【日本代表】ザンビア戦から得た 収穫と課題 【W杯】
2014/06/07 12:02配信
カテゴリ:マッチレポート
日本代表はW杯前、最後の調整試合として、仮想コートジボワールとして選んだアフリカ選手権のチャンピオン・ザンビアと対戦した。
結果は4-3で勝利し、さまざまなテストが行われ、「試合」としては良い勝利の仕方で終わった。
しかし。
1つの「試合」としてであれば、この試合は良い試合だった、面白い試合だったという表現ができるが、W杯の調整試合、W杯直前の試合としては問題が見える試合となった。
●前半に出た巨大な問題
この試合の注目すべき点は、前半だった。
ザンビアはアフリカ特有の身体能力の高さ、フィジカルの強さを前面に出し、かつ組織的に展開してきた。
想像していたよりもはるかに組織的だったザンビアは、日本にボールをコントロールさせることはなかった。
日本はアフリカ勢特有のボールとの距離や瞬時にボールに飛びつく速さなどを考慮し、動かなければならなかった。
しかし、前半45分通じてほぼ相手を攻略するといったことはなく、全体的にバラつきが見られる試合展開となってしまった。
その大きな要因の一つは、ボランチのズレ。
ボランチは山口、遠藤と本番を想定した二人だったものの、距離感にズレが生じてしまい対応が一歩遅れることが多かった。
ディフェンス面での位置も下がりすぎた位置になってしまっていたため、香川や岡崎が下に引っ張られる形となってしまい、前線に飛び出す距離がありすぎるため、柿谷一人で裏へ飛び出しても厳しい展開になってしまった。
ボランチのズレは全体のズレを生じてしまい、スペースができてしまったりコントロールできなくなってしまう。
その結果ピンチを招いてしまったり、失点に繋がってしまうことも。
コートジボワールを考えるとそこを突いてくるのはヤヤトゥーレということになり、ヤヤトゥーレを自由自在にさせてしまうとなるとそこから何失点も生まれてしまうことになるだろう。
その修正を早い時間帯で自分たちで解決できると良かったのだが、前半45分ずっとそのままだったことが大きな問題だった。
前半PKを得て得点したものの、日本のやりたいサッカーは45分通じてできたとは言い難い状況となってしまった。
その中でも光ったのは、柿谷に送られた完璧なタイミングでの一本の縦パス。
山口蛍だからこそ狙えるあのパスは柿谷との長年の呼吸から生まれるものだというところをみせた。
●後半から得た数々の収穫
後半に入るとまずは柿谷に代えて、大久保を投入。
大久保は1トップの位置に入るものの、その後、前半頭部を負傷した岡崎に代わり大迫を投入したことで下がった位置になってしまったが、大久保は随所で光った。
まずどんな動きをしても大久保はとにかくキレていることがわかる。
身体が今最大限にキレている状態だろう。
すべての動きにキレがあり、途中見せた前線への速い目の覚めるような縦パスは大久保だからこそのパスだった。
周囲の選手たちに、こういった速いボールでの攻撃も時にはアクセントで必要!と示したパスとなった。
川崎フロンターレは今とても速いボールでパスをまわすサッカーをしているのもあり、それが使われた部分もあり、周囲に対しての発信でもあった。
常に大きな声を出して闘志をむき出しにする姿、W杯経験者としての判断と適応力。
難しいことをするな!シンプルに!
