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【J3】 3季目を迎え16チームとなるJ3 昇格への争いと強化の戦い 2016展望 【2016】

2016/02/26 10:09配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

今週末、2016明治安田生命Jリーグ開幕を迎えるが、開幕を迎えるのはJ1とJ2。
J3の開幕は3月13日となっており、J1J2と比べると少し遅れての開幕となる。

3年目を迎えるJ3は今季、新たな形を迎える。
大きく変わったのはチーム数が増えたこと。
これまでの13チームから16チームとなり、U-22Jリーグ選抜が終了を迎え、今季からガンバ大阪、FC東京、セレッソ大阪のU-23というセカンドチームがJ3に参加することが決まった。
そしてJFLから昇格してきた鹿児島県初の念願のJリーグクラブとなった鹿児島ユナイテッドFCが参戦となる。

3年目を迎えるJ3はこれまでよりさらに注目度が上がることが予想され、さまざまな要素を持ったリーグへと進化する。

●実績あるJクラブセカンドチームの参戦

今季からガンバ大阪、FC東京、セレッソ大阪と3チームのJリーグ所属クラブのセカンドチームがJ3で戦うこととなった。
基本的にはU-23ということで23歳以下の選手たちが戦う場となるが、3選手までオーバーエイジの起用が可能となる。
トップチームでの出場の兼ね合いやトップチームの選手の負傷状況なども併せて、オーバーエイジを含めた選手たちの起用を判断することとなりそうだ。

セカンドチームという形態だが、チームそれぞれでその在り方に若干の違いがある。

ガンバ大阪は、今年登録選手が37選手と大所帯となっており、若い選手たちの育成の場としてJ3に参戦する。
練習も分離する形で行われるようになり、両チームの密な連携をしながら、結果によってやけが人の状況などによって入替を行いながらシーズンを戦うこととなりそうだ。
しかし、分離した練習を行うからといって、2つのチームが全くの別ということではなく、あくまでトップチームの底上げという部分に焦点を置いていることは確かだ。

日本代表に選手が選出されチームを離れる時期があることや、ここ2年経験したすべてのタイトルを目指すにあたり多くの試合を終盤こなす事となることなど、チームの層は厚ければ厚いほど選択肢が生まれることを実感しているであろうガンバ大阪だからこそ、37名の選手全員がトップチームのレベルに届くことが理想である。
その理想に近づけるためにも23歳以下の選手たちが、なかなか出場機会のない中でも公式戦に出場することによって戦う場を得ることで、結果にこだわった戦いをしながら強化に取り組むこととなる。

23歳以下の選手は16名と、1チームを組める状況にあるガンバ大阪だが、分離をハッキリと分けるのではなく、
トップチームのサッカーをチーム全体が把握する上で、密な連携を持ち、お互いに反映し、トップチーム基準で戦うこととなるであろう。

FC東京は23歳以下の選手は11名とギリギリな状況となっており、室屋が長期離脱となってしまったことを考えると、23歳以下の選手では現在11人の構成はできず足りていないこととなる。
東京もトップチームへの肉付け、自分たちの手で選手たちを育て、外からではなく自分たちの手で補強できる強化をするためのJ3参戦という位置付けとなっている。
オーバーエイジを使っての参戦となるであろうが、トップの試合で試合出場機会が減っている選手たちがJ3に出場することが想定され、年齢に関係なく若い選手がトップチームの試合に出場することとなることももちろんあるであろう。

ACLを戦う今季の東京は、リーグ、ACL、そしてJ3と戦うこととなる。選手数がそれほど多い状況ではないため、ユース選手の二種登録なども考え構成されることとなるであろう。
公式戦という経験を積ませて強化をする。そしてトップチームに反映させる。それがFC東京の狙いだ。
他のチームからたくさんの選手を補強するのではなく、自らのチームで補強となる選手を育てること。プラスの選手を生むことにFC東京はこだわりを持つ。

セレッソ大阪はトップチームとセカンドチームの違いをしっかりと分けている。
トップチームに上がらないとできないこと。という高い壁をしっかりと構築することで、若手選手たちの向上心と危機感を煽る。
実力のある選手は23歳以下でももちろんトップチームの戦力として数えられることとなるが、セカンドチームの場合はロッカールームもトップの選手たちとは別となっており、トップチームの選手たちとは違う選手生活を送る。
移動手段や宿泊するホテルの質、練習時間も違えば、ロッカールームも違う。
「セカンドチーム」という位置づけをすることで、トップチームへとチャレンジできる選手になりたいという競争を生み、結果によりこだわるモチベーションを作る。

トップチームとセカンドチームのキャンプは、全く別の環境で行われた今季。
ハッキリと分けたからこそスタッフの連携は絶対であり、深きコミュニケーションが問われるが、トップチームの監督の大熊氏、そしてセカンドチームの監督を務める大熊氏と兄弟である間柄で連携を行う。

