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【浦和レッズ】 ヴァンフォーレ甲府戦評 2-1勝利 こじ開けた6枚ディフェンスの壁 【J1】

2016/04/02 08:10配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:マッチレポート


4月5日火曜日にACLの試合があるため、金曜日開催となった4月1日 浦和レッズ×ヴァンフォーレ甲府の試合。
代表活動期間による中断を経てのJ1第5節は、埼玉スタジアムにて19時30分キックオフとなった。

浦和は3年連続ホームで甲府にドローと、甲府に苦手意識はないものの難しい相手だ。
一昨年、昨年と少しの勝ち点差でタイトルを逃すこととなった結果を踏まえると敗戦はもちろん、ドローの試合も少なくし勝ち点3にこだわりたい浦和は、
当然甲府戦でも勝ち点3を得たいという気持ちで今日の試合に臨んだはずだ。

日本代表に選出されていた柏木・槙野・西川は代表の活動の舞台が埼玉だったこともあり、移動で生じるような疲れはなく出場も2試合通してということではなかったため、体力的な問題はそれほどなかったであろう。
U-23代表に選出され、ポルトガル遠征に参加していた関根と遠藤のコンディションの方が気がかりだったが、遠藤はスタメンに名を連ね、関根はベンチスタートとなった。
コンディションによるものなのか、火曜日に行われる広州戦へ向け、今浦和の攻撃の大きな軸となっている関根を少しでも休ませるというターンオーバーなのかはわからないが、関根はベンチからのスタートとなり、右のWBには梅崎が入った。




●序盤から引いた甲府を攻略することに時間をかけた前半

序盤から甲府は5バックを敷き、その前にブロックを作る形で4枚の選手が並んだ。
9人でディフェンスを二段で構え、浦和はボールを持ち攻撃に集中し、甲府ディフェンスをこじ開けることに専念した。

9人が二段となって守る形を敷く甲府は、ボールを持つことにも攻撃をすることにも重点は置かず、シンプルに守備を固めて得点を奪われないサッカーを目指す。

対する浦和は、がっちりとディフェンスを敷く甲府相手にどうこじ開けることができるかという攻撃を模索しながら戦うという、ここ数年対戦の中で展開してきたものと同じ試合の運びとなった。

9人で守る甲府のディフェンスは、浦和のボールを持つ方向によって左右にスライドしながら、浦和のサッカーの幅の広さを警戒し、サイドの広いところに渡るまでを緊張感を持って対応するようディフェンスを敷いた。
浦和は関根がいないこともあり得意とする幅を使ってのサイドの攻撃で打開しようとはせず、中央から速い縦へのボールを入れ、ワンタッチでボールを動かし甲府ゴールの前までボールを運ぶことに成功する。
ブロックに跳ね返されるといったことは少なく、ディフェンスの人数が多い分スペースは当然狭いが、浦和の前線への縦へのボールは何度も入りその対応に甲府が遅れていた感はあった。

早い時間帯に甲府の守備の要であるキャプテン山本がイエローカードをもらい、その後前半31分には故意には見えなかったもののハンドの判定を取られ、2枚目のイエローカードで退場。
得点シーンにもなろうかというボールを阻止するハンドとなったためか、厳しい判定が下った。

前半31分という早い時間帯に一人少なくなってしまった甲府は、ただでさえ強力な浦和の攻撃に一人少ない状況で戦わなくてはいけなくなってしまう。
そこで佐久間監督は保阪を投入。5枚のディフェンスは変わらず、その前に3枚というブロックを敷くことで対応する。
が、4枚だった中盤のブロックが3枚となったことで、サイドにスペースが生まれ、そのスペースに浦和・森脇と槙野が押し込む状況が生まれた。
甲府は10人中8人が守備をする中で、浦和はディフェンスも含めGK西川も高い位置を取り、相手の攻撃の芽を摘む役割をしながら全員で攻撃を仕掛ける。

前半は浦和が何度も甲府ゴールを脅かしながらも決定的な場面は少なく、甲府の守備を浦和がこじ開けられなかった45分間になってしまった。
甲府としては1人少なくなってしまい、キャプテン山本という精神的にも大きな軸を失ってしまった状況の中でも前半を耐えられたことは、退場は大きなアクシデントだったであろうが、プラン通りに進めることができた前半だったであろう。

浦和としてはボールの保有が長い中で、中央に縦パスを入れることができながらも得点につなげることができず、ゴールを奪えなかった前半となってしまった。

●こじ開けた5枚から6枚になったディフェンスから得たゴール

後半に入ってからも戦い方は変わらず、甲府は前半ボールを追いかける時間が長く体力の奪われるサッカーだったにも関わらず、守備の足が止まらない中、動いたのは浦和レッズ。
ペドロヴィッチ監督が1枚目のカードを切り、投入されたのはズラタン。
武藤が得意とする飛び出せるようなスペースが甲府ディフェンスの枚数が多いことによって無かったこともあり、高さもありキープもできボールを落ち着かせることができるズラタンを投入。

