2014/08/15 14:09配信

Tomoko Iimori

カテゴリ：コラム

 

先日、国内大型移籍としてアルビレックス新潟から川又堅碁が移籍を果たした。
移籍先は名古屋グランパス。
国内オファー5クラブの争奪戦となったことで注目を集めたが、川又の行き先は名古屋グランパスとなった。
川又が名古屋を選んだのは、金銭面以外での条件が良かったためと説明されたが、移籍先を決める上で選手たちが気になる条件面や環境面について取り上げたいと思う。

●契約条件と金銭面

選手たちが移籍をするにあたって大切な部分は、当然のことながら金銭面の部分は大きくなっている。
サッカー選手は選手生命が短いだけに言葉は悪いが、できるだけ稼げる内に稼ぐことが大切であり、自分の評価としての基準として金額がバロメーターになることは間違いない。
こういった金額で評価してくれるのかというひとつの基準となるのが、年俸である。

選手は年俸の他に、出場給と勝利給という条件を提示されることになる。
この出場給と勝利給はクラブによって全然違い、勝利給の中でも順位によって変動するクラブもある。
名古屋は順位によって変動されるとされており、20万円から70万円とその開きは大きく高額だとみられている。
高額な勝利給といえば、勝利給が100万円ということもある浦和が国内では一番勝利給が高額だと考えられており、その他40万円～20万円が相場となっている。
J2はそれよりも当然低く、10万円前後が相場であり、5万円というクラブも存在する。

年俸もクラブによっては提示からのマイナス査定であることもあり、すべての条件を満たした場合はこの額がもらえるといったような勝利給や出場給が含まれた契約をするクラブもある。
そこから出場できなかった分、勝利できなかった分をマイナスされていくという方針をとっているクラブもあるという。

そして契約条件として現在重視されるのが海外移籍へのオプション。
海外移籍をする場合、移籍金を海外クラブに積んでもらい移籍することがクラブとしては一番良い方法だが、選手個人のこの先を考えた条件として海外に行くときは移籍金が発生しないという条件や、常に海外優先でありオファーがきた際には優先して良いといった条件がプラスされる場合がある。
これはクラブ側の選手に対する誠意の見せ方であり、今回の川又にも適用されたという報道があった。
海外移籍をする際は優先して良いという特約を付けることで、誠意が川又側に伝わった理由のひとつとなったという。

その他、以前にも触れたが鹿島のように万が一活躍できなかった場合の次のクラブを探してくれるシステムがあるクラブや、契約更新に関しての時期が早いか遅いかなども見定めのポイントになってくる。
サッカーファン・サポーターたちに契約の情報が出てくるのはシーズン末のことになるが、選手たちは大体7月、8月から来季の契約についての話し合いをすることになり、来季に向けた契約交渉を何度も行う時期にさしかかる。

簡易的な説明で申し訳ないが、今回の川又の件に関しても1月に契約が切れるため、現在所属ということで優先権のある新潟がクラブの主力として考えているからこそ早めに交渉を始めたが、新潟の求める契約に川又側が条件が折り合わず難航。
その結果、戦力として先を戦うのを避けた新潟。そして川又は他クラブからの評価を聞き入れる形となり移籍という結果となった。

交渉が遅いクラブは9月下旬や10月頭からといった相当遅い時期にはじめ、通達するクラブもあり、その結果クラブに対する信頼を欠き移籍するといった例も多く、交渉時期、そして交渉に関する手順の速さはクラブの信頼に大きくかかわることとなっている。

●クラブ環境と、サポート

(出典:adidas Japan)

この部分に実はとても重点を置く選手も多い。
それはまずクラブ環境。

クラブ環境というのは、クラブがどのようなスタジアムで試合をし、どのようなクラブハウスを持ち、どのような練習施設で練習をしているか。
芝はどのような芝で、そしてどうのように管理されているか。
クラブとしてのトレーニング施設を備えているかなども重要であり、その他サポート環境としてスパイク管理をしてくれる人物がいるか、ケガをした際の契約とサポートはどうなっているか、試合前試合後のケアはどのように行っているか、サッカー選手としてどういったところをサポート・ケアしてくれるかといったところがクラブのカラーとなって移籍先としての魅力を感じるポイントとなる。

川又の場合、新潟からの移籍となるが、新潟はサッカー選手として在籍する環境としては良い環境のクラブといって良いだろう。
クラブハウスにトレーニング施設、サッカーに打ち込める環境と、練習グラウンドの良さ、そして新潟は食事面のサポートにも力を入れており、クラブ全体で移動する時や練習するときは食事面・栄養面で選手たちを管理する。

名古屋グランパスも環境は良いクラブとして有名だが、大きなポイントとして名古屋にはプロホペイロの松浦氏がいることは大きなポイントであろう。
松浦氏の手にかかったスパイクでプレーすることで選手としての幅が広がるとも言われており、いつも新品以上の仕上がりをしてくれる日本№1のホペイロがいることはとても心強く、松浦ホペイロは名古屋としてはオファーをする上で自慢できるポイントのひとつであろう。
松浦氏には名古屋から海外に挑戦した吉田麻也や本田圭佑など日本を代表する選手たちも今なおスパイクを託し、サポートしてもらっているというほどの腕の持ち主だ。

そういった環境やサポート環境が大きく移籍先を選ぶ上で左右する部分であり、今回のように争奪戦となった場合クラブのさまざまな部分を比較して選択することになるからこそ、金額以外の面でのこういった条件や環境・サポートがクラブを決める決定打になる。

それに加えて選手たちの情報交換が当然されており、そのクラブに在籍する・在籍したことのある選手たちに実際に話を聞いて相談したりといった口コミも含めて判断することになる。
当然移籍にはほとんどの場合で代理人が交渉している場合が多く、代理人に条件面として追加で条件を出し、それに対してクラブ側がどう誠意を持って対応してくれるかという点も重要になってくる。

どれだけ来てもらいたいかという熱意も当然必要であり、それを金額だけではなく形として示すクラブに入りたいという選手も多い。
ただ代理人を通じてではなく例えば社長自らが動くと熱意が伝わる行動となるだろう。

 

クラブのある街がどんな街で、住みやすい環境か、サッカーにどう向き合える環境かというところも焦点となってくる場合も多い。
一年を通しての気候の問題、地域性も選択するポイントの中に入ってくるだろう。

川又の場合は時間がなかったため、実際に足を運んでクラブをゆっくりと見る機会はなかっただろうが、シーズンオフに移籍となる選手たちは実際に足を運んで選択する場合が多いとされる。
実際に観て話して聞いて踏んで…決める選手が多いのだ。

名古屋グランパスは降格圏内に現在は低迷しているものの、それを助ける救世主になることができるか。
Jリーグ発足オリジナル10の1チームである名古屋は過去に降格した経験はない。
名古屋側は助けてほしいという言葉を川又に出したという報道もあった。

多くの中から選んだ選択だからこそ、結果を残し名古屋を残留させ、そして見据える先は次の日本代表に選ばれること。
それを結果として掴むことができるのか、これからに注目だ―。

 

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