【浦和レッズ】 西川周作が約束するフェアプレーという誓いと 笑顔が呼ぶ幸せとパワーが持つ力 【日本代表】
2014/12/18 12:54配信
カテゴリ:コラム
2014 Jリーグアウォーズにて初めてのフェアプレー賞の受賞と、3季連続のベストイレブンを受賞した 日本が誇るGK。
彼のプレーする姿、そしてファンサービスにとても積極的で人に対しての感謝や向き合うことを忘れない姿からは、人柄の良さを感じる人たちが多いだろう。
たくさんの人たちが好きなGKとして名を挙げる選手であり、愛される選手である。
西川周作。
今、日本人選手のGKの中で一番と評する人も多いGK。
川口能活、楢崎正剛という2大GKを挙げて2つのタイプに分類されてきた日本のGKだが、西川周作は新たなタイプであり、今世界から注目されるGKであることは間違いない。
これから日本の守護神になるべき期待がかかるGKだ。
正確なパントキックから繰り出される攻撃の可能性
西川といえばというほどイコールで繋がるもの。
それがパントキックだ。
西川のゴールマウスから放たれるキックによって、チームが速い攻撃に転じることができる。
放つキックの速さも高さも絶妙であり、西川が狙いを定めたところまでボールが到達するまでにフィールドプレーヤーたちがジャンプをしても届かないギリギリの高さで空中を速いボールが切り抜ける感覚だ。
そして狙ったところにボールが届くと、そのボールがアシストとなることがあるほどに、攻撃の起点となれるボールを配球することができる。
これは西川にとって勝利への「パス」なのだ。
GKというポジションはセービングが注目されるが、それだけのポジションではない。
セービングは目立つパフォーマンスだが、ポジションをどこに置くかというところはGKとして一番大切な部分であり、ポジションをどこに置くかによって相手にシュートを打たせる打たせないというほどの違いが生まれてくる。
さらにディフェンスをどう動かすかという、試合を予測する判断能力も必要となる。
コーチングによってディフェンダーを動かし、隙のない守備を形成する。
それがGKの基準といっても良い。
しかし現代のサッカーでは足元のあるGKが要求されるようになった。
世界№1GKとして名高いバイエルン所属のノイアーもその一人。足元があり試合を切ることなく、攻撃に繋げられるような判断と技術を兼ね揃えているGKが今、世界では評価が高いのだ。
浦和レッズの監督であるペドロヴィッチ監督は、いち早くそれを日本で要求した監督だった。
浦和レッズの前に5年間指揮していたサンフレッチェ広島時代、西川は大分トリニータからサンフレッチェ広島入りした。
当時の大分トリニータは過去の大分の歴史の中では最強という時代を過ごしていた。
その戦い方と選手の育成に評価が高く、サッカー界でその時期一番といって良いほどの注目を集めていた。
その話題の中の一人であったのが西川周作だった。
ナビスコ杯で優勝し、タイトルを手にした大分はその年、リーグでも躍進し4位という順位でシーズンを終えた。
しかし2009年には一転、J2に降格してしまい、財政難となった大分トリニータは育成した選手たちを手放さなくてはならず、西川周作は数あるオファーの中からサンフレッチェ広島を選択した。
金銭的にチームに残すお金として広島が高額な移籍金を支払ってくれることで、チームに残すものが少しでも大きいと考えていた西川が魅力を感じたこと
そして当時の広島の監督だったペドロヴィッチ氏が攻撃の起点となれるGKを望んでいることが決め手となった。
ペドロヴィッチ氏は西川に「常におそれるな」と指導したという。
攻撃の起点となるGKになるためには、試合を簡単に切ってはいけない。
