守備に「らしさ」を持っているチームが多く、金沢のようなブロックをしっかりと作るチーム、千葉の速いプレッシング、札幌の変則5バックへの転換など、守備からチームを建て失点を少なく結果を出しているチームが多いのだ。

金沢はその傾向の 今一番のトレンド。
金沢のサッカーはJ2に結果を残しているのだ。

●エース清原翔平が北海道で出会った指導者

ツエーゲン金沢で現在8得点を挙げ、得点ランキング2位の位置につけている選手がいる。
それがキャプテンでもあり、チームと異例の5年契約を結んでいる、清原翔平だ。

彼は北海道出身の選手だ。
私が彼を初めてみたのは札幌大学サッカー部在学時だったが、その頃から目を惹く選手だったことは確かだ。
しかし、プロの舞台でここまでの活躍をする選手となることを見抜けたかといえばそうではない。

2001年、高校サッカー選手権大会にはじめて北海道代表として出場した帯広北高校。
選手権の全国大会からは遠ざかっているものの、北海道内の高校では強豪校の1つであるこの高校で選手権出場から2年後入学しプレーしていた清原は、その後札幌大学へと進学した。
札幌大学は北海道でも有数の歴史あるサッカー強豪校。

関東や関西の大学を中心にサッカー強豪校である場合、サッカーグラウンドは天然芝や人工芝のグラウンドを持つが、札幌大学のサッカーグラウンドは土。

土まみれになり何度磨いてもなかなか汚れが落ちない練習した分だけ土が刻まれていくボール。
固い土グランドで何度もダメになるスパイク。
毎日の練習着の洗濯は砂と土との戦いとなり、公式戦は芝のグラウンドで行われるため、ボールの速さの違いに対応しなくてはならない。

そういった環境の中でプレーしていた清原は、札幌大学時代におそらく大きな影響を受けたであろう指導者に出会っている。

それが現在、東洋大サッカー部で監督を務める古川毅氏だ。
清原翔平が大学4年時の最後の一年、古川毅監督の元でサッカーした。
この古川氏は京都U-15、U-18でコーチ兼U-17監督の指導歴があり、現京都サンガの宮吉や駒井、山田、伊藤といった選手たちを育成した指導者だ。
選手時代はコンサドーレ札幌やモンテディオ山形などでプレーしたディフェンダーだった。

この古川氏の指揮するサッカーは、とにかく細かな部分まで追求し、バルセロナ流メゾットを取り入れたサッカーだった。
仮想バルセロナや仮想チェルシーといった理想を掲げる指導者が多いが、この古川氏のスペインサッカーの勉強はただ試合を見るだけではもちろんなく、勉強に勉強を重ね、日本のサッカーとスペインのサッカーの融合、そして学生たちの能力を極限まで引き出すサッカーを目標としていた。
言うことが難しく、その内容に最初は戸惑う選手がいながらも信頼関係が生まれるまでに時間はかからず、その新鮮で要求が厳しい指導を信じて日々取り組んでいた。
古川氏が示したサッカー論は、見たことも聞いたこともない深さあるサッカー論で、刺激になったことは間違いない。

そしてその頃の清原含め、高校時代からの清原をみている人がいた。
それが現在、ツエーゲン金沢で監督を務めている森下仁之監督だ。

当時、コンサドーレ札幌のアカデミーでコーチや監督、そして育成部長を務めていた森下監督は、練習試合や札幌のアカデミー出身の選手のその後を観るために訪れた公式戦で、清原の姿を観ていた。
その記憶が残っていたからこそ、そしてその選手がJFL SAGAWA SHIGAで活躍していたからこそ、ツエーゲン金沢が獲得するという道が出来たのだ。

札幌大学を卒業する時。目指していたコンサドーレ札幌からのオファーがなく、プロになる道を一度はあきらめかけた清原だったからこそ
今、サッカーができる場所があること、プロという舞台でプレーできることに歓びと感謝を感じ、プレーしていることが伝わってくる。
清原翔平という全国では無名の選手だった選手が今、日本全国から注目される選手となった。
これは現実であり、積み上げてきた彼の努力の結果であろう。

ツエーゲン金沢の今季の目標は、J2残留だ。
J1ライセンスをまだ持たない金沢はチームで持つ練習場もなく、クラブハウスも持っていない。
首位に立った今も目標はJ2残留と変わってはいないが、常に目の前の試合に全力を懸ける。

自分たちより強いチームしかいないという意識を持ち、常にチャレンジ精神を持ち、全力だ。
そのツエーゲン金沢の戦う姿を観て、動かされるたくさんの魂がきっとある。


ツエーゲン金沢の戦いはまだ始まったばかり。
ツエーゲン「らしさ」に自信を付けた11試合。
J2のチームを知る新しい発見の11試合。

偶然ではない。
奇跡でもない。

ツエーゲン金沢は 「強い」チームなのだ。

Good!!(97%) Bad!!(2%)

札幌大学の練習環境の話は興味深かった。

でも清原が影響を受けた指導者って高校の時の指導者ってインタビューで言ってた。
コンサドーレに行きたかったのも大学卒業後じゃなくて高校から大学に行く時だったんじゃなかったかな

名無しさん  Good!!0 イエローカード0 2015/05/05|15:29 返信

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