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A契約枠の改正 その影響とは

2015/01/15 15:32配信

武蔵

カテゴリ:コラム

12月18日と少し前になりますが、JFAの理事会が行われその中で決定された事が発表になりました。

その中でひと際目を引くのは、プロA契約枠の規約の改正です。

これは今後のクラブと選手との関係に大きな影響を及ぼす、大きなものと言えます。

では、その影響とはなんでしょうか。

「育成クラブ」がより有利になる・・・?

まず、プロA契約とは、J1で450分、J2では900分の公式戦出場をした選手が

結ぶことのできる契約形態で、それまでに結んでいるはずのB契約、C契約では有る

年俸上限や出場給や勝利給の制限が無くなる、というものです。

その人数制限が上限25人なのです(下限がJ1で15人)。

まずその改正の中身についてですが、引用すると以下の通りになります。

「自クラブの第3種又は第2種の育成組織のチームに3年以上在籍した選手は、

同クラブのチームに在籍する場合、『25名枠」の対象外とする」

つまり、U-15(ジュニアユース)とU-18(ユース)に3年間所属した場合

プロA契約を結んでいたとしても、A契約の人数の上限である25人にはカウントされないということです。

通常日本では、U-15やU-18でも容赦なく入れ替えのされる欧州とは違い

一度入団すれば、不祥事などがない限り3年間全う出来るため

下部組織に入団した選手はその時点でプロになれるチャンスが広がったと言えるでしょう。

またクラブ側も、下部組織経験者をトップに引き上げやすくなったと言えます。

その理由として、今までのいわゆる「ユース3年枠」とは違い、半永久的に25人枠から除外されるということが挙げられます。

さらに、Jリーガーに数多く存在するケースとして

3種年代でJクラブの下部組織、2種年代で高体連のいずれかの高校またはそこから大学に進む、というパターンがあります。

そのような選手を獲得する場合でも25人枠から外れることになります。

また、3種年代や2種年代に3年間所属さえしていれば、上記のような道筋ののち

他クラブに入団した選手であっても、その後に獲得した場合、25人枠から外れることになります。

今まで以上に選手の経歴という物に目が向くようになるのではないでしょうか。

従って、3種年代、2種年代の規模が大きければ大きいほど有利になりますし

そこに連なるスクールの拡充への圧力となります。

総じて、このようなメリットがあるため、今まで以上にJクラブは

下部組織を充実させる勢いが強まるものと思われます。

ただ、育成クラブと一口にいっても、様々な例があります。

例えば、3年間在籍の条件に達するようなタイミングでの引き抜きが横行するという危険性はないでしょうか。

今までのような、中学、高校入学のタイミングに合わせた

通常の獲得競争とは趣が異なってくるかもしれません。

そうなれば結局、より良い条件を提示できるクラブが有利ということになり

トップチームにおける移籍となんら変わらない状態になります。

「育成クラブ」とはなんぞや、という事態になりかねません。

また、下部組織の充実にも必要なのはやはり予算です。

下部組織を持つことはJリーグライセンスに関わる事なので、全てのチームが

下部組織の充実に努めてきましたが、それにはやはり予算規模に左右される部分が大きいというのが現状です。

そこへ、下部組織の規模が有利不利を左右する今回の改正は今ある各クラブ間の格差を広げることになりはすまいか、ということです。

25人枠の形骸化によるセカンドチーム結成促進

とはいえ、とにかく25人枠の影響が減るというのは歓迎すべき点が多いです。

特に、真夏でも平気でミッドウィークに試合が行われる日本では

選手層に制限が課されたも同然の25人枠の意義を問う声が数多くありました。

また、過密日程の中行われるACLでの早期敗退が続いていることも今回の改正の一因ではないでしょうか。

言い訳の許されない状況を作り、結果を求める格好を見せたと言えます。

それもこれも、今までの規約はJリーグの護送船団方式の由縁と言えるのですが

結局は予算の問題につきます。

今までは25人枠により予算を制限することで、財政的な危機から未然に防ぐという狙いがあった事と思います。

それが形骸化されるということは、2ステージ制導入によるスーパーステージの

収入が確保されたと見るべきでしょうか。

予算が確保されたのなら、進むのはセカンドチームの結成でしょう。

抱える選手数が増えても、公式戦の数は変わりません。

そんな、出場機会のない選手達の成長の場として、セカンドチームを持とうという構想を持つクラブは少なくありません。

今回の改正は、セカンドチーム構想へ向けた1つ目のアシストと言えます。

もちろんこれだけでは不十分で、最終的に必要となってくるのは

トップとセカンドチームのシーズン中の自由な行き来、もっと言えば同一化です。

しかし、それも時間の問題と言えるでしょう。

でなければ、今回の改正が最大効果を発揮せずに終わってしまいますので。

しかしこの各クラブが持っているセカンドチーム構想も障害となっていたのは予算です。

セカンドチームが持てるだけの規模を有するクラブが有利となるという現実があることは否めません。

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