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【日本代表】 2014に響け。6月の勝利の歌~2002日韓W杯を踏まえて想うこと~

2014/05/02 15:23配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

 


日本中が真青に染まり、良い意味で異常なほどサッカーで一色になったのは2002年のこと。
Jリーグが開幕した年から数年間は日本中でJリーグブームとなった時期もあったが、それとはまた次元の違った光景が拡がった。

サッカーに興味がない人でも、小さな子供たちでもお年寄りでもサッカーを観て日本代表を応援した。
蒼い服に身を包み、たくさんの人が一喜一憂し、涙を流した。

日韓ワールドカップはアジアで初めてのW杯であり、日本にサッカー文化を根付かせてくれた大きな歴史となった。


当時、「にわかサポーター」という言葉が世に出回るようになった。
それまではサッカーに興味がなかった人たちが、サッカーのルールもよくわからない状態の中で応援する人のことをそう指した。
Jリーグを中心にサッカーをそれまで見てきた人たちと、にわかサポーターと呼ばれる層で着眼点の違いや意識の違いなどから対立するようなこともあったが、それでも日韓World Cupは新たなサポーターたちを生む良いきっかけとなったことは間違いない。

当時はにわかサポーターと言われた人たちが、それからサッカーに魅了され、今はJリーグ全体の多くのサポーターが日韓W杯からのサッカーファンとなっている。
もちろんそれ以前からのサポーターも存在し、さらに2002年から12年も経過した今、日韓W杯を知らずにその後のタイミングでサポーターになった人たちもたくさんいるのだ。

日本のスポーツ文化の中で、サッカーはJリーグ発足、そしてフランスW杯にてW杯初出場、さらに日韓W杯と立て続けに大きなポイントがあったことでサッカー文化が根付く成功へと繋がった。

日韓W杯を舞台にした公式DVDである 【6月の勝利の歌を忘れないと】いうDVDがあることはご存じだろうか。
今2014ブラジルW杯に向けて、日本代表は5回目のW杯出場に向けカウントダウンに入ったといっても良い時期だ。
それはサポーターも同じ。
代表選手たちがどんな面々になるのか、どんな戦いになるのか、今回はどんなドラマが生まれるのか。
楽しみに、そして緊張に包まれていることだろう。

そんな中で是非見てほしいのが、
【6月の勝利の歌を忘れない】
というDVDなのだ。

 

今はプレミア価格になっており入手することが困難だと言われているが、一部レンタル店などで取扱いがある。
これは当時の日本が熱狂的にサッカーで包まれた光景だけでなく、選手たちのロッカールーム、監督のスカウティング(分析)によるミーティング、選手たちの宿舎での様子などがリアルに映し出されている。

日韓W杯は今までのW杯の中で一番身近にサポーターを感じ、日本全体がひとつになって応援し、期待しているのがわかった日本代表だったであろう。ホームで戦えたW杯だったからだ。
その選手たちはさまざまな想いや期待、そして希望を背負っていたのだ。
とてつもなく大きなものを。

その中で、彼らは戦っていた。

初の勝ち点。
初の勝利。
初の決勝トーナメント進出。

その中で選手、スタッフ、そして協会関係者などたくさんの人たちが戦っていたのだ。
日本のために。日本を背負って。

それがわかる映像となっている。

●日韓W杯から見えること


数年ぶりにこのDVDを見直して思ったこと。
それは「チーム」として戦っているということだ。

もちろん今の日本代表もオモテにはなかなか出てこない部分といえども、しっかりとしたチームに作り上げられていることだろう。
それは選手間の絆も含め、お互いのことを知ること認識すること、そしてチームの雰囲気づくり、チームでの役割など…。
しっかりとしたチームとして動いているはずだ。
代表に誰を呼ぶべきという論争はいつまで経ってもやまない、それが世論というものだが、チームとして集大成のこの時期にプレーの評価だけで簡単に新しい人間を入れるわけにはいかないのがチームというものだ。
だからこそ、いつでも論争を巻き起こすものなのだが、日韓の時の日本代表のチームの雰囲気やそしてそれを作り上げているのが監督の存在が大きいということがわかるところが興味深いのだ。

マスメディアを通して聞こえてくる話としては、トルシエ監督に関しては賛否両論であった。
確かに、時に喜怒哀楽が激しく、そして選手たちは口ぐちにトルシエ監督に関しての文句を言った。
しかし、メディアを通して聞くと重く考えてしまいがちだが、このDVDでリアルを見ると口うるさい先生に文句を言う生徒たちのような形となっており、やっていた選手たちは勘弁してくれよと思っていた部分もあるだろうが、この図式はこれで良かったのである。
だからこそ、あのチームは良いチームだったのだなということがわかるような映像なのだ。

