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仙台vsFC東京 「後半勝負」の難しさ

2016/03/11 20:42配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

https://www.youtube.com/watch?v=fswIDJ5goPY&feature=youtu.be

仙台は開幕戦、アウェイの横浜戦で1‐0と勝利し

昨年に続き、2016年も白星発進としました。


内容としては、昨年から引き続いての442によるゾーンディフェンスと

FC東京から期限付き移籍で加入した三田啓貴の一発によるもので

渡邊晋監督が優れたゾーンディフェンスの使い手であることと

監督がそこを基本線にしたチームビルディングをしていることが

窺える一戦となりました。


第2節ではそのFC東京との対戦ということで

三田を起用することが出来ません。

シュートレンジが広く、一発を持っている三田の欠場を

どうカバーするのかがカギと言えそうです。

対するFC東京は開幕戦で大宮に0‐1と敗戦し

前回の城福政権時の2009年以来の開幕戦黒星となりました。


内容としては、大宮の横圧縮の効いた守備陣を

こじ開けることが出来ないままに

交代策によりバランスを崩し、失点するといったもので

後半に見せた攻撃の停滞が気になるところでした。


ACLを挟んで中4日ということで

仙台よりも間隔が短いことが、どう影響するでしょうか。

前半は仙台優位も、決定打を欠く

FC東京はそれを意識してか

前半から非常にゆったりとした試合への入りを見せました。

それはあたかも「後半勝負」という指示が出ていたかのようで

中4日という比較的短い試合間隔を意識させるものでした。

442のダブルボランチが、攻守において前へ出ることで持ち味の出る

米本拓司と橋本拳人であるにもかかわらず

仙台の選手がアタッキングサードに入ってきた際の寄せが甘く

その結果、パスを繋がれ、裏を取られ

ファウルやコーナーキックに逃げるというシーンが

立ち上がりから続きました。

それが前半7分の仙台の先制に繋がります。

仙台の持ち味であるセットプレーですが

この日の仙台は、名手・梁勇基と

ハイボールに強い渡部博文のコンビが猛威を奮いました。

仙台のセットプレーは、敵陣で得たものは全て梁が蹴り

ほぼ全てで渡部をターゲットとしていました。


これには、FC東京の誇る日本代表CBコンビである

森重真人と丸山祐市も手を焼き

失点シーンでは丸山が転がされてしまいました。

しかし、その直後にFC東京がセットプレーで追い付きます。

J1デビュー戦となった小川諒也のクロスから

丸山がスクリーンで相手をブロックし

大外に逃げた森重が右足でシュート性のクロスを入れ

そこからオウンゴールを誘発しました。


この得点は、昨年の仙台とFC東京の対戦時の

FC東京の1点目とほぼ同じ形と言え

FC東京にフィッカデンティ前体制の名残りを感じさせるとともに

仙台としては2年連続で、同じ形でやられるという

非常にダメージを感じさせる失点となりました。

しかしその後も、決してFC東京のペースとはなりませんでした。

仙台は、前に出るのかステイするのか曖昧なFC東京を相手に

サイドチェンジで相手陣形を伸ばし、そこからの攻撃でボールを前進させました。

前半30分の石川直樹のミドルシュートは、大岩一貴のサイドチェンジからでした。


ただ、FC東京のユルさが目に付いたのか

ショートパスによる中央突破の回数も増え

試合後会見の渡邊監督も「近くを見すぎた」と反省するなど

大きな展開により相手を伸ばすという手を、打てなくなったことは残念です。

後半勝負?のFC東京が逆転勝利

後半勝負だったのかそうでないのか

全くそのような話は伝わってはきませんが

とにかく、前半のFC東京は非常に抑えめなプレーに終始しました。


しかし、後半は頭からペースを上げて入ってきました。

動き出したのは両ボランチです。

特に橋本拳人はこの試合で初めての

相手サイド奥へのランニングを逆転ゴールへと繋げ

自身もアシストを記録しました。


小川のスローインを受け、東慶悟のポストプレーにワンツーで抜け出し

キレイに抉ってから、前田遼一へ低いクロスを届けました。


これもセットプレーからの得点となりました。

そしてこの試合、流れの中からは得点が奪えませんでしたが

後半は完全にFC東京の試合だったと思います。

それは、仙台の後半最初のシュートが

後半アディショナルタイムまで遅れたということが

如実に表していると思います。


後半の仙台はビルドアップに苦しみ、梁をボランチに下げたり

金園英学を投入し、ウィルソンをサイドに流したり

水野晃樹を投入し、ロングスローとクロスからの得点を目論んだり

あの手この手を繰り出しますが、その効果は限られたものでした。


最後は渡部博文を前線に上げ、パワープレーを試みますが

さすがにFC東京が意地を見せて跳ね返し

6分のアディショナルタイムを乗り切りました。


両チームともに、星を5分にしています。

両チームで異なった、セットプレーによる失点の重み

勝ったFC東京は見事な逆転勝利でした。

劣勢の前半は上手く行かなかったと取るのが自然でしょうが

後半はよく巻き返しました。

その中でも、セットプレーによる失点で

気落ちしなかったというのは良かった点であり

逆に言えば、巻き返せるだけのチーム力があるということでしょう。


「アクションサッカー」を掲げる城福監督ですが

これから続く過密日程の中でも結果を出すために

このような制限の付いた戦い方も必要となってくるでしょうから

この試合は、その成功例となったのではないでしょうか。

敗れた仙台は非常に残念な敗北です。

キレイなゾーンディフェンスを組むという

守備に特徴のあるチームにもかかわらず

先制しての逆転負けは痛恨事と言えるでしょう。


特に、昨年と同じ形での失点となった1点目は

仙台がこの先、チームとしての目標に向かって勝ち点を積む際には

必ず無くさねばならない失点の仕方と言えるでしょう。

自らのストロングポイントを生かして得たアドバンテージを

同じくセットプレーで失うということは

必ず無くさねばなりません。


また、三田の欠場も痛かったことでしょう。

ミッドフィールドにおける火力不足は、仙台の課題と言えます。



FC東京としては、勝って兜の緒を締める。

仙台としては、敗れながらも、きっと解決可能な課題が出た。

そういう意味では、両チームとも
シーズン序盤らしい、悪くない試合だったと言えます。

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