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【浦和レッズ】 日本、アジア、そして世界へ We are Reds!が響いた夜 【ACL】

2016/04/09 21:45配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:マッチレポート


「今シーズン、アジアで一番おもしろい試合が見られるんじゃないかと」
前日会見で浦和レッズ・宇賀神友弥がそう言葉にした通り、この日の埼玉スタジアムはアジアの頂点を目指す「戦いの場」となった。

4月5日。
火曜日という平日中の平日に行われた試合だったが、埼玉スタジアムの周辺はいつもよりも熱い志気に包まれていた。

今日は戦いの日―。
スタジアムへ向かう人々から、今日という日がどれだけ特別な日かということが伝わる空気が溢れる。

絶対に勝たなくてはならない試合。
アジアのライバル広州恒大との試合に挑む浦和レッズのサポーターたちは、覚悟を持って埼玉スタジアムへと向かっていた。


夜を迎える空を背景に、赤く佇む埼玉スタジアムには
桜が咲き乱れていた―。


●歴史的試合となったであろう4月5日 広州恒大戦

選手入場のスタンバイとなり、スクリーンに選手たちが映し出されると、力強いサポーターの声が響き渡った埼玉スタジアム。
ACLグループステージ第4戦 グループH浦和レッズはホームで戦う広州恒大戦を迎えた。
アジアのライバルである広州恒大。負けられない一戦だ。

アウェイでの戦いでは、前半の14分だけで2点のビハインドとなった浦和だったが、前半に1点を返すと後半終了間際に興梠のゴールで同点に追いつきホームでの対戦に繋げる貴重な勝ち点1を奪った浦和レッズ。
勝負の決着は埼玉スタジアムで―。
そんなメッセージを感じたほどに、そのドローには先ある未来へ繋げたのだという浦和の強さを感じる試合だった。

絶対に勝利を―。
戦うのは選手はもちろん、サポーターも同じく、だ。
その強い気持ちと覚悟を持ってサポーターが創り出すホーム・埼玉スタジアム。
ここが浦和レッズのホームスタジアムだという最高の舞台を選手たちに届ける。

浦和レッズの「聖地」であることを創り上げるサポーターのその声と一体感は、チームを強く後押しすることになるのは間違いないと誰もが感じる。そんなオープニングだった。

いつも以上に緊張感溢れ、空気もピンと張りつめているが、どこかその戦いを楽しんでやるという選手たちからもサポーターからも伝わるその一戦はまさに「決戦」。
特別な一戦が始まった。

試合がはじまると同時に、攻守に速い展開をお互いにみせる。
アジアで一番のスピードとはこういうものかと感じるほどに、攻守に速くお互い相手の様子を見る時間なく、自らの攻撃を積極的に進める。
早い時間帯にゴールがほしいのはどちらも同じ狙いだったのではないであろうか。
攻撃的にお互いがゴールへと向かい、ボール奪取からゴール前までのスピードは迫力が溢れる。

広州恒大パウリーニョのゴール前で受けたプレーからは、こんなにも足首を柔らかくボールタッチするものかと衝撃を覚えるかのように、そのボールタッチだけでこの選手は並みではないということがわかる。
超攻撃的な広州恒大の強力な外国人たちは、浦和のゴールを何度も脅かす。

個で向かう広州恒大に対し、印象的だったのは浦和はチーム力を持って対応していたことだった。
強力な個である広州の選手にボールが入ると、2.3人で選手を囲みボールを奪いに行く。人数を一か所にかけることで生まれてしまうスペースには、前線の選手を合わせてフォローに入る浦和。守備にかける人数を見越してよく連動して選手たちは動いていた。
前半押し込まれた時間も多い中、チーム全体がよく集中し、守備体系を連動させていた。
浦和の守備連動の中で当たり前となっている阿部勇樹のボランチから最終ラインへの動きはもちろん、阿部に加え遠藤航が全体のバランスをよくみてポジションをとり、柏木も最終ラインに入って変則するなど、広州恒大対策とも取れる守備の連動はいつも以上に多彩だった。

強力な攻撃を受けても、浦和は守備だけに固執し決して守備的なチームになるのではなく、持ち前の攻撃力を持って広州ゴールに向かった。
守備に引っ張られることに恐れず高い位置に出ていく槙野、森脇。ひとつ前の関根や宇賀神もサイドから中央へと勝負を掛ける。
中盤でボールを縦へと入れることがJリーグの試合よりも難しく、なかなか中央を割れない中サイドからボールのおさまるズラタンにボールを入れることで攻撃の起点を何度か作り出した。

前半0-0で折り返すと、後半も序盤から激しい攻守が繰り広げられる。
前半の守備の時間と連動を考えると疲れが出てもおかしくはない後半だったが、浦和の選手たちの集中力はまったく切れていない状態でむしろ、前半を0で抑えたことでディフェンス陣はさらに自信を持って余裕を持ったようにも見えた。

そして後半7分。
前日会見でアジアで一番面白い試合になるのではないかと話した宇賀神が、サイドでフリーで受ける場面となると、右足を振り抜きボレー。
シュート性のボールはゴール前にいた武藤が方向を変えることでゴールへと向かい、ついにゴールネットを揺らした。