トルシエ監督はどんな時も、選手たちに声をかけた。
それはやさしい声ではない。
厳しくなにも決まっていないんだを繰り返す。

控えの選手たちにも怒鳴るように言うのだ。
お前だって出るんだぞ!お前だって入ったときには仕事をしなければならない!
その時はすぐに来るかもしれないんだ、と。

日本代表に選ばれるのは23名、全員で戦うと言葉で言ってもやはりその中でなんとなくスタメンで出る選手と控えの選手がわかる。
しかし、トルシエは選手たちにゲキを飛ばし続けるのだ。
お前かもしれない!なにも決まってない!と。

相手によってメンバーを巧みに代えた。
それは選手たちの能力を把握しているからこそ、相手によってのベストを選択することができ、トルシエは存分に23名を使った。
もちろん出場できなかった選手もいる。
しかし、試合前日のミーティングまでメンバーは発表せず、発表してからもポイントとなる選手を残して、その後交代するかもしれない選手や同じポジションの選手を残してゲキを飛ばす。
ちゃんと話を聞け!これはお前にも言えることだ!お前がやることになるかもしれないんだぞ!と。

控え選手の志気を下げない。
それがトルシエ流なのだ。

その結果、コンスタントではなくてもスタメンを入れ替えて結果を残した選手たちがたくさんいた。
まず正GKを楢崎正剛にしたこと。
ずっと川口能活だった日本代表のGKという一人のポジションを直前で代えた。
そして森島や市川、宮本など試合によってスタメンで出場した選手やアクシデントによって出場した選手たちが結果を十分に残した。

さらにこの代表で大きかったのは、ベテラン枠として中山と秋田を呼んだことだ。
秋田はしばらく招集していなかったが、それでもディフェンスリーダーとしてベテランとして必要だと判断し招集。
そして中山にはそのDVDの中でベテランとして、してほしいことを直接会話として伝えているのだ。
中山にしてほしいことはこういう役割だということを明確に伝えている。

トルシエは中山に10番というサッカーでは特別な背番号を用意した。
その理由は。

トルシエジャパンの10番といえば名波浩があげられる。
中村俊輔を候補にも挙げていたが、トルシエは名波の回復を誰よりも待っていた。
名波浩はW杯一年前に負ってしまった膝の怪我により選出が難しく、注目されたが結局代表入りはならなかった。
直前になんとか復帰するなど期待もされたが、結果的に名前を呼ばれることはなかったのだ。

しかし、トルシエは名波の10を中山に与えた。
それはトルシエなりの名波への配慮だった。
同じジュビロ磐田のチームメイトである中山に名波の番号、そして日本代表のエース番号を背負わせたのだった。

そういった選手たちへの配慮、そして気持ちがトルシエは漲っていた。

指揮官のこういった熱意は選手たちの心に届くほどに、チームをひとつにする。
選手たちがいくらひとつになったとしても、監督はじめチームスタッフもひとつにならなければ結果は生まれない。

DVDの最後の場面。
チームスタッフが涙声で選手たちを讃える場面がある。

お前たちは本当に素晴らしい。
そう涙するチームスタッフたち。

決勝トーナメント1回戦で負けてしまったロッカールームでは、選手たちを讃えるスタッフ、そして涙する選手たちを支えるトルシエ監督の姿があった。

●2014ブラジルW杯へ…


チームというものは作り上げようと努力するものでもあるが、自然の力も大きく必要で、同じところを見つめ同じところを目指す必要がある。
日本代表チームは以前にも書いたが、選抜チームではない。
立派な作り上げた積み重ねのあるチームなのだ。

4年に1回だから、4年で作り上げたのではなく、それ以前から日本サッカーが作り上げてきたチームなのだ。

戦いが終わるのはどの場面かはわからない。
しかし、ブラジルの地でそのチームの集大成が終わりになってしまった時。

もっと観たかった。
と思えるようなチームであってほしいと願う。

心からの尊敬と、心からの応援を胸に。
ブラジルW杯まであと40日あまり。

是非、【6月の勝利の歌を忘れない】を見ていただきたい。
入手困難なので、DVDを持っている方はたくさんのサッカー応援仲間に見せていただきたい。
この歴史を見ることで感じることがあるはずなのだ。日韓W杯はサッカーを応援する者にとっても外せない歴史のひとつだ。
W杯の重みを、W杯の特別さを感じることができるであろう。


日本代表選手選考発表まであと10日となった。
さまざまな想いが選手たちだけでなく、応援するサポーターにも、選手たちを支えるクラブのスタッフや関係者などにもあることだろう。

最高の「チーム」として。
2014年6月。
勝利の歌を歌い、一生忘れられない瞬間に出会えるように。

2014年の日本代表だからこその
勝利の歌を-。

 

 

 


日本代表選手選考発表まであと10日となった。
さまざまな想いが選手たちだけでなく、応援するサポーターにも、選手たちを支えるクラブのスタッフや関係者などにもあることだろう。

最高の「チーム」として。
2014年6月。
勝利の歌を歌い、一生忘れられない瞬間に出会えるように。

2014年の日本代表だからこその
勝利の歌を-。

 


 

 

 

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