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【浦和レッズ】 この街には浦和レッズが在る―。街に溢れるfootball 【J1】

2016/05/16 22:35配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム


浦和レッズはACLグループリーグを突破し、ラウンド16へと進出した。
ゴールデンウィーク半ばに行われたACLグループリーグ最終戦は埼玉スタジアムで行われ、グループリーグ首位通過を懸けた戦いだったが、浦和レッズはリーグ戦との連戦であることや、次の試合が埼玉ダービーであったこと、
すでにグループリーグ突破を決めていたことに加え、ラウンド16に向けたイエローカードの累積への警戒など、さまざまな要因から主力の多くを休養にあてる選択をした。

その時、首位を走っていたシドニーFCとの勝ち点差は3。
今季ACLで調子が上がらない広州恒大を相手にシドニーが勝利すると、浦和が勝利をしても追いつけないという状況にあった。
シドニーが引き分け以下である場合は、浦和が勝利した場合に得る勝ち点3が生きる形となりグループ首位の位置を手にすることができる機会ではあったものの、確実ではないその道とリスクを照らし合わせ出した戦い方だったのであろうと推測する。

昨年はグループリーグにて1勝1分4敗という結果で最下位にて敗退という結果だった。
しかし、今季は違う。
Jリーグ開幕3日前に行われたACL開幕の試合を勝利でスタートさせ勝ち点3を得たことがなによりも大きかった。
その後、浦項に0-1と敗戦を喫するもののアウェイ広州恒大戦では2点先取されながら試合終了間際に同点に追いつきドローとすると、さらにACLを戦う浦和レッズのボルテージが上がる。、
迎えたホーム広州恒大戦は、平日にも関わらず3万人以上が埼玉スタジアムへと詰めかけ、一体感を持ってアジアを獲りに行く決意を持って戦った。
クラブとサポーターがひとつになり日本を代表して戦う1チームとして、全身全霊で昨年のアジア王者であり現在アジア№1ビッグクラブとなった広州恒大を迎えた。

その大一番で勝利を挙げたことで、よりACLを獲りに行くという目標を明確にし、より覚悟を持って今後を戦う決意を持ったであろう浦和レッズ。
Jリーグとはまた違った戦いであり、独自の空気感の中戦っているが、浦和はアジアを獲りそして世界に挑戦するためのその先をひとつ、またひとつと強くなりながら進んでいる。
それを会場にいた一人一人が実感できる素晴らしい試合であった。

事は、そのホーム広州恒大戦の日まで遡る―。

多くのサポーターが足を運んだ埼玉スタジアムには桜が咲き乱れ、日本を象徴するような戦いの場と化していた。
咲き誇る桜の木々に足を止め、真っ赤に光り浮かぶ埼玉スタジアムで今日は何かが起こるはずだと予感させた。

どのチームの選手たちもそしてサポーターたちも、相手にして一番威圧感を覚えるであろう浦和レッズのサポーターはこの日、いつも以上にボルテージを上げ、決戦に向けて一体感を高めいつも以上の大きな声を響かせた。
ここは埼玉スタジアム。ここは浦和レッズのホームスタジアムだ―。
その想いが会場中に溢れていた。
戦いとは、こういうことをいうのだと感じさせる特別な空間がそこに在った。

試合前から響いたその大きな声とその力を持って戦う浦和レッズ。
全体がひとつになり戦った決戦。
絶対に負けられない。勝ってアジアを獲りに行く。
その熱き想いを持って真っ向から広州恒大とぶつかった。


―。
熱き戦いを終え、たくさんの人たちが興奮を持って、帰路に付く。
大きな勝利の後だからこそ、たくさんの笑顔と達成感がそこにはあった。

アジアのライバルである広州恒大に勝利したことが誇らしく、想いを溢れさせ祈る気持ちを伝えながら一人一人が戦った後というような人々が赤いユニフォームを着て試合について語りながら歩いていた。
19時30分にキックオフした試合が終了し戦った選手たちを讃え帰路に付くのは22時を過ぎた頃となる。その日はまだ週の前半である平日で、明日の朝には再び仕事である人々が大勢いる。
しかし、そんなことは問題ない。今日の試合があったからこそいつも以上に頑張れる気がする。そんな一日になったことが伝わってくる。

近くを歩いていたある浦和サポーターの方と、横並びになったというだけの偶然ながら自然と会話がはじまった。

Jリーグ開幕から浦和レッズを応援しているというその男性は、浦和レッズを見始めた頃はまだ中学生だった自分が今となっては家庭を持ち、一家の大黒柱という立場になっていると話す。
人生の時間と共に常に浦和レッズが存在してきたという。

男性はこの日、さいたま市内で仕事を終わらせて駆けつけた時には、後半が始まるところだった。
本当は仕事を終えてから埼玉スタジアムに向かうと、キックオフには間に合わない。「だから今日の試合に来ることをあきらめていたんです」と男性。
「でも、クラブが決めた当日券でも前売り券と同じ値段にするという英断が自分を動かしたんです」と言った。

前売りチケットは、試合の日時の予定に合わせ時間を作れる人たちが購入できるチケットである。
当日にならないと仕事が終わる時間がわからないという人や、仕事が終わらなければ試合に行ける時間かわからないという人たちは、前売りチケットは購入しない。
その時間の在り方によって、予定が立たないということで埼玉スタジアムまで向かうことを諦めてしまう理由となってしまうものだ。
しかし、クラブがその英断をしたことは、仕事を終えてその試合に足を運べるか当日になってみないとわからない人たちであっても、浦和レッズを応援しに来てほしい、力が必要です!というメッセージを感じ取ったと男性は話した。