これはセンターバックにも言えることなのだが、相手が自陣に攻めてきた際にボールをクリアし、タッチラインを割ってしまうと相手のボールとなってしまう。
危機的状況をギリギリで回避するという面ではクリアでタッチラインを割ってしまっても当然仕方ないが、いつでもそれでは試合が止まる回数が多くなり、相手ボールからのスローインとなり組み立てを作らせる時間を与えてしまうこととなる。
ただクリアするのではなく、そのボールを切ることなく、味方に繋げ攻撃に速く転じることができるかというところが「繋げる」サッカーとなる。
西川はそこに重点を置き、相手の選手がシュートやフィニッシュに近いパスなどからボールを奪取した場合には、武器であるパントキックで前に攻撃の起点としてパスを供給し、チームの速攻を生む。
ペドロヴィッチ体制では、試合を組み立てることに時間をかけ、攻撃を組み立てる際には最終ラインでボールを動かし時間をかけてセンターライン付近までボールを動かした後、センターラインを超え相手陣営に入り込むと一気に速いパス回しやサイドを使いながら人数をかけて崩しにかかるサッカーを展開する。
自陣で組み立てを作るために最終ラインでボールを回す際には、数多くのバックパスの処理を適格に行うことが求められ、さらにはGKから前線へのパントキックだけでなく、センターバックやボランチへのボールの供給も求められる。
そういった「パス」が西川には求められ、そのパス供給の成功率は現在西川が日本一となっており、成功率はほぼ100%を誇る。
パントキックが取り上げられることが多い西川だが、短いパスを多用し攻撃を組み立てる役をしているのも日本では一番多いGKなのだ。
バックパスを相手に狙われた時も、相手のフィールドプレーヤーを足元のテクニックで交わす場面もシーズン中何度も見られ、攻撃に転ずるためには相手のプレスもおそれず、試合を切らずに前へという意識も忘れない。
時に前へという意識があるが故に、そのボールを奪われ失点してしまう場面もあるものの、日ごろそのやり方で効果的にチームに勝利を生み貢献しているため、誰もそれ責めることはない。
攻撃のためにはリスクが付き物であり、西川にとってはそのリスクがすぐに失点に繋がってしまうというハイリスクを常に持っているが、それでも攻撃の起点となるという自分の仕事を捨てることはしない。
西川周作の持ち味は、攻撃の起点になることができるGKであり、ゴールマウスから直接でも常にゴールを狙い勝利を呼び込むことができるゴールキーパーであることを意識しているのだ。
笑うことで幸せを呼ぶことができるという信念
西川周作はどこにいってもどんな立場となっても笑顔を絶やさない。
もちろん戦っている時は、戦いの顔をしているものの、試合中も味方選手たちに笑顔を送る。
日本代表に定着し、注目度も高い西川周作だが、日本代表として遠征したくさんのファンやサポーターに囲まれても笑顔で元気に対応する。
それはどこにいっても変わらない「西川スタイル」だ。
サッカー選手が意識的に笑おうとするというのは珍しいだろう。
撮影の時に笑ってと言われ要求されたり、意識的に笑わなければいけない状況だと判断した時に、仕方なく笑顔を作る選手はいるかもしれない。
普段のサッカー選手が見せる笑顔は、通常であれば自然に出る笑顔であるはずだ。
しかし、西川周作の笑顔は違う。
いつでもどこでも要求されなくとも笑顔で接する。撮影であってもファンサービスであっても、試合中選手がミスした時でも笑顔なのだ。
それは笑顔が生む安心感と幸せを 西川自身が信じているからだ。
その笑顔は時に
ありがとう!
だったり
大丈夫!
だったり
任せとけ!