チーム構築の上でトップチームのするサッカーという基盤となっているものはあるだろうが、トップとセカンドのサッカーはハッキリと分かれている分、変わった形態となることも考えられる。
ただし、サッカーは監督によって求められるものが違っても柔軟性を持ってどんなものでも受け入れ、表現できる選手が一番使いやすく長くプレーヤーとして存在しやすいものだからこそ、
トップとセカンドがハッキリと分かれていても、そこはしっかりと対応できる選手にならなくてはならないであろう。
そこもセレッソ大阪の持つ育成方法による思惑のひとつなのかもしれない。

育成クラブとして世界的に評価の高いセレッソ大阪にとって、セカンドチームは育成カテゴリーの一番上という形でU-23というカテゴリーを新設したというようなイメージでセカンドチームを位置付けている。
トップチームの控えという形ではなく、U-23というU-18よりもさらに上の世代別カテゴリーが出来たという形。
そこからトップチームにそして日本代表や世界へ進出する選手を生み出すことが、セレッソ大阪の育成の新しい形となる。

J3の他のチームは、J2昇格という目標を持って戦うこととなるが、現在J2ライセンスを持っているチームは少なく、昇格に準ずることができないチームも多く存在するJ3。
だが、セカンドチームの参入によって今までにはなかった刺激を受けることとなり、リーグ全体の質の向上に繋がることに期待がかかる。

昨年までのJリーグ選抜は言葉は悪いが、ただの寄せ集め集団のようになってしまい、志気も上がらず結果も当然出せないようなチームとなってしまった感が否めなかった。
J選抜の試合に出場したことが直接的な強化に繋がったのかというと、その影響が出たと感じるほどの結果を出せた選手は少なかった感がある。

しかし、セカンドチームというトップチームへの融合や未来等役割を持った目的ある「チーム」であることで、他のチームとの戦いと同じく結果を求める戦いが繰り広げられるであろう。


●J2を目指す戦い

今季、既存Jクラブのセカンドチームが参入したこともあり、より簡単には勝てない状況となるであろうJ3。
だが、今季そこはJ2へ!と強化により力を入れたチームも多く存在する。

まずはガイナーレ鳥取。
オフ中の獲得ラッシュは目を見張るものがあり、今季こそはという意気込みを受け取れる大きな補強を展開した。
J2やJ1で活躍経験を持つ、札幌から前田俊介、大宮から片岡洋介といった名のある選手を獲得したことには驚きが走った。
債務超過によってJ2ライセンスの申請を断念してからさらに赤字が続く見通しとなっており、今季は絶対的に黒字に転換しなければらない状況にある鳥取。
3季連続赤字となってしまうとライセンスが発行されないおそれもあるため、チーム全体での運営の強化に乗り出さなくてはならず、チームとしても結果を出したくさんの人にガイナーレ鳥取を観に来てもらいたいという願いもある。
再びJ2へとチャレンジするために全力をかけた補強がどう結果に反映されるか注目だ。

そしてSC相模原。
相模原もJ2ライセンス交付には至っていないものの、今季日本を代表するGK川口能活を獲得したという大きなニュースがあった。
さらには、FW深井正樹も加入など注目の戦力が揃う相模原の今季の戦いにも注目したい。

そしてJ2ライセンスを持つ長野パルセイロも、今年こそはの気持ちが強いことは間違いないであろう。
監督に昨年J2で旋風を起こしJ1昇格を果たしたアビスパ福岡でヘッドコーチとして指導にあたった三浦文丈氏が就任。
J3の中では恵まれた環境を持ち、多くのサポーターを率いる長野パルセイロは昨年も昇格争いの一角として戦い続けたが2位以内を確保するには至らなかった。
一昨年は入れ替え戦まで進むも涙をのんだ経験を持つ。
簡単ではない昇格という壁に何度も当たっているが、決して諦めるわけにはいかない。
悲願のJ2昇格に向けて優勝候補チームである今季、全力でJ3の頂点を獲りに向かう。

そしてまさかのJ2からの降格となった、大分トリニータ。
現在日本代表として名を連ねる選手である西川周作や森重真人など多くの人材を育てた大分。
育成評価も高く、選手を育て上げる実績経験共に素sン剤するクラブであるが、まさかのJ3降格となってしまった昨季。
J1ライセンスをも持つ大分は、当然一年でのJ2復帰そして再びJ1に上がる日を目指しリスタートすることとなる。
サンフレッチェ広島のコーチとして、そしてガンバ大阪のヘッドコーチとして3年連続でリーグ優勝を経験した経歴を持つ片野坂氏を監督に迎え、大分トリニータ復活への道を歩みたいところだ。


昨年から続くJ2戦国時代も大変な戦いとなっているが、今季からJ3も戦国時代に突入といっても過言ではないほどに、過酷で見応えのあるリーグへと進化することが予想される。
有名プレーヤーや次世代プレーヤー、チームとしての魅力やこれからのチームの出現など、多くの要素を観ることができるであろうJ3に、今季注目して損はないはずだ。

既存クラブのセカンドチームが発足したことで、より多くのサッカーファンが観に駆け付けるであろうJ3の発展はまだまだ始まったばかり。
J3が発展することで当然上のステージあるJ2そしてJ1が強化されることに繋がっていく。

開幕は3月13日。
J3の戦いにも注目だ。

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