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【日本代表】 日本が世界に誇れる武器を持つ柿谷曜一朗というカード 【セレッソ大阪】

2014/06/03 21:04配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

 

不発。不調。

その言葉が新聞や雑誌を飾ることが多かった今年前半。
日本で今一番注目される選手・柿谷曜一朗は本当に不調なのだろうか。不発だったのだろうか。

 

●過酷日程の中で不発と言われ続けた

昨年の柿谷曜一朗は、自身最高得点となる21得点をマークした。
所属クラブであるセレッソ大阪は柿谷の得点力も大きく影響し、最終的にはリーグ4位で終え、終盤まで優勝争いに加わるなど最後まで結果を出し続け、ACL出場も手にした。

日本代表入りを果たした東アジアカップでは得点王となる活躍をみせ、その後日本代表の常連となり、エース候補として名前が上がるようになった。

メディアでも大きく取り上げられ、期待がどんどんふくらみ、応援するサッカーファンも増えたこともあり、メディアも過大な期待をかけるようになった。
注目されることは幸せなことであり、期待をかけられるのも幸せなことだと本人は前向きな発言を繰り返したが、その期待の過剰は通常の結果だけでは許してくれなくなっていた。

柿谷はW杯イヤーということもあり、とにかく得点という結果を求められていた。
しかし、セレッソ大阪での役割は監督が交代したこともあり、昨年のポジションではなくなった。
新加入の世界的プレーヤーであるフォルラン、そして若手注目株の一人である南野などとトライアングルを形成することが多くなり、ワントップという役割ではない機会が増えていった。

ポジションの変更と監督交代による目指すべきサッカーの違いで、柿谷の数字としての結果は昨年に比べると目立つものではなくなった。

それでもACLでは得点を連続で決めるなど、セレッソ大阪に柿谷ありきな場面を何度も見せる。
しかし世論はまだ足りない!もっと!と要求し続けた。
リーグ戦でなかなか得点が生まれないこともあり、バッシングも増えていった。

が。

それは本当に心配な部分だったのであろうか。
柿谷の本来の良さは昨年に比べて確かにみられる機会は少なくなった。
しかし、だ。

ザッケローニ監督は柿谷を使い続けるであろう。
それはなぜか―。

●柿谷曜一朗 最大の武器


柿谷は日ごろのバッシングや世論、そして自分への注目度、チームの成績…それを一人で抱えているように見える。
背番号【8】の背中はセレッソ大阪では特別なものだ。
それを特別だと誰よりも重く意識しているのも本人である柿谷であろう。

だからこそ自分の数字としての結果が出ないことに自分自身がヤキモキし、イライラしていた。
W杯もあるからこそ、数字としての結果がほしかった。

たしかに、昨年ほどの機会はなく、ひらめきも昨年の方があったかもしれない。
しかし、それはサッカーが変わったからではないだろうか。

柿谷曜一朗の良さが語られるとき、トラップが素晴らしいだとか、足元の技術だとかが評価されることが多いが、
一番の評価されるべき点、そして柿谷が日本代表で起用される理由の大きな部分は

一瞬のひらめきと才能

があるからだろうとみる。


柿谷の一瞬で見せる、とんでもないパスやシュートそしてそこから生まれるゴールは簡単な言葉でいうと「異次元」。
その一瞬が彼の場合世界トップクラスなのだ。

「一瞬」が1試合でどの瞬間に出るかはわからない。その瞬間が1試合で出ないときもある。
しかし、その可能性を秘めているからこそ
それがとんでもなく世界一流レベルだからこそ

ザッケローニ監督は起用するのだ。

それを周囲も知っている。同じくピッチに立つ選手たちは、その「一瞬」を柿谷だけが持っていることを知っているのだ。

特に本田圭佑は。

本田圭佑は天才的プレーヤーではない。
本田は間違えなく日本でトップの選手であり、日本を引っ張っていく存在である。
だからこそ、自分にはない柿谷の天性のプレーを理解しているのだ。
本田が評価するときは、メッシやC・ロナウドのような「本物」なのだ。


柿谷曜一朗は今が一番のピークではないだろう。
今回のW杯含め、これからあるであろう海外挑戦や日本代表としての経験を積んでいき、きっとピークは次の大会に来るだろうと予測する。
それでも今の柿谷の一瞬のひらめきから出る、スーパープレーは世界のトッププレーヤーをも唸らせるものがあるのだ。

そうきたか。
そう裏をかくような、こんなこともできるのかと相手を関心させてしまうようなプレーができるのは柿谷だけかもしれない。

海外でプレーする日本代表選手たちはやはり国内でプレーする選手とは違った部分を持っており、海外でしか経験できないものを持っているなと感じる。
それは国内でプレーする選手たちが絶対的に感じ痛感していることだろう。
柿谷も当然それを感じている。
しかし、JリーグであってもW杯であっても柿谷の一瞬のとんでもないパスやシュートや走り出しは、「世界」なのだ。

それを評価しているからこそ
ザッケローニ監督は柿谷を使うのではないだろうか。

トラップがうまいから、足元がうまいから
そういう点は今、柿谷以上にうまい選手は世界にはゴロゴロいる。
まだまだ世界の基準は高いのだ。

しかし、柿谷の持つ「一瞬」はとんでもないものを持つ。
それは世界のモンスターと呼ばれる選手たちが溜息をついてしまうようなものだ。


当然それは天性だからといって偶然ではない。
サッカーが大好きな少年がもっとうまくなりたい、一番になりたいとサッカーボールを懸命に蹴ってきた頃からの積み重ねによるものだ。

その一瞬をコントロールできるようになったとき。
柿谷も世界のモンスターたちの仲間入りをすることだろう。

それは日本人選手たちがまだ見たことのない世界へ、連れて行ってくれるかもしれない。


その一瞬を理解している周囲の選手たちが
それを生かせる動き出しや配球をしてくれるのだ。

サッカーは当然ながら一人でするものではない。
引き出し役がいて、はじめて柿谷もいきることができ、自分でも知りえない「一瞬」を可能にするときが来るのだ。

頭から出場しても、途中から出場しても結果を出すことができる。


インザーギを表現するときによく使われる言葉がある。
89分光が当たらなくても、1分輝けば良い。

タイプはインザーギタイプとは違うものの、柿谷曜一朗もそうなのだ。
89分ダメだと思っていても、一瞬で仕事ができるタイプであり、その一瞬で試合を自分のものにする。
その力がある選手だと私は思っている。


柿谷曜一朗は不調でも不発でも出来ることがある。。
これから瞬きをするのも惜しいほどの「一瞬」を演出してくれることだろう。

 


柿谷曜一朗の繰り出す「一瞬」を


見逃すな―。

 


 

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