だったり
と意味のあるものだ。
ただヘラヘラ笑っているのとはワケが違う。
自分が笑顔になることで、人に幸せと安心感を生めるならいつでも笑っていたい。
それが西川周作の「プロ意識」なのだ。
西川が笑うことでミスしたり、不安を感じている味方選手たちが 大丈夫と思える。
時に相手選手であってもプレー中に熱くなり、我を失うほど激高していても、西川の笑顔で落ち着くこともある。
応援するファンやサポーターたちが、その笑顔に応援が伝わっているという幸せを感じ
子供たちは憧れのサッカー選手に笑ってもらえたことで、親近感を持ち、かっこいいと感じ、そうなりたいと心に刻む。
どんなピンチであっても周作がいるから大丈夫と信じることができる。
幸せを呼び、パワーを呼ぶ。
それが西川の笑顔に対する信念となっている。
西川はその笑顔でたくさんの選手、サポーターを共に笑顔にしてきた。
日本代表であっても日本サッカーのひとつのブランドである浦和レッズであっても、そのスタイルは変わらない。
避けることなく見つめ忘れない過去
Jリーグアウォーズ ベストイレブン受賞の檀上で西川は口にした。
過去の過ちから学び、成長した姿をたくさんの人たちに見てもらい、受賞することができた。
と。
過去の過ち。
西川がそう指したのは、西川が過去に自身のブログに書いてしまったこと。
世間で西川周作というGKが注目されはじめた矢先の事件だった。
その一件で西川は世間からバッシングの嵐にさらされ、自身が発信する言葉にこもる大きな意味と、世間を動かす力がありそれがどちらにも転ぶ可能性があることを知り、厳しい時間を経験した。
その事件があったからこそ、さらに西川は自分のプレーを磨き成長することにすべてを尽くした。
笑顔でたくさんの人に感謝の気持ちを届けた。
人間は弱い生き物であることがほとんどだ。
過去の誤ちに関して、もう触れてほしくないと避ける人間が多い中で、西川はあえて自身の口から過去の過ちを言葉にした。
そのことを忘れてはいないから、今がある。
自分の歴史をきちんと見つめて、一歩一歩歩んできたのだろう。
フェアプレー精神はその時、西川に生まれたゆるぎない「約束」。
2012年から3季連続でイエローカード0を積み重ねた西川は今季、初めてフェアプレー賞を受賞した。
あの時。
イエローカード累積のためにわざとイエローを貰ったとブログに綴った過去の「過ち」は、選手として西川を成長させ、強いフェアプレー精神と前に進む力を生んだ。
子供たちのお手本になるような選手になりたい。
そう西川は目標を持ち、日本代表の正位置獲得へとチャレンジする。
大分トリニータ
サンフレッチェ広島
浦和レッズ
所属するクラブで守護神と呼ばれてきた。
成長した「現代」GKは日本が生んだ世界に発信すべきGKへと成長し、身体は大きくはないものの今日本で一番のGKへと進化を遂げた。
日本代表ではまだ川島永嗣というライバルの壁が大きく君臨しているものの 西川の可能性を信じ待望論が多く聞かれる。
多くのサッカーファンに愛され、信じられているGKである。
西川周作 28歳。
次のW杯の時には32歳を迎えることになる。
世界に日本のGKが賞賛される日もそう遠くはないだろうと 西川の姿を見ていると日本のサッカーの歴史をも背負わせて期待してしまう。
32歳の西川は日本のゴールマウスを守り、きっと日本代表の攻撃の一手として存在していることだろう。
今季は無失点記録をJ1最長となる16試合に記録を伸ばした。
Jリーグ最長記録はJ2で記録した大分トリニータの17試合。
それは自身が関わる記録として残っている 大分の自分が刻んだ歩み。
その記録を超えるには、自分との戦いとなる。
今季
フェアプレー賞、3季連続のベストイレブンを受賞した西川周作。
日本代表のGKでもあり、日本サッカー界の超一流選手といって良いだろう。
それでも彼の基準は変わることはない。
変わっていくのはまだまだ成長を続けるプレーと、経験を積みさらに輝くであろう笑顔だけ。
たくさんの笑顔で人々を幸せにし、自分も幸せになる。
笑門来福―。
西川の練習用レガースにはその文字が刻まれている。
たくさんの努力と、自分を見つめる厳しさがあったからこそ西川周作は今、その姿を確立させた。
笑顔になることで自分のつらい場面や苦しい場面も乗り越えてきた。
だからこそ、輝くその笑顔は
人々の心に届く、光となって幸せを届けてくれるのであろう―。
一筋の弾道を描く 素晴らしいキックの行き先に
日本の未来を託して―。
良質なコラム、いつも楽しみにしています。
名無しさん | 0 0 |2014/12/19|02:18 返信