もしかしたら電車の乗り継ぎや混雑などによっては、到着する頃には試合は終わる頃になっているかもしれない。結果だけを観に行くことになるかもしれない。
それでも、いいと思った。たった500円の違いと思うかもしれないが、その決断には500円では計れない魂が込められている気がした。

仕事を終えてから、埼玉スタジアムまでの道のりまで、スマートフォンを一切開かなかったという。
途中経過を見てハラハラするのではなく、とにかく仕事を終わらせて少しでも早く埼スタへ向かうことに集中したという。
試合で戦う選手たちを、そしてそれを支え背中を押す浦和サポーターの力を信じていたという。

後半開始に間に合い席に着くと、この日の埼玉スタジアムの雰囲気を創り出す一人となったことに、来てよかった。来るべくして来た場所だと感じたという。
試合を終え、今日この試合で戦い、この勝利を味わえた一人になれて本当によかった。
浦和レッズが在る生活が幸せだと至福の笑みで語り、戦いを終えた男性は、帰路についた―。

浦和サポーターである男性の話を聞きながら近くの駐車場へと向かい、停めていたレンタカーへと乗り込み、その日さいたま市内に予約していた宿泊先のホテルへと向かうべく車を走らせた。
ナビゲーション通りに道を進み、夜であることもあり、周辺の土地勘がないためどこかまったくわからないが、まだスタジアムの光が遠くに見えるような住宅街の中を進んでいた。

信号が赤になった時。
大きな犬を連れ散歩中の年配の女性が、息を切らして車に向けて走ってきた。
なにか困ったことがあったのかと思うほどに、必死に走ってきた女性は車の窓を開けてほしいと伝えてきた。

窓を開け、どうかされましたか?と聞くと
サッカー帰りの方ですか?と尋ねられた。

そうです、と答えると。良かったー!と言い、「浦和レッズは勝ちましたか!?」
早口でそう尋ねてきた女性の手は無意識であろうが、手を組み祈る形となっていた。

勝ちましたよ。いい試合でした。
そう伝えると、本当ですか!?と満面の笑みで、「やったー!ありがとうございます!突然すみませんでした!」と喜んだ。

「私はもう年なのでなかなか試合には観に行けないのですが、それでも年に主人と何試合か観に行くんですよ。サッカーのことはよくわからなかったのだけど、ココに住んでいるから…浦和レッズがあるから好きになったんです。
試合に行けないことが多くても試合の結果が気になって…でも恥ずかしいけどインターネットがよくわからなくて…試合の結果をすぐに知ることができないんです。でも勝ってよかったー!本当によかった!帰って主人にも教えてあげないと!」

信号が青になり「突然すみませんでした!教えてくれてありがとうございます!」とその女性は大きな愛犬を引き連れてその場を離れた。
気づけば偶然かもしれないがその愛犬は赤色の服を着せられていた。浦和レッズを想ってのことかもしれない。

普通の住宅街。
犬の散歩をしている全く知らない人ながら、footballで繋がった。
この街は、浦和レッズの街なのだ。

地域密着を掲げるJリーグだが、真の意味を持って地域に深く根付き、街のシンボルとなっているチームはまだ少ない。
好きな人は好き―。Jリーグはまだそういった世界である。
しかし、浦和には浦和レッズがある―。地域に根付きシンボルとなっているその存在感を感じさせる出来事だった。
ココに住んでいるから。浦和レッズがあるから。サッカーのことはわからなくても浦和レッズが好き。

信号待ちをする車。夜に同じ女性同士といえども知らない人に声をかけ、試合結果を聞くほど、結果が知りたかったのだ。
その行動に、浦和レッズへの愛情が溢れている。

浦和だから。浦和レッズの街だから。
住宅街で突如として声をかけられたその女性を背中をミラーで見ながら、そう刻んだ。


浦和に住んでいるからこそ、知ったfootball。
浦和レッズという誇り。

この街には、浦和レッズがある。
footballな場所であると改めて感じた、その出来事を経て
ホテルに着きコンビニに入ると、コンビニの店員さんもまた「浦和レッズ勝ちましたか」と聞いてきた。

思わず笑みがこぼれた。
この街は、footballで溢れている。


浦和レッズ、ACLラウンド16は5月18日。
埼玉スタジアムで1stレグが行われる。

相手はFCソウル。
韓国勢に圧されている日本勢だが、ラウンド16の舞台で韓国リーグ現在首位を走るFCソウルとJリーグ首位を走る浦和レッズが対戦する。
FCソウル中心選手の一人であるのは、かつてサンフレッチェ広島で10を背負っていた高萩洋次郎は、浦和レッズの中心選手たちと同年代であり各年代そしてA代表でも共に戦った、ライバルかつ仲間である。

FCソウルはACLグループリーグ首位で通過を決め、グループリーグ最終戦こそサンフレッチェ広島を相手に落としたものの
それ以外を4勝1分で戦ってきた力あるチームである。今年のACL優勝候補の一角だ。

ACLラウンド16決戦は
5月18日 埼玉スタジアム2002にて19時30分キックオフ。

真っ赤に染まる埼玉スタジアムで。

浦和レッズが在る街、浦和で。

再びfootballを感じる時間を過ごしたい。

そう願い、決戦の埼玉スタジアムへと向かいたいと思う。

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いい記事ですね。
ただ、ウエスタンシドニーではなくシドニーFCなので早目の訂正お願いします。

名無しさん  Good!!0 イエローカード1 2016/05/16|22:49 返信

大変申し訳ございませんでした。ご指摘ありがとうございます。遅くなってしまい大変申し訳ございません!訂正いたしました。ありがとうございました。読んでいただきありがとうございます!

Tomoko Iimori   Good!!0 イエローカード0 2016/05/26|22:54

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