日本代表・リオ世代の挑戦 コスタリカ戦から東アジアカップ
2015/08/03 18:58配信
カテゴリ:コラム
8月2日から中国・武漢にて東アジアカップが開催しています。
国際Aマッチウィークではないため
各国は国内組、または近隣諸国の選手を招集しました。
例えば韓国代表は、かつてFC東京と大宮に在籍した
キム・ヨングォンが主将を務め
これまたFC東京に在籍した
チャン・ヒョンスが副主将など
Jリーグでもお馴染みの選手たち
それでいて、未だ若手の範疇であろう選手達が
チームの中心を担おうとしています。
日本はというと、いわゆるプラチナ世代が
レギュラーを窺いつつあり
国内組では中心としての自覚を求められる
地位に就こうとしています。
柴崎岳や宇佐美貴史は
W杯アジア2次予選・シンガポール戦で
共に先発出場を果たしました。
ただ、その下のリオ五輪を狙う世代はどうでしょうか。
世界では、例えば先のU-21欧州選手権では
10番としてポルトガルの準優勝に貢献した
ベルナルド・シウバは、モナコのレギュラーアタッカーであり
既にA代表にも選出されています。
また、PSGマルキーニョスはブラジル代表のキャップ持ちであり
前所属のローマとPSG、2つのビッグクラブで
出場機会を得ています。
そんなリオ世代
日本ではどうでしょうか。
未だにA代表出場歴のある選手はおらず
今回、国内組のみの招集となり
やっと出番が回ってきそうな状況です。
Jリーグでの出場機会は増えてきていますが
個人としては、まだまだこれから
そういった状態です。
コスタリカ戦で見せた形、進化
ただ、リオ世代が個人でレベルアップをすることは
いったいなんのためかというと
やはり、リオ五輪に出場し
好成績を収めることのためです。
個人でレベルアップをし
チームとして、より戦えるようになること
これが目標のはずです。
それもこれも、来年1月のU-22アジアカップでの
五輪出場権獲得のためのものです。
それではチームとしては
強化は進んでいるのでしょうか。
直近のコスタリカ戦では
このチームとして目指しているであろう形が見えました。
7月1日に行われたコスタリカ戦。
ただでさえ時間の取れないこの世代において
5月から行われたトゥーロン国際でも強豪相手に善戦した
コスタリカ代表が相手ということで
否が応にも、力が入る1戦となりました。
攻撃面では、サイドで数的優位を作りながら
相手のペナ角、ポケットを攻略するやり方が見てとれました。
特に、相手の守備ブロックの間でボールを受け
そこからのアクションに秀でている
中島翔哉がキーマンといえ
起点となれる野津田岳人や
サイドに流れる1トップの浅野拓磨とともに
その攻撃の形を見せ続けました。
先制点はサイドからのクロスでしたが
サイド攻撃の一環と見て良いでしょう。
同サイドの2列目である野津田が合わせたことも
中の人数を揃える意識の高さを感じさせるものでした。
また、右サイドは旬の関根貴大ではなく
前田直輝だったことも、先制点のパターンと無関係ではありません。
SHはいったんサイドに出て
それから中央寄りにポジションを取ることで
SBの上がりを促します。
SBのスペースを確保するために
縦の突破が持ち味の関根の起用は難しいということでしょう。
SBのクロスからの先制点であったことは
結果で選手選考の基準を示したと言えるでしょう。
そして欠かせないのは
守備から攻撃への移転です。
前半はキャプテン・遠藤航と井手口陽介でした。
大島僚太に代わり、キャプテンとなった遠藤は
チームの中心となっています。
強い球際、鋭い出足
さらには前半6分にはスルーパスから
浅野の決定機を演出するなど
マルチな才能を見せました。
この万能な主将のパフォーマンスは
チーム運営において大きな意味を持ち
その相方は自由に設定できるでしょう。
その中で存在感を発揮したのは喜田拓也でした。
井手口はボールの出しどころに詰まった際には
身体を張ってキープするなど、一応の存在感は出しました。
ただ、2ボランチが両方ともボールを奪いに出ていくという
コンセプトがある以上
出たら獲り切る必要があります。
その点、改善が必要でしょうか。
喜田はその点、適性を見せました。
2ボランチでボールを奪い
そのまま前線へと繋げる場面が
幾度となくありました。
このコンビの際、バランスを取るために
元々CBである遠藤がスペースを埋めて
喜田が出ていっても良いでしょう。
もちろんハイプレスにも対応可能で
チームコンセプトに合ったコンビだと思います。
攻守ともにコンセプトを示し
試合も同格以上の相手に2‐0の快勝。
仙台への凱旋を果たした手倉森監督と
平日にもかかわらず集まった1万人のサポーターに
大きな贈り物が出来たと思います。
東アジアカップの「リオ代表」
東アジアカップに挑む日本代表に招集された
リオ代表は、遠藤と浅野の2名です。
2人ともJリーグやリオ代表で
結果を出し続けてきた選手で
堂々と、東アジアカップにおける
「リオ代表」と言えるでしょう。
同タイプのライバルがいたり
同ポジションに海外組も含めたレギュラーがいたりと
満足な出場機会すら、ともすれば危うい立場ではありますが
今大会のために
そして、見据える五輪のために
少なくとも手ブラでは帰れない、といったところでしょうか。