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【川崎フロンターレ】 J屈指の攻撃力にバランスと守備というプラスを加えられるか 昇り詰めたことのない頂へ 2016展望 【J1】

2016/02/18 17:51配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

2015シーズンは年間順位6位という位置でのフィニッシュとなった川崎フロンターレ。
本格的なタイトルを目指す位置を目指し、2016シーズンに向けて新戦力を迎え、より強力へと進化を進める川崎フロンターレ。
3年連続得点王となった大久保嘉人の得点力は今年も健在となることが予想され、川崎フロンターレに欠かせないレジェンド中村憲剛が創り出す超強力な攻撃陣へのチャンスメイクもタイトルを目指すには必ず必要な「技」となる。

今季は川崎フロンターレとなってから20周年の節目の年となる。
これまでの積み重ねから成る集大成、そして未来への挑戦を掲げ、タイトルへと再挑戦する。

●五輪世代、韓国代表、即戦力…2016補強選手

昨年の年間順位は6位という位置だった川崎フロンターレ。
年間順位1位となったサンフレッチェ広島の勝ち点が74と記録的な勝ち点の積み重ねだったこともあり、昨年の優勝ラインは突き抜けた状態ではあったが、
それでも74であったサンフレッチェ広島と、72であった浦和レッズから離れること9差の3位ガンバ大阪でも勝ち点は63だったことを考えると
川崎フロンターレの重ねた勝ち点57から勝ち点6差があったことになるが、2試合差とはいえ、本格的なタイトル争いに顔を出したというシーズンではなかった。

得点は62とリーグ3位の得点を重ねながら、失点が48と上位陣と比べると多かったことが数字からわかる。
得点を重ねても失点が多いという状況が近年続いている川崎フロンターレにとって、守備の面の強化や補強が不可欠であるポイントとなっていた。

そこで次世代を担える即戦力として、コンサドーレ札幌からFC東京へと期限付き移籍をしていたU-23にも選出されていたセンターバック奈良竜樹の獲得に成功。
札幌時代は主力として2種登録であったユース時からピッチに立ち、センターバックという経験が必要なポジションで若き頃から実戦で経験を積み重ねてきた貴重な存在である。
FC東京にレンタル移籍をしたものの試合には多く出場する機会はなかったが、日本代表クラスのディフェンダー陣が揃う東京で日々の練習をこなしたことで得られるプラスがあったであろう。
一時期この世代における選出条件として存在した1チーム1人という縛りが存在した時期があったこともあるが札幌時代よりも五輪を目指す世代別代表に選出される機会が増え、先日行われた五輪予選を兼ねたAFC選手権のメンバーにも選出され、試合にも出場し堂々たるプレーを魅せた。

若きセンターバックだが試合経験は同世代では豊富といえることに加え、身体もメンタルも強く、ディフェンダー補強の目玉となった奈良。
J1での本格的な経験はこれから重ねていくことになるが、それでも即戦力であることは間違えなく最終ラインのポジション争いでは突起した存在となることであろう。
3バックを採用するとなると3バックの経験という面では豊富ではない印象があるが、風間監督の元、柔軟にこなせる選手へと進化することもこれからの成長へ繋がることになるであろう。

その他、同じく五輪世代代表であるボランチ原川力が京都サンガより加入した。
原川は正確なキックでのパスの供給やセットプレーでのアクセントが持ち味だが、川崎フロンターレには中村憲剛という絶対的な心臓部が存在する。
ポジション争いが生まれることがチームの新たな刺激になり、経験豊富であり存在そのものが「川崎フロンターレ」という象徴である中村憲剛から、どれだけのことを吸収し盗むことができ、成長することができるかに期待がかかる。

五輪世代でもライバルとなっている大島僚太とチーム内でポジション争いをすることが必至であり、それぞれの良さをいかしチームが活性化しカードを選択できるのは幅が広がることに繋がるであろう。

