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11年越しのリベンジならず 大宮アルディージャのルヴァンカップは準々決勝敗退 ー横浜FM VS 大宮 試合レポートー

2016/09/05 00:14配信

下田 朝陽

カテゴリ:マッチレポート

大宮アルディージャにとっては「戻ってきた」三ツ沢。11年前、当時昇格1年目のチームが、ナビスコカップ準々決勝で涙を呑んだ地だ。この試合は準決勝進出をかけるだけではなく、「リベンジ」を果たすためにも絶対に負けられない一戦だ。

 

 

 

 

痛い先制点献上 一気に逆境へ

 

家長を怪我で欠く大宮は、ほぼベストの布陣。GKは塩田仁史、DFは右から奥井諒、菊地光将、河本裕之、和田拓也。金澤慎と横谷繁がダブルボランチを組み、ワイドにはマテウスと泉澤仁とドリブラーを並べた。2トップは江坂任とドラガン・ムルジャが縦関係に位置取る。

 

 

 

 

 

 

開始早々、好調のマテウスが相手の裏をとり、早速ゴール前で際どいシーンを迎える。先制点を取れれば、勝ち抜けに一気に近づくためか、非常に攻撃的な入りを見せた。しかし、その勢いは長く続かない。10分を過ぎた辺りからクオリティの高い攻撃陣を誇る横浜FMが反撃に転じる。斎藤学やマルティノスといったドリブラーには人数をかけて対処したが、バイタルを浮遊するカイケへのマークが疎かになり、ディフェンスのバランスが悪くなった。

 

 

 

 

 

32分にはこの日最初のピンチ。右サイドでボールを受けた斎藤に2人で対応したが、共に振り切られ、クロスからカイケにシュートを浴びる。ここは何とか塩田が抑えたが、このプレーで和田が負傷。代わりに大屋翼が左サイドバックに入った。

 

 

 

 

 

前半アディショナルタイムは3分。引き分けで折り返せば御の字だったが、痛恨の失点を喫する。若干オープンな展開の中盤で、横谷が前線にボールを送るがこれがミスに。横浜FMは左サイドに走った斎藤にボールを渡し、カウンターを発動。仕掛けるには十分なスペースがあったため、慌てて横谷がカバーに入ったが結果的にはこの判断が仇となった。中央の空いたスペースでカイケがボールを受けると、シュートコースを作るために動いた伊藤翔と逆に運び、ゴール右上に素晴らしいシュートを決める。この一撃で形勢は一気に逆転。大宮は点を取らなければ敗退という状況に立たされた。

 

右サイドが機能した後半 ゴール前での精度足りず

 

 

後半開始直後の伊藤のシュートに肝を冷やした大宮だが47分、横谷のスルーパスに抜け出したマテウスがゴールに爆進。GKと1対1のチャンスを迎えたが、シュートは阻まれゴールならず。横谷のポジションを高めに上げ、江坂と2シャドーとような形をとることで縦パスのコースが増え、バイタルで前を向く場面も徐々に増えてきた。54分にはバイタルで受けた江坂が右サイドの奥井に展開。そのままゴール前に走り込んでクロスを合わせたが、ジャストミートせず。この辺りから試合のペースを握った。

 

 

 

 

 

58分、泉澤のシュートをGKが弾くと、こぼれ球がムルジャの元に。ワンフェイクでキーパーを外したが、シュートは無情にも枠の外。大きなチャンスを逃した。その後も奥井とマテウスの良い連携から得点機を作り続ける。74分のマテウスのアーリークロスはファーサイドの江坂にぴったり合ったが、GKの好セーブに遭って得点ならず。その直後にも右45度でパスを受けたマテウスから鋭いボールが送られたが、誰も触れることが出来ず、流れたクロスは僅かに枠を外れた。

 

 

 

 

 

72分に清水慎太郎を投入していた指揮官は、82分にマテウスを下げ、ロングスローという飛び道具を持つ岩上祐三を投入。しかし、1対1を確実に剥がせる選手を外した結果、単調なロングボールを放り込むだけになってしまった。河本を前線に上げたが、マテウスを下げてからは殆どチャンスを作れず。頼みのムルジャは競り合いを回避し、空中戦に強い清水も中澤佑二に凌駕された。最後は前田直輝に決定的なシュートを浴びるなど、かなりバタバタする内容に。後半中盤の多くのチャンスを逃したことが結果に響き、完封負けを喫した。

 

 

浮き彫りになった家長の重要さ 不在時にはどう戦うのか

 

家長がいなかったことはもちろん痛手だった。泉澤は全く良いところがなく、頼みのムルジャは周りとに噛み合っていない。1人の司令塔を失っただけで、前線の歯車は狂った。代役の江坂は多くボールを引き出し、チャンスの足掛かりとなったが、ゴールに向かうプレーは家長と比べると少ないか。ムルジャの能力や特徴を考えると、ボランチから2本の縦パスで彼がシュートを打てるシチュエーションがベストのはず。サイドからクロスを放り込み続けるならば、清水やネイツ・ペチュニクを1トップで起用した方が得点の可能性は上がったのではないだろうか。

 

 

 

 

 

ただ、右サイドのコンビから多くのチャンスを作り出せた事は収穫と見て良いだろう。奥井に関してはより精度を上げる必要があるが、マテウスは球離れも良くなり、マテウスから奥井へのスルーパスも何度かあった。今後マークが厳しくなる事は確実だが、彼の台頭によって横谷をボランチ起用出来ることはチームにとって大きい。

 

 

 

 

 

結果は負け。敵地に駆けつけたサポーターは大きな拍手を送った。初のルヴァンカップはベスト8で姿を消すことになったが、予選6試合を1失点に抑えて無敗で突破したことを考えれば、その意義はいくらでも見出すことができる。勝敗を分けたのはアウェイゴールの僅かな差だった。この敗戦を糧にして残りのリーグ戦を全力で戦い抜くこと、大宮ファンの拍手はそんなメッセージを込めたものだったのだろう。

 

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