CHANT(チャント) 日本代表

【日本代表】 日本代表、それぞれの終わりなき旅 【W杯】

2014/06/27 10:42配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

 


惨敗―。

日本代表の最後の舞台となってしまったのはコロンビアとの決戦。
そこで突き付けられたのは、日本は世界に届いていないという現実だった。

選手たちの脳裏には、これまで重ねてきた日々と努力、そして支えてくれたたくさんの人々の顔が浮かんだことだろう。
現実は非情にも突き付けられた。

1勝もできず、グループリーグ敗退。
自分たちは弱かった。

厳しい厳しい現実だった。


●海外でプレーしてきた選手たちの終わりなき旅

南アフリカW杯の後、たくさんの選手たちが海外へと活躍の場を移した。
広い世界の中でも有数の舞台へと成長を求めて駒を進めた。

その先にあるのは「W杯」。
日本代表としてW杯の舞台に立ちたい。それは絶対に頭の片隅にあったはずだ。

日本から海外へ挑戦する選手たちは覚悟を決めて移籍をすることが多い。
日本という慣れた地ではなく、言葉も文化も異なる知らない遠く離れた異国で生活をするというのは、想像以上に大変なことだ。

だからこそ、強い想いそして勇気、希望がなければ海外への挑戦は成功しない。
行ってみて厳しかったと帰ってくる選手も多い中、海外でも頭角を現しそのリーグのチームの主役になるような活躍さえ目立つようになった。

それは日本人選手として誇らしいことであり、日本代表が世界に近づくことがイコールなのかもしれないという期待に繋がった。

海外で生活する中で、不安や寂しさ、不自由さ…たくさんのことが日々押し寄せてくる。
そんな中でも芯の部分があるからこそ彼らは海外で進むことができているのだ。

それはW杯を目指すこと。
日本代表選手として日本代表を強くすること。

世界で戦うためには、世界でプレーしなければそれは体感できない。
そう感じたのは南アフリカを経験した選手たちが感じたことだったであろう。

日本代表に呼ばれていても結果として入れなかった選手たちもたくさんいる。
しかし、彼らはこれからも海外でプレーし続けるであろう。
世界で突き付けられた現実は、選考から漏れた選手たちにも響いたはずだ。

海外と日本を何度も往復し、蒼いユニフォームを着るためにW杯への想いを胸にプランを立てて準備をしてきただろう。
どんなことが必要か
どう戦うか
何度も何度も頭の中でイメージしてきたはずだ。

ダメだった時はなぜダメだったのか考え、できた試合であってもそれ以上を求めて世界基準を目指してきた。
日本代表を引っ張ってきた彼らは、生活のすべてをかけて4年間戦ってきた。

しかし、現実は厳しいものだった。
正視したくないほどの結果だったであろう。

日本のエースは、4年間のすべてを否定しなくてはいけないのかもしれないと語っていたが、その4年間は否定はしても無駄になることはない。
がんばりや努力が報われない時もある。
それはとても厳しい現実であり、深い悲しみを感じる。

しかし、報われなかったからこそ、そこで終わってほしくはない。
どんなにがんばってもダメなときもあるが、あきらめてしまった時すべてが終わってしまうのだ。

W杯という目標を持たずして彼らはどう戦っていくのだろうと考えると
日本代表のために常に日本サッカーを引っ張ってきたこの4年間しかイメージできないために、日本代表のためではない彼らが想像できない。

蒼いユニフォームを着て、世界最高峰の戦い方を、そしてビジョンをもっと伝えてほしい。
まだ彼らの旅は終わっていないはずだ。


●五輪を経験して誓った世界への終わりなき旅


ロンドン五輪…前評判としては日本はそんなに良い評価はされていなかったはずだ。
しかし、日本五輪代表の残した結果は4位。ライバルである韓国に負けてしまい銅メダルを逃したことはとても悔しい結果となった。
あの時の悔しさを感じたからこそ、もっと自分たちは上のレベルにいかなくてはいけないと向上心となって繋がり、本格的にW杯という世界の舞台を意識した大会になったはずだ。

五輪を機に海外に舞台を移した選手も多く、徐々に日本代表に入る選手たちも増えた。
Jリーグでも五輪を経験した選手たち、その世代の選手たちが中心となって活躍する時代となり、世界を意識し代表を意識するようになった。

日本代表に選出されたばかりの選手たちが口ぐちに言ったのは代表の技術の高さだった。
五輪で4位になった選手たちにとっても日本代表のサッカーは感じたことのないレベルの高さで、付いていくこと、理解することに必死で食らいついた。
このレベルにならなくては
まずはそこが目標となり、日本代表を意識したプレーをするようになった。

日本代表のために、世界と戦うために、そしてW杯のためにしている身体作りや姿勢、生活の仕方までストイックさのすべてが刺激になった。

そうして得たW杯への道。
しかし、現実は非情にも厳しいものだった。

自分たちがやってやる!そんな意気込みもありながら先輩チームメイトに憧れに似た自信を持っていたはずだ。
しかし、自分たちも、そして刺激そのものだった先輩選手たちも無残にブラジルの地で砕かれた。

もっと時間を与えられていたら…と感じていているはずだ。
そして自分たちがもっと成長しなければとも感じたはずだ。

これからもっと世界を知って、次のW杯にも出たい。
主力として戦いたい。
そのためにはなにをすべきか。
それを身近で見てきたが、それでも世界に打ち勝つことはできなかった。
痛感したからこそ、自分たちなりの厳しい道を自分に厳しく創り出さなければいけない。