多くの浦和サポーターが共に戦う目の前で、ゴールネットが揺れる。
背番号9がゴール裏に向かって吠えた―。

リーグ戦の試合の中でなかなかパフォーマンスが上がらない我慢の期間もあった宇賀神。
武藤へのパスを供給するといった美しい形ではなく狙ったのはシュートだったものの宇賀神の右足でのボレーという選択肢があったからこそ生までた武藤のゴールであることには変わりない。
浦和のベンチでは武藤のゴールに歓ぶと共に、宇賀神の名を大きく叫び宇賀神のアシストを讃え、歓び、迎えた。
流通経済大学で先輩後輩だったホットラインはACLの舞台で大きな大きな結果を生み出した。

その後も広州の怒涛の攻撃は続く。
負ければ決勝ラウンド進出への望みがなくなることが濃厚な広州恒大は、意地となりその1点に追いつくために攻撃をしかけ続ける。
しかし、浦和のディフェンス陣は守備の連係に集中する中で、第1戦での戦いが材料となったことや前半での相手のスピードや間合いを理解したことで相手のプレーを読みやすくなり1対1にもさらに強くなっていった。

浦和は梅崎に代えて李を、ズラタンに代えて興梠を投入し、攻撃のギアをもう1つ上げる。
ズラタンが中央でボールを収めることができること、ポストプレーヤーとしての能力の高さがあることで相手の脅威となった場面は多く、攻撃の起点とすることができた。
そして梅崎も果敢に相手の強い当たりを受けながらもファールを得るプレーや、サイドから中央への切り崩すプレーなど貢献度が高かった。
途中から交代で李と興梠という浦和の攻撃の主軸たちが入ることで、ズラタンをトップに置いた形とはまた違った浦和の攻撃を形成し、もう1点を奪いにいくための大きなアクセントになることができる。
興梠もズラタンとはまた違ったボールをおさめることのできる選手であり、なんといってもチームのエースである。
この二人が投入されたことで、より浦和は浦和らしく攻撃を展開することに成功。
相手にとっても疲れが見える苦しい時間帯に浦和の攻撃陣に変化があったことで、広州を苦しめることに成功した。

追加点を奪うことはできなかったものの、広州が攻撃だけでなく守備にも重点を置かなくてはならないサッカーを魅せ、
最後の最後まで広州の怒涛の攻撃が止むことがなかったものの、浦和は1点を守り、1-0で広州恒大に勝利した。

勝利の瞬間。
埼玉スタジアムにはサポーターがひとつになって叫ぶ
We are Reds!!によって、ひとつとなって歓喜を迎えた。


●ディフェンスリーダーとなった遠藤航

目立たない守備での活躍ながら、この日、遠藤の存在感が本当に大きかった。
広州が抱える強力な外国人の個を前に、遠藤は時間が経てば経つほどに相手の脅威となっていた。

前半から集中して浦和のディフェンス陣全体を把握し、細かな修正を早めにしつつ指示を与えながら連動の主を取った。
自らのポジションは3枚のセンターバックの真ん中に位置する形だが、左右センターバックの槙野、森脇が高い位置となると、ボランチ阿部勇樹が真ん中に落ちて来る形で遠藤は右にポジションを取る。
時に変則4バックという形で柏木が右の後ろに入ることとなると全体のバランスを阿部と声をかけながらしっかりと舵を取り、ラインコントロールをしながらボールが入る場所を読み取り、ボールが入る前に出る。
後半、パウリーニョがバイタルエリア前でフリーでボールを受けた場面では、浦和のディフェンス陣の枚数が少なかったことを見越して遠藤がパウリーニョに対し、遠すぎず近すぎずの距離感を持って粘り強く張り付いたことで、関根と槙野が追いつき3人で囲みボールを奪取した場面があった。

遠藤が相手との1対1の状況で時間をかけたことで味方が囲む時間を作り、ボールを奪取するという場面は、浦和の危機を救うプレーとなった。

開幕戦では右のセンターバックとして試合に出たが、次の試合からは真ん中に入り浦和の守備を支えている遠藤。
今季浦和に加入したが、今すでに遠藤は浦和の守備には欠かせない存在となっていることは間違いない。
これまでタイトルを逃してしまった過去を持つ浦和にとって、失点という問題点は改善しながらも常に問題点として挙がる部分であるが、浦和にはなかった、そして必要だった守備に特化する強力な遠藤という戦力が加わったことになったのだと改めて感じることができる試合となった。

遠藤は試合をこなす度にに急成長を未だ続けていることを実感する選手でもある。
個で守っているわけではなくチームで守ることができたと言う遠藤だが、そのチームで守ることの中心に遠藤がいることがとても力強く、世界で戦ってきた広州の強力な個に対しても適応力をもって攻略したその姿は頼もしいものだった。

試合後、ゴール裏が選手たちを迎えた際、大きな遠藤コールが起こった。
遠藤が移籍してから、はじめての遠藤コールが埼スタに響き渡った。

1-0で勝利したこの日の立役者となった遠藤航は、広州恒大との対戦によって得た経験を持って今後さらに成長を遂げるであろう。


浦和レッズは広州恒大に勝利をしたことで、勝ち点を7に伸ばし首位シドニーに勝ち点2差の2位の位置に付けている。
ACLグループステージは残り2戦。
昨年は予選リーグ敗退だった浦和レッズだが、浦和レッズの目指すところはJリーグのタイトルだけではない。
アジアNo.1。
そして、おとぎ話でも夢物語でもない。

世界の頂点だ。

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