2015/03/11 19:06配信

武蔵

カテゴリ：コラム

Jリーグが開幕しました。

新たなシーズンの幕開けは、いつでも喜ばしいものです。

ゴタゴタの続いた日本サッカーにとっても、明るい話題になるでしょう。
しかしその開幕節

いきなり、悲しいことがありました。

それは誤審です。

サッカーにとって避けられない事態と言えることとはいえ

誰もが望まないことですし

そして、それを避けるための努力を知っているサッカーファンとしては

なんとも悲しい出来事です。

そして、今節で起きた誤審は

勝負の行方を左右するほどのものであったことは否めません。

ジャッジが試合に影響するというのは非常に残念です。

余談ですが、サッカーは「カオスでフラクタル」なものです。

つまり、今回の清水対鹿島のように、2点差ついたから帳消しだとか

双方に1回ずつ関係する誤審があったから帳尻だとか

そういうものは一切認めたくありません。

それは、サッカーという競技にもとる言動です。

そんなことはあり得ないでしょうが

公式にその手の発言をしないでおいてほしいと強く思います。

それではなぜ、そのような誤審が起きてしまったのか

というよりは、審判のジャッジに対して、こんな心構えが必要かもね、という

言わば「フットボールハック」とも言える考え方についてです。

審判批判の是非

巷で言われている意見として目立つのは

「審判は甘やかされている」

というものです。

その論拠として挙げられるのは

「マズいジャッジがあったとして、審判のコメントが出ない」

「当然、その際の審判への取材はNG」

「旧J’s GOALにおいて、監督などの審判批判はカット」

などでしょうか。

確かに、批判の声に晒される機会は少ないと思います。

だからこそ、ブラジルW杯時の西村主審への批判の多さ

反響の多さに驚いたというファンの声が多かったと言えるでしょう。

ですが、ミスジャッジがあったとして、その批判が公に届けられることで

何か良いことはあるのでしょうか?

その手の批判に晒されることで、ミスは減るのでしょうか?