そう大声をあげたのも大久保だった。
熱さや気合いだけではどうにもならないこともあるが、やはりそういった気迫がチームを奮い立たせることもある。
特にW杯のような大きな舞台では足が地につかなくなることも状況としては考えられる。
そういうときにこういう選手がいてくれることはとてもプラスになるのだ。
後半からはテストを含めたくさんの選手が交代し、起用された。
そこでたくさんの収穫があった。
大久保の人間として、プレーヤーとしてのキレと引っ張っていく姿勢、自分が!と全面に出していく強さ。
大久保の決めたゴールは鳥肌が立つほどに素晴らしいゴールだった。
とんでもないボディバランス、野性的なゴール。大久保嘉人ココにあり!というゴールだった。
俺が大久保だ!というゴール。
森重の安定しているディフェンスと、攻撃面で魅せた素晴らしい判断と配球。
本田のゴールは森重からの素晴らしいボールがなければ生まれなかった。
前試合のコスタリカ戦では一番悔しい想いをしたであろう青山が、入ってすぐに見定めた一本のボールが大久保に繋がったものよかった点だ。
そして山口蛍の運動量の豊富さは超人的であり、日本代表にはもうなくてはならない存在になっている。
…後半も失点を重ね、ポジショニングが厳しい部分があったもののそれでも得点を重ねられたこと、そして最終的に勝てたことはとても良いことだった。
が。
それはすべてにおいて
ザンビアの足が止まってからの出来事。
前半のようなサッカーをザンビアができなかったことで日本は結果を出していった。
それでも重ねた失点。
それは良いことではないのだ。
●見つかったたくさんの課題
試合終了後、ザッケローニ監督、そして本田圭佑は課題を口にした。
もっとできると思っていた。
このチームはもっとできるはずだ。
そう口にした監督。
それは前半のことを指している。
指揮官は後半相手の足が止まったからこそ試合をテストに切り替えた。
前半45分でしたかったことは、どうしても得点を取らなくてはいけないときにしなくてはならないことだったのではないだろうか。
今回の最後の調整試合で確認したかったことは
90分の間で絶対に得点しなければならない時間帯
そして
90分の間で絶対に1点を守らなくてはいけない時間帯
の確認だったはずだ。
W杯を戦う上で、必ず訪れる時間。
1点を取りにいかなくてはいけない
1点を守らなくてはいけない
その戦いをどう戦うかがカギだった。
先制されてからの戦い方も重要だったはずだった。
しかし、それは日本代表は結果として得られなかったということになる。
特に1点を守り切らなければいけない守備 はガタガタに崩れた。
攻撃的、守備的といったことではなく、1試合を通じて時間をどう使い、どういうサッカーができるか。
その結果がほしかったはずだ。
だからこそザッケローニ監督も本田圭佑も「課題」を口にしたのだろう。
勝利をしたことは良いことだ。
「試合」としての結果としては良い試合だったであろう。
しかし、勝ったー!と満足する試合ではなく
W杯へ向けての調整試合だ。
ここで見つかった課題をどう監督が、そして選手たちが受け止め取り組むか。
数多くの収穫を手にしてそれをどういう場面で使い、どういう展開で自分たちのサッカーにするか。
●ザッケローニの自信
ザッケローニ監督は日本代表のサッカーに絶対の自信を持っているのがわかる。
それは23名の選手の選出に現れている。
ザッケローニ監督は「ジョーカー」を入れなかった。
ここぞというときに使いたいひとつの武器を持った選手を入れなかったのは自分たちのサッカーに絶対的な自信があり、
相手のサッカーに合わせた戦い方ではなく、自分たちのサッカーを確実に行うことを選択したからだ。
だからこそ出た
「もっとできると思っている」という言葉。
4年間で築き上げてきたサッカーはこんなはずはないという自信なのだ。
初戦まであと1週間あまり。
ザッケローニ監督は選手たちを信頼し、そして自分の道を信じて初戦に挑む。
どんな大会においても、初戦が一番重要な戦いになることは間違いない。
初戦のコートジボワール戦がすべてを左右するといっても過言ではない。
だからこそ、大事な試合だったはずだ。
あれがダメだった
コレがダメだった
で終わりではなく、それを踏まえられたことが今の最大の「収穫」である。
時間がないのは百も承知だ。
それでも修正、克服をしなければならない。
そして持っている良さを出せる道を模索しなければならない。
選手たちはもう次を見ていることだろう。
W杯 運命の初戦は日本時間6月15日午前10時 キックオフ
失点以上に得点して攻撃的に勝つ今回の日本代表スタイル。かつて無いこのスタイルがどこまで通用するのかとても楽しみです。全選手の活躍を期待します!
ishi245 | 0 0 |2014/06/08|12:46 返信
ボランチの守備面の指摘はその通りだと思う
コミュニケーションが進めば解決できそう
しかし、相手のプレスへの対応が全くお粗末
まんまと追い詰められパスをかっさらわれるシーンは大会を通じてハラハラさせられるだろう
日本人選手はテクニックがあると言われるが、厳しいコンタクトを受けるとその質は急激に落ちる
アジアのレフェリーほど甘い笛は吹いてくれないハズだから、ビルドアップから考えるサッカーをしなければならない
名無しさん | 0 0 |2014/06/07|19:22 返信