彼らの終わりなき旅はこれからも続く。
新たなる4年はすでに彼らの中でスタートを切った。


●悔しさを抱え得たW杯戦士の終わりなき旅

五輪に出られなかった悔しさ、天才といわれながらも一時各代表という舞台とは遠い場所にいたところから這い上がってきた魂。
さまざまな苦境を乗り越えたからこそW杯を手にした選手たちがいた。
その道はとても険しく困難だったことだろう。
彼らが誇り高き蒼いユニフォームに袖を通し、ブラジルの地に立ったことは奇跡ではなく、自分たちで手に入れたものだ。
努力なくしてこの地に立てるものはいない。それを知っているからこそ人一倍焦りを自分に課せて、必死に日本代表の力のひとつとなれるよう、日々を重ねてきたはずだ。
外された、遠ざかった時期があったからこそ、蒼いその特別なユニフォームに想いを持って、目指してきただろう。

結果として悔しさ残る、自分たちを表現するまでの結果を出せなかった大会になってしまったかもしれない。
しかし、彼らは知っている。その悔しさを力にする方法を。
その力がとてつもない強い力になることを。

今回のW杯が集大成でも、ゴールでもないと、彼らはもう前を向いて悔しさという力を持って見据えていることだろう。
自分のさらなる向上を。そして自分の終わりなき旅を。


●年齢は関係ない。まだまだ進む終わりなき旅

W杯を経験するのはこれで3回目。それぞれのW杯があった中で、一度も出られなかったW杯からチームの柱の一人になり、今大会は核と直前までは考えられながらも悔しい結果として終わってしまった。
海外に旅立つ選手たちが多い中でJリーグでプレーすることにこだわりを持ち、Jリーグに世界を示す、伝える役目を担っている彼は普段は淡々としていながらも内に秘めているもの、そして日本代表に対しての想いは熱い。
長きに渡り日本代表選手をしているのは選ばれているからではない。彼は選ばれるためにはどうしたら良いか、日本サッカーがどうやれば強くなっていくかをしっかりと考えこの4年間…いや。10年以上を過ごしてきた。
Jリーグからでも世界で戦えるという姿を魅せ、Jリーグでプレーをしていても海外でプレーする選手たちと対等に戦ってきた。
それは日本をそしてJリーグを背負っているようにもみえた。
実は誰よりも代表に深き愛を持ち合わせ、日本代表で優勝したいという道を持っていたのは彼が一番強いかもしれない。

年齢という部分で代表引退?代表ではもう厳しい?という声もあるが、それでもいつでも日本代表を目指したいと口にした彼の代表への想いは静かながらやはり熱く、簡単に譲れないのだ。

チームの心臓と言われながら、チームの力になることができずにブラジルを去ることになったことは厳しい結果となったことだろう。
それでもまだまだ成長してみせるという闘志が彼には見えるのだ。

Jリーグから目指す終わりなき旅はまだまだ続くことだろう。


●一度終わらせた旅をリスタートさせた終わりなき旅


一度終わらせたはずだった。
もう自分はW杯を目指すことはしない、そう決めた人生だった。
これからはどれだけ長くサッカーをするか というビジョンに切り替えたが、チームメイトがそして家族が火をつけてくれた。

最後の最後、サプライズ選考といわれた彼は、このW杯の主役となった。
彼の躍動は日本を救ってくれるのではないかと見ている者をワクワクさせた。
経験あるW杯という姿をさまざななポジションで見せつけてくれた。
そしてそこには南アフリカとはまた違った悔しさが残った。

たくさんの人が日本代表に押し出してくれた。
亡くなった父、そして家族。新たな地で出会った自分を最大限に生かしてくれた仲間。
代表に!と背中を力いっぱい押してくれた新たなチームの熱き温かき家族のようなサポーター。

それは彼の大きな大きな力となり、日本代表の中心となった。

これでもういいや…なんて思っていないはずだ。
きっとチームに帰ってJリーグで爆発させてくれるのではないだろうか。
点を取りに行くということはこういうことだと日本代表で示してくれたその姿は、日本代表の活力になった。

一度終わらせようとした旅は、たくさんの人の手と想いによって終わりなき旅となった。
蒼きユニフォームが似合うのは積み重ねてきた代表での歴史があるから。
きっとまだまだ周囲が彼を求め続けるであろう。まだまだ終われないその先に期待したい。

 


日本代表のブラジルW杯が終わった。
この4年間を考えると本当にあっけなく、そして短い戦いに終わってしまった。


W杯出場が悲願だった日本代表が
世界の頂点を公言し、目指した初めての大会。

結果は惨敗に終わったものの、出場で満足するのではなくその上を目指す時代となってきた。

彼らの4年間の道は違ったのかもしれない。間違いだってあったかもしれない。
でも
それは無駄にはならない。

それは日本サッカーのために費やされた「本気」。

彼らの4年間の生き方を繋げて次へ進まなくてはと思う。


4年間ザッケローニ監督率いる日本代表が魅せてくれた

たくさんの感動

たくさんの悔しさ

たくさんの発見

たくさんの歓喜

そして、たくさんの夢。

 

日本のサッカーのために彼らが歩んできた日々
すべてに

最大の敬意をこめて

 

ありがとう。

 

 

 

「もっと大きなはずの自分をさがす 終わりなき旅」

by Mr.children 終わりなき旅

 

 

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