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磐田vsC大阪 「橋本が効いている」

2015/07/29 19:06配信

武蔵

カテゴリ:コラム

J2は過密日程の中

中3日続きとなる中、第26節が行われました。

その中で注目は、2位と3位の上位対決

磐田とC大阪の対戦です。

自動昇格圏をまたいだ両チームの

勝ち点差は6でした。

文字通りのシックスポインターと言えるこの直接対決は

自動昇格圏を目指す全てのチームにとって

要注目の試合と言って良いでしょう。


結果は1‐0でC大阪の勝ち。

勝ち点差を3、1ゲーム差としたことで

自動昇格圏を完全に射程圏内に入れました。

東京V、金沢、福岡なども含めて

ますます、自動昇格圏争いが激化していきそうです。

サッカーにおける「数字」とは?

サッカーにおける「数字」とは、客観的なものです。

データと言い替えても良いでしょう。

それは得点数であったりアシスト数であったり

あるいはパス成功率やセービング率であったり

走行距離であったりスプリント数であったりします。
(J2は公式トラッキングデータ無し)

客観的な数字は、客観的なもの特有の利点があります。

その時々の感情や、見る人によって性質が変わるものではありません。

客観の対照である主観に左右されないということは

サッカーにおける「数字」の特に有用な部分です。

「橋本が効いている」

ただ、この試合における橋本英郎を見ていると

サッカーはそれだけでは、客観的な数字だけでは分からないな

そういう気分にさせられます。

断言しますが、この試合は橋本無くして

C大阪の勝利は無かったでしょう。

それくらい橋本は「効いて」いました。

その点、この日の解説の水沼貴史氏にも、再三指摘されています。

では、どういったところが効いていたのでしょうか。


例えばC大阪の1点目。

この日の影のMOMと言っても良い染谷悠太が

ジェイとの競り合いに勝ち、ボールがこぼれます。

それを拾い、前線にワンタッチで繋いだのが橋本でした。

そのボールを受けたパブロが

相手最終ラインとの駆け引きに勝った田代有三へとスルーパス。

田代が巧みにゴールを陥れました。

例えば30分過ぎのシーン。

C大阪左サイド奥深くでボールを奪われ

突破されれば被カウンター、という場面で

橋本は予め、測ったように良いポジショニングをし

ボールホルダーとの距離を一気に詰め

ボールを奪い、カウンターを防ぐとともに

逆カウンターへと繋げました。

セカンドボールを拾い、先制点の起点。

カウンターを防ぎ、カウンターを生み出す。

これらはいずれも、攻守の切り替えが

この上なく重要なサッカーという競技において

中盤としてはこの上なく重要な仕事です。

そして、これらの重要な仕事は

スタッツには残りません。

ただ見ていた人の記憶に残るプレーでしか

縁の下の力持ち的なプレーでしかありません。

しかしそれでいて、確実に勝利には貢献していること。

これを根拠に

「サッカーは客観的な数字だけでは語れない」

ということを言っても良いのではないか

そう思わせてくれるプレーの数々でした。

ありがとう、橋本英郎。

橋本がこれ以上目指すものとは?

とはいえ、橋本は試合後には次のような趣旨のコメントをしています。

「もっと数字として残る結果を出さないといけない」

つまり、普段の仕事にプラスアルファして

得点やアシストを記録して

もっと直接的にチームの勝利に貢献したい。

そういった決意の表れでしょう。


それが表れたのは50分過ぎのプレーです。

猛然とフリーランニングを繰り出し

相手のSB裏へと抜け出し、パスを引き出すと

中央へクロスボールを送りました。

これは「数字」でいうと、アシストを狙ったプレーと言えます。

この試合、磐田はボランチ周りが攻守で機能しませんでした。

先発した宮崎智彦が45分で代えられたのも

その状況を象徴しています。

C大阪はそこを狙うために、特に先制後には

まずはサイドを攻略してクロスを送り

CBの前、ボランチの裏のスペースに入りこむ

このパターンを狙っていました。

そのサイド攻略の手法として、もっとも効果的だったのは

磐田の右SB桜内渚の裏のスペースを狙うことでした。

そこへ、左ボランチである橋本のフリーランニングは

効果を上げていたと思います。

相手の急所が分かっているかのようなプレーを見せる橋本の

真骨頂と言えるプレーでした。

開幕後、苦しい時期を過ごす中で

「チームとして走力が求められる」

「ベテランの自分にはしんどいけど、やるしかない」

そう話した橋本が、持ち前の戦術眼に合わせて

この場面のような走力を見せたことは

「効いている」橋本が、さらに結果も追い求める上で

向上心を持った結果と言えるでしょう。

それによりチームは、フォルランやカカウ

または長谷川アーリアジャスールの退団を経ても

チームは明らかに調子を上げつつあります。


元日本代表であり

クラブW杯ではマンチェスター・ユナイテッドから

ゴールを奪ったことでも有名な橋本も

新加入の今年は22節まで先発出場がゼロ。

出場自体も3試合という状況でした。

そこから、山口蛍の代表招集や

扇原貴宏のケガによる離脱によりチャンスを掴み

4試合連続先発をしています。

その間のC大阪は3勝1敗。

得点やアシストは無くとも

チームの勝利という結果をもって

「効いている」という意味で

貢献してきたと言えるのではないか。

私はそう思っていました。

ただ、本人として目指すのは「数字」。

これからは「効いている」仕事以上に

「数字」を残し、チームに貢献する橋本の姿が見られる気がします。

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