ズラタン投入に対し甲府・佐久間監督は即座に動き、唯一の攻撃の選手だったクリスティアーノに代えて畑尾を投入すると、ディフェンスは6枚に。
ズラタンという驚異に対し、マンツー気味の形で1枚スラタンに付け配置し、最終ラインには6人が並ぶという図式となったが
試合後佐久間監督が「ディフェンスの人数が思っていたよりも多くなってしまって重なってしまった」というように、5枚でバランスを取って守備をしていた甲府のラインが微妙に崩れると、
その隙を突くように浦和が縦にボールを入れると興梠が股ぎワンツーで浦和らしい崩しを魅せ、興梠慎三が3試合連続となる自身90ゴール目を奪った。

采配によって相手の攻撃カードを退かせ、増えたディフェンスがバランスを崩すこととなったことで、浦和らしさを持ってこじ開けることに成功したペドロヴィッチ監督は、大きなガッツポーズでその得点を讃えた。

甲府は0-0を狙うサッカーを展開していたものの、失点。
しかし、失点してから1点を追わなくてはならないサッカーとなったものの、プランとしては豊富ではなく、
1トップの位置に3枚目のカードとして、セレッソ大阪から今季加入した吉野を投入。
吉野はテクニックもあり、ボールを持てる選手だが、後ろに枚数が掛けられた状況が続く甲府は攻撃に転じる選手が吉野1枚となってしまうため
どんなにキープしてもドリブルで持ち込んでもそのボールを受けてくれる選手との距離がありすぎて繋がらない。

その中、浦和はさらに攻撃の手を緩めることなく、攻撃を続ける。
一度バランスを崩し5枚に戻った甲府だったが、浦和は攻撃のギアを一段上げる。
浦和の2枚目3枚目のカードを切ったペドロヴィッチ監督が送り込んだのは、今季リーグ初出場となる高木と、今日はベンチスタートとなった関根。

甲府ディフェンスがサイドを意識しおさえていたこともあるが、ほとんどサイドからの攻撃がなかった浦和だったが関根が入ったことでサイドからの攻撃を魅せる。
同じく5枚のディフェンスが敷かれ幅広く守られている状況ながらも、果敢に関根は縦への攻撃を仕掛ける。
自らドリブルで突破し、自らがシュートを打つ積極的な場面もみられた。
関根が入ることで、より攻撃が疲れる時間帯ながら活性化する中、甲府ディフェンスがクリアしたボールをトラップし落としバウンドしたボールをうまくミートさせ、ミドルシュートを放った森脇。
ボールは孤を描き、甲府ゴールに吸い込まれた。

2点目を奪った浦和は勝利を確信したことであろう。
守備に重点を置いたサッカーをする甲府は、攻撃の形が90分通して1度も作れずにいたこともあり、
2点の差を縮めることは不可能であろうという時間帯だった。

しかし―。


●不必要だった1失点。絶対に忘れてはいけない1失点。


90分が過ぎ、AT3分となったところで、甲府はこの日はじめてバイタルエリアまでボールを運び、クロスから甲府・吉野が頭で合わせると、浦和GK西川が弾いたが、そこに詰めていた甲府・稲垣が押し込んでゴール。
1点を返した。
このゴールまで甲府のシュートはかなり遠くからGKの位置を見て大きく放ったクリスティアーノのシュート1本だけだった甲府だったが、
90分通して初めての攻撃でゴールという結果まで結びつけた。

浦和としてはこの1失点は、非常に不必要な1失点だった。
この日ほとんどの時間でボールを持ち、90分攻撃し続け、前がかりになっていたことは確かだが、
タイトルを意識するならば、本当に強いチームは最後の最後までを締めくくり、終えたいところだ。

失点をしても勝利し、勝ち点3を得たわけだが、最後の気の緩みとも取れる1失点は
勝ち点3を得た中でも決して忘れてはいけない1失点だったように感じる。

相手の戦意を奪うほどの精神的圧勝をしてこそ、勝負に勝ったというような勝利にこだわりを持ってほしい。
試合を通して内容的には浦和レッズがボールを持ち続け、攻撃し続けた試合だった。
甲府は守備だけをしていたといっても過言ではないほどに攻撃をする機会はなく、浦和はこの試合ではディフェンスはほぼしなくても良い状況が続いた試合だった。
だからこそ、その少ない危機を回避するほどの守備が必要だったはずだ。

タイトルを獲ることがどれだけ難しいことかを実感している近年だからこそ、その最後の1失点は重く受け止めしっかりと修正をしなくてはならない。
獲られてもいい失点なんてないのだ。
振り返ることは重要な今後に繋がるはずだ。

 

 

リーグ5節目を勝利で終え、中3日で迎えるACL広州恒大戦。
アウェイでは2点リードされた状況から追いつき、貴重な勝ち点1を獲り帰国した浦和レッズ。
アジアのライバルである広州恒大にホーム埼玉スタジアムで勝利を上げたいという気持ちは、サポーター含めチーム全体から熱く伝わってくる。

厳しい日程が続き体力的には厳しいが、戦って勝利を得続けることで、選手はより自信に繋げモチベーションも上がり戦えるチームとなる。

人数をかけて守備に重点を置いた甲府に対し、こじ開け2得点、勝ち点3を奪った浦和レッズ。
勝ち点は12に伸び4勝1敗とした。
次のリーグは4月10日に行われるアウェイ横浜Fマリノス戦となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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