因果関係を証明しろとは言いませんが、私はそうは全く思いません。

この場合、プロフェッショナルレフェリーなら

プロフェッショナルらしく、ミスがあった時は、プロである選手と同じく批判に晒されるべきだ、という意見もあります。

ですが選手は対戦相手と戦っています。

しかし、審判は何とも戦っていません。

粛々と、地道に、ルールを適用のみです。

そんな審判に、選手と同じ環境を求めるのは酷ではないでしょうか。

まして、選手へのブーイングに関する問題も規模を広げている昨今です。

批判が届けばそれで良い、というスタンスには甚だ疑問を持たざるを得ません。

審判の評価は専門家によってされている

では、審判はどう評価されているのでしょうか。

審判の評価は毎試合に発表される審判アセッサーという専門家によりなされています。

例えばミスジャッジをしたとして、多くの場合でペナルティを受けます。

つまり、割り当てを減らされるということです。

審判の報酬は、J1で主審が12万円、副審が6万円

J2だとそれぞれ半分・・・というようになっています。

もし、プロフェッショナルレフェリーであれば割り当てが減る

もしくはカテゴリーが下がる、ということはまさに死活問題です。

それこそ、サッカー選手のようにワンプレー、ワンプレーに

生活が掛かっているのです。

その状態を知った上で、審判のジャッジを論うだけならまだしも

時には人格批判も含むようなものがされることは、あってはならないと言えます。

ただ、その評価基準も完全に機能しているとは言えません。

今節起きた誤審のうちのひとつ

G大阪対FC東京でのライン際の判定のことがありました。

この試合の主審である岡部主審はこの度、国際主審に選出されたということで

一定の評価を受けていると言えます。

そして、そこまでの評価を、特にFC東京サポーターは

多くの疑問を投げかけてきたことでしょう。

そして今回のことがあったため

「なんだ、その評価基準は機能していないじゃないか」

と言われても仕方がないことにも言及しておかなければなりません。

また、これは個人的な向きですが

今、J1で最も納得のいく主審であると私が勝手に思っている飯田淳平氏が

注目カードとはいえ、J2に割り当てられたことも

そういった考えを助長させます。

ブーイングにも三分の理

では、我々サポーターは、審判やレフェリングそのものに対して

100%のリスペクトと絶対服従が必要なのでしょうか。

これはサポーターとしての意見ですが

ミスジャッジがあったとして、そのレフェリングに対するブーイングや批判を

取り締まるようなことを協会の内外でしてほしくはありません。

善悪はどうであれ、審判は判定を担保してしまっています。

審判の、特に主審の判断は最終決定であり、結果は覆らないということです。

つまり、それを知った上での、ガス抜きという意味でのそれらを

致し方ないものとして容認してほしいということです。

サポーターは自分の応援しているチームへの有利な判定を望んでいるワケではありません。

フェアな判定をこそ望んでいるのです。

サポーター(と一部の選手)に必要な心構え

サポーターにとって大事なのは、判定に対してストレスを抱えない事です。

その為に、サポーターに出来ることはなんでしょうか。

恐らくは以下の2つが言えることだと思います。

①審判の基準を知る

清水秀斗氏の良記事でもあったように、その年のレフェリングの基準は

富士ゼロックススーパーカップでおおよそ知る事が出来ます。

なんにしても、初めが肝心ということで、それは各試合にも言えることです。

審判により、またその日により微妙に違う判定基準を知る事は重要な事です。

また、審判によって、解釈が違うということも学んでおきたいところです。

②ルールブックを読もう

これは競技規則というものですね。

審判は判定の専門家です。

それに文句を垂れる方々はどうでしょうか。

その批判は正当なものでしょうか。

例えば、昨年のJリーグ第23節 FC東京対神戸の試合で

東京の森重真人が神戸の田代有三と接触、流血という事態になりました。

この際、一旦ピッチを離れて止血をしなければならないのですが

競技規則では、流血した際にはいずれかの審判に血が止まっていることを

確認してもらわなければ、ピッチに復帰することはできません。

多くの場合はメインスタンド側に出て、第4審に確認してもらうのですが

その時はなぜかFC東京のスタッフがバックスタンド側に出してしまい

第4審の確認を受けることが出来なくなってしまったのです。

その場合、主審が確認を行うのですが、当然、インプレー中はその確認を行えません。

それなのに、止血をアピールする東京の選手達と

当然、規則に則った行動を取る主審との間に軋轢が存在しました。

そして、東京サポーターから浴びせられた大・大・大ブーイング。

これには観戦していて辟易しました。

例えばあのようなことは、競技規則を知っていれば起こり得ません。

ブーイングにも善し悪しがあると個人的には思いますが

あの件に関しては、サッカーに関わる者としては、恥でしかないでしょう。

そして、その手の悪しきブーイングはサッカーにおいて

マイナスでしかないことは大前提です。

それらを知るために、回避するために、競技規則を読んでおくことは大事です。

また昨今では、判定に関する解説や解釈の例などを題材にした

ブログもかなり存在します。

それらも活用することで、サッカーと審判を取り巻く環境が

改善されるのではないでしょうか。

また、今回の主題である、判定に関するストレスを無くすという

「フットボールハック」の実現に一歩近づくと言えるのではないでしょうか。

これも余談ですが

同じく開幕節の湘南対浦和でのこと

浦和の森脇良太が湘南の大槻周平をペナ内で倒してPKを献上したことですが

これは丸っきりファウルです。

そのファウルがペナ内でのことである以上、それはPKとなります。

手を使ったホールディングに関しては、再三再四、基準が示されています。

にもかかわらず、危険なエリアでそれを引き起こしてしまうこと

また、複数選手で主審を囲んでの抗議は、見苦しいことこの上ありません。

これや、上で挙げた例も合わせて

サポーターでなく、選手ももう一度

競技規則に関して知っておいた方が良いかもしれないと思った例でした。

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