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東アジアカップ 日本代表 注目は右のCB

2015/07/31 13:19配信

武蔵

カテゴリ:コラム

日本は8月2日に初戦を迎える東アジアカップ

その男子代表のメンバーが、23日に発表になりました。

負傷を抱える太田宏介のバックアップとして

同じく発表された車屋紳太郎を含めると24人となるメンバーで

2013年大会に続く連覇を目指すこととなります。

ハリルホジッチ監督は会見で

スコアレスドローに終わったシンガポール戦を例に

「ストライカーの重要性」を語り

MF登録の武藤雄樹を含めれば7人という大所帯となった

ストライカー候補たちに対し、期待を込めました。

もちろん「J1で25点~30点獲れる選手」という

具体的な数字を挙げたことからも

得点を獲れる選手を探していることは明白ですし

確かに、エース候補の宇佐美貴史や

今が旬の武藤、リオ世代のレギュラーである浅野拓磨など

楽しみな選手が多いです。

ただ、ハリルホジッチ監督は

就任して以来一貫して

攻撃の第一歩であるビルドアップの形について

こだわりを見せていることは言うまでもありません。

そして、キーワードとしてすっかり浸透した「縦に速い攻撃」

今回はこれらの複数の要素、やりたいことを

絡ませてくるのではないかと考えます。

就任以来、初となる、合宿の伴う遠征試合ということで

準備期間は短いものの

実戦を経て、浸透させていく狙いがあるものと思われます。

そもそもビルドアップってなに?

そも、ビルドアップと聞いて

どんなイメージが湧くでしょうか。

人によっては、最終ラインで

チマチマ回しているようなものが思い浮かぶかもしれません。

ただそれは、単に悪い例でしかありませんし

厳密に言えば、ビルドアップにはなっていません。

なぜなら、言葉の意味の通り

ビルドアップとは攻撃を構築すること

攻撃の第一歩を指します。

かつてオシムの指摘した「各駅停車」のパスを

ただ相手に奪われないように回すというものではありません。


つまりビルドアップとは

攻撃の最終目標であるところの

ゴール≒良いシュートポイントを得るために

そこから逆算したパスやボール運びが肝心だということです。

その中でも、相手の対応を遅らせたり

より速く目標地点へ到達出来るようなプレーが

ビルドアップの好例と言えます。


そういう意味では

シンガポール戦は、結果もさることながら

内容的にも不満の残る内容でした。

内容面で不満な試合があるということは

この先も同じことを繰り返す可能性が高いということです。

それを排除するための大会となれば

この灼熱の中国・武漢で過密日程の中行われる

この大会の意義も見えてくるというものです。

シンガポール戦の不満を解消できるか

シンガポール戦の不満とは

ひとえに、サイド攻撃の不備に尽きます。

日本はピッチを広く使うことが出来ず

ゴールを守る上で最重要である中央を

相手に固めさせやすくしてしまいました。

2列目の3人は、短い距離でのパス回しのために

偽ウイングと言える動きに終始し

中央寄りにポジションを取り続けました。

SBは高い位置を取れずに、横幅を出せませんでした。


この点、監督は試合後に不満を露わにし

「真ん中から斜めの逆サイドへのボール」を要求したと明かしました。

しかし、サイドプレイヤーのポジショニングからして

それを引き出せるようなものではなく、不可能でした。

ただ、センタープレイヤーのその手のパスを出すという意志が

試合中から感じられたかというと、それも無かったように思います。

つまり、両方に問題があったと言えるでしょう。


この部分に修正を加えてくることは明白でしょう。

なぜなら、サイドを使う攻撃は世界のトレンド

というよりも、数多く存在する引き出しのうちの1つだからです。

世界を知る指揮官が、その引き出し無くして

世界と戦おうなどと考えているはずがありません。


今回、国内組のみの選考となりましたので

レギュラー奪取に燃える選手達は

その手法を手に入れようと、必死に取り組むことでしょう。

まして、ビルドアップとサイド攻撃で貢献できなかった主力である

吉田麻也と本田圭佑が不在なのですから。

ハリルホジッチ監督の目指すビルドアップとは?

1つは外から外へのビルドアップです。

これは初戦のチュニジア戦の前半で

殊更、狙い続けた形でもあります。

SBを出発点に、同サイドのSHを経由するというもので

始めから外を使うため

外に選手が位置していなければならず

偽ウイング的な動きをするSHでは

この手法が選択肢に入りません。

世界でも主流、というより標準的な手法で

サイドチェンジを絡ませながら

相手の守備ブロックを疲弊させます。


ここまでサイド攻撃の重要性を強調してきましたが

サイドに選手を配置し

そこを使うだけがサイド攻撃ではありません。

あくまでこちらの選択肢を増やし

相手の守備に混乱をきたすのが目的です。


そのために重要なのが、縦パスです。

味方がサイドに張ることで空いた真ん中のスペースを

利用してズバッと通すこと

これがサイド攻撃の効能です。

ゴールを奪うことを考えれば

ゴールの存在する真ん中を通すことは

最良のビルドアップであり

そしてなにより

ゴールまでの最短距離を通る攻撃は

指揮官の求める「縦に速い攻撃」であると言えるでしょう。

「縦に速い攻撃」において最速を狙うのであれば

ボランチすら経由せず、縦に通せるCBが重要となるでしょう。

また、サイドが空くならば

サイドへとパスの通せるCBがいれば事足ります。


サイド攻撃の不備、縦に速い攻撃の実行という

2つの課題を一挙両得的に解消するために

この大会ではCBに注目したいところです。

注目の右のCB候補・森重、遠藤航

ではなぜ右のCBなのかというと

左は海外組がいてもレギュラーである槙野智章

さらには水本裕貴が控えています。

彼らはいずれも右利きで、所属チームの形としても

持ち運ぶことやクリアをすることはあっても

縦パスを通すようなことは難しいのではないかと考えるからです。

攻撃的な槙野も、今シーズンの浦和では自重気味です。

シンガポール戦ではボールを停滞させた

吉田のポジションという意味でも

右CBにかかる期待は大きいものがあります。

森重真人は所属チームでは左CBです。

ただしこれは2012年からのことで

それまでは右のCBからの持ちあがりや縦パスを

主な武器としていました。

右足で持った時の精度は所属チームでもピカイチで

レギュラー奪取を目論んでいることでしょう。

遠藤航は、所属チームでは3バックの右CBで

リオ五輪代表ではボランチです。

今回はボランチの人数的にも

最終ラインで考えられているでしょうし

実際に、右SBでの出場が多いかもしれません。

ただ、各年代別代表では4バックの右CBとしての

経験も有り、可能性は十分です。

もちろん、ボール運びや縦パス

あるいはボランチプレー時に見せるスルーパスなど

攻撃で発揮できる才能を持ちます。


東アジアカップの日本代表は

右のCBに注目です。

得点シーンも、どこを起点に為されたのかに注目です!

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