CHANT(チャント) FC東京

FC東京vs神戸 FC東京「1年越し」の勝利に見えた成長の跡

2015/09/14 18:36配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

年間順位は3位

セカンドステージでも4位と好位置につけるFC東京。

しかし先日のヤマザキナビスコカップでは

鹿島に完敗し、敗退が決まっています。


年間順位は11位

セカンドステージでも10位と今一歩の神戸。

しかし先日のヤマザキナビスコカップでは

柏を下し、見事に4強へと進出しています。

大多数のクラブ、選手たちが口にする

タイトルを目指すという意味では

どちらが、より「好位置」と言えるでしょうか。

少なくともこの両チームは、共に

タイトルが狙える位置にいることは間違いありません。

そしてタイトル獲得へ向け、1試合もムダにはできません。

そんな両チームがリーグ戦で対戦しました。

タイトルといえば

神戸は、主力組も多数出場した

天皇杯2回戦を挟んで中2日となっています。

ちなみにFC東京はシードにより、4回戦からの登場です。

神戸が3セントラルでペースを掴む

FC東京は河野広貴が先発し、4312でスタート。

神戸は3バックでスタートしました。

神戸の3バック自体は、特に珍しいものではありません。

しかし、中盤の構成が変わっていました。

そしてそれは、試合の流れを神戸へと傾けるものでした。


神戸は3バックと、アンカー気味の前田凌佑でのビルドアップ。

3142のような形でスタートしました。

東京は河野が、この前田を捕まえに行くのですが

そうすると神戸は

インサイドハーフの森岡亮太、三原雅俊

特に技術のある森岡が下がってきてビルドアップを援護。

FC東京はこの、神戸の3セントラルへの対応が曖昧で

河野や米本拓司がボールに食い付くものの

組織的とは言えないレベルのものに留まり

神戸に、良いようにボールを回されてしまいました。

神戸はWBが高い位置でサイドに張り出しているため

FC東京は、神戸にボールを前進させられると

4312の泣きどころであるサイドのスペースをWBに使われてしまい

インサイドハーフがスライドを多発せねばならない状況に

追い込まれてしまいます。

この日も森岡や岩波拓也からの対角線フィードが頻発しました。

片方のサイドに寄せてからの対角線フィードは

サイド攻撃における定石と言えるでしょう。

だからこそ、相手の攻撃をビルドアップの段階から

その選択肢を制限せねばならないのですが

その的を絞り切れない状況が続きました。

試合は神戸のペースで進みます。

FC東京の応急処置と、昨年の出来事

FC東京は対策を講じます。

インサイドハーフの羽生直剛が

神戸がボールを持った際に位置を下げ

神戸の左WB・相馬崇人をマーク。

その際にはトップ下の河野が下がってボランチ気味に。

532のような形で、言わば専守防衛の形を取ります。

なぜ専守防衛となってしまうかというと

この形になると、433気味に相手にプレッシャーをかけて

ショートカウンターを狙ういつもの形と比べ

前線の枚数が減るため

前線で相手を制限するような積極的な守備は出来ません。

そのため、ある程度最終ラインが下がり、状態としては

引いて守るから、ある程度は守れるが

相手ゴールから遠ざかり、前線の枚数も減るので

カウンターの効果はイマイチ、ということになります。

実際に、この形になってからのFC東京は

2度ほどカウンターの機会がありましたが

枚数が少なく、クロスを入れても不発に終わりました。

しかしFC東京としては

昨年の出来事からすれば、この策もやむなし

むしろ、成長の跡が見られるとも言えるものでした。


昨年のFC東京ホームのこの対戦

奇しくも今年と1日違いの9月13日のことでしたが

4231の神戸の2ボランチであるチョン・ウヨンとシンプリシオ

それとトップ下の森岡が絡んでのパス回しが

FC東京の4312を、今日のごとく翻弄しました。

2ボランチが距離を取り、片方でトップ下の河野を釣り

片方が浮くことで起点となる。

そしてインサイドハーフを釣って空いたスペースを

援護に来た森岡と共に使う。

この形で神戸は、少なくとも前半の多くの時間を

自分たちのペースとしました。

この試合は1-1のドローに終わりました。

FC東京はカウンターから得たPKをエドゥが決めましたが

直後にセットプレーから同点とされ、スコアはそのままタイムアップ。

ただ、自慢のカウンターから決め切る機会は無く

振り回された前半によるエネルギー不足が見て取れました。


それと比べれば、やや原始的なマンマーク気味のこの布陣も

全く対応できなかった昨年と比べれば

成長の跡が見えると言えるものです。

まして今年のFC東京は、何よりも結果にこだわるチームとなっています。

ゾーンディフェンスを見ることはできなくなりましたが

何よりも結果を追い求めるというコンセプトは失ってはいません。

そして、そのコンセプト通りに我慢を重ね

結果として表れたのが前半38分です。

チョン・ウヨンからの縦パスをカットしたのは

この日、再三ボールに食い付き続けながらも

運動量豊富に、すぐに守備ブロックの位置にセットし続け

守備の穴を作らなかった米本。

それを拾った高橋秀人のスルーパスから

前田遼一のファインゴールでした。

2本のパスから生まれた先制点は

手数をかけない、見事なカウンターでした。

3セントラルを知るFC東京、3セントラルを攻略

東慶悟を投入し442としたことで

より「まずは守備から」としたFC東京。

対する神戸は三原に代えて石津大介を投入し

FWの渡辺千真を右インサイドハーフに置き

攻撃にシフトをします。


それでも、その次に点が入るのはFC東京。

徳永悠平からの対角線フィードは

532で守るはずの神戸のサイドのスペースを突き

左サイドの東に届きます。

左SBの太田宏介が神戸の右インサイドよりも

格段に速くオーバーラップをすることで

神戸の右WBは1対2の状況を作られてしまい

東がフリーで上げたクロスに前田が合わせ2点目。


3セントラルを知るFC東京が

またも2本のパスで神戸ゴールを陥れるという

見事な攻撃で2‐0としました。


3点目は、前掛かりになった神戸に対し

神戸のアンカー周りで数的優位を作っての素早いパス回しから。

高橋の再びのスルーパスから、東のフリーランからの再びのアシスト。

最後は前田がトラップ気味に押し込んでハットトリック達成。

FC東京が3‐0とし、そのまま勝利しました。

2年目と1年目の差

神戸はほぼ初の3142導入で相手の弱点を突き、ペースを握りましたが

FC東京の的確な対応、堅い守備を崩せぬうちにカウンターで失点。

その後の統制の効かなさは、このシステムでの経験の浅さでしょうか。

しかし、4つめとなるフォーメーションを用い

FC東京相手に監督をして「内容は満足」と

言わせるほどの内容を見せた神戸。

確実にその引き出しを増やしている印象で

ネルシーニョイズムの浸透が見て取れます。


FC東京に見ることができたのは、成長の跡です。

臨機応変な対応で、劣勢を凌ぎました。

結果を出すことに重きを置き

そこからの逆算ができるようになってきた印象です。


それでも広がった、この2チームの3‐0という差は

2人の名将が手掛けた時間がそのまま表れた格好でしょうか。

特にFC東京は、確実に昨年の神戸戦からの

成長の跡を示す結果となりました。

https://www.youtube.com/watch?v=ne8PhsiGpkg&feature=youtu.be

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