若き次世代の選手たちがうまく融合し、チームの未来へも繋がる存在となってくれることに高い期待がかかっている。

守備においての補強ポイントとなったもうひとつのポジションがGKであろう。
2006年から韓国代表に頻繁に招集され、北京五輪、そしてオーバーエイジで招集され戦ったロンドン五輪で動メダルを獲得し、W杯ブラジル大会も戦ったチョン・ソンリョンが新たに川崎フロンターレに加わった。
失点の多さが目立ってきた川崎フロンターレにとって、失点減少となるカギとなる新たな守護神候補だ。
失点を減らすのはチーム全体の問題ではあるものの、センターバックに奈良、GKに韓国代表GKチョン・ソンリョンを迎えたことは川崎の守備には大きなアクセントになりそうだ。
経験値の高いチョン・ソンリョンが日本で初めてプレーすることとなるが、守備の連係部分も含めあまり時間をかけずに固めることができるであろうか。
攻撃をすることに重点を置いている川崎のサッカーだが、強力な能力が加わり守備の問題改善に挑む。

大きな期待の戦力の一人が、FW森本貴幸だ。
史上最年少Jリーガー、史上最年少ゴールといった記録を持つ天才と評された森本も、すでに27歳を迎えた。
国内、そして海外経験も長い森本のその能力は当然高いものだ。
しかし、森本の良さを最大限に引き出せた監督や選手はいまだかつて出てきていないのではないかというほどに、まだまだ潜在能力は開花していないように感じる。
サッカーは一人でするものではないため、引き出し役が絶対的に必要となるが、中村憲剛という日本トップクラスの引き出し役としての存在が大久保嘉人を今までにないほどに存分に開花させたように、森本のさらなる引き出しにも期待が高まる。
前線でボールを収めることができ、足元も充分でトリッキー。
攻撃のアクセントとなる存在となり、前線でさまざまなバリエーションを生むことが可能となるであろう。
森本という新たなカラーを得ることで、大久保や小林悠といった選手たちにもゴールがさらに量産されるという化学反応や、森本自身のゴールはもちろん
パザーとしてもセンスの光る大久保や選手の良さを存分に引き出すことのできる中村憲剛の能力を持って、どこまで自身の能力を発揮することができるか注目だ。

まずは熾烈なポジション争いを経て、風間監督の起用したい選手となることが求められる。

◇加入した選手たち

GK 高木 駿 ジェフ千葉
DF 奈良竜樹 コンサドーレ札幌(FC東京)
MF 狩野健太 柏レイソル
MF 原川 力 京都サンガ
FW 大塚翔平 ギラヴァンツ北九州
FW 森本貴幸 ジェフ千葉
MF エドゥアルド・ネット アヴァイFC(ブラジル)
GK チョン・ソンリョン 水原三星(韓国)

●強力な攻撃は健在 守備力の向上とバランスをプラスし上位争いへ

現在、Jリーグにおいて強力な攻撃を持つチームを挙げるとすると、川崎フロンターレの名が挙げられるのは間違いない。
昨年の得点の数字だけを見るとサンフレッチェ広島が圧倒しているものの、それでも広島の攻撃力は全選手がどこからでも攻撃ができる点、そして得点できる点が大きかったが、
フロンターレの得点は前線が強力で圧力を感じさせることのできる攻撃だ。

中村憲剛のメイクももちろんだが、昨年はサイドからの積極的な駆け上がりと勝負、フロンターレ独自の速いパスサッカーで崩すことも得意としてきた。
前線は試合をこなすごとに熟成度が増し、中盤との連携という部分でも個の能力の連携、そしてチームとしての連携を兼ね揃えた阿吽の呼吸が存在する。
大久保嘉人は3年間で60得点以上を叩き出すなど、良い意味で「異常」な得点力を維持しているのは川崎フロンターレにとって強力な武器となっている。これだけ大久保が決めている結果が何年も続いているということは、誰にも止められない状態だと言って良いであろう。

その前線の得点力に応えたいのが、守備陣。
2015シーズンは、ココだ!という勝負を決めなくてはいけない試合を落としてきたことも、タイトル争いに加われなかった要因でもあった。
絶対に勝たなくてはいけない試合を落とさずに進むことで、タイトル争いへの道を充分に開ける力のあるチームとなるであろう。
タイトルを獲るためにはもう1ステップのプラスが必要となり、その1ステップを模索しているところであろうフロンターレは、新たな戦力を得て風間体制5年目を迎える今年、結果が求められる年となるであろう。

川崎フロンターレとなって20周年を迎える今年、大島僚太が背番号10を背負うこととなり、初の日本人10番が誕生する。
これまでタイトルをまだ手にしていない川崎フロンターレが、リーグ、ナビスコ杯、天皇杯とタイトルを意識し戦いに向かう。


未だ登り詰めたことのない、頂へ―。
2016シーズンの準備は急ピッチで行われている。

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