清水vsFC東京 生まれ変わった清水は残留できるのか
2015/09/03 21:55配信
カテゴリ:マッチレポート
8月、最後の土日。
多くのスタジアムが、9月に始業式を控えた子供たちの
駆け込み需要(?)で賑わったことはひとえに喜ばしいことでしょう。
天皇杯組である松本と山形を除く
16チーム、8カードが行われました。
松本と山形が天皇杯1回戦を戦うのは
昨年の順位がJ2の2位と3位であることが加味されたようです。
これが、組み合わせ発表時の順位だけで決まるとしたら
18位であった清水が天皇杯1回戦を戦っていたことになります。
過密日程(松本と山形は9/23に前後中2日の日程で9節を消化)を回避し
逆にその過密日程が
残留争いのライバルである松本と山形に回ったことで
清水は残留争いを有利に進めることは出来るでしょうか。
監督交代でガラっと変わった清水
清水は昨年に続く残留争いのさ中、監督が交代しました。
大榎克己監督が解任され
後任には、直前にヘッドコーチに就任していた
田坂和昭氏が繰り上がる形となりました。
そして東アジアカップの中断を経て
チームは徐々に、そして劇的に変わりつつあります。
田坂監督の基本フォーメーションは442。
大榎監督も解任直前に4バックを採用していましたが
中身は全く違ってきました。
特に守備の面。
大榎監督のチームの、勢いに任せた無秩序な守備とは違い
プレスを開始する地点が定められ
全体が連動して動けるようになってきました。
田坂監督の就任以降の失点は
犬飼智也の信じられないボディアングルからのオウンゴールや
セットプレーからのものなど
失点数もそうですが
守備組織としての質は向上していると言って良いでしょう。
そしてそういった良い傾向は
この日のFC東京戦でも見ることが出来ました。
良い攻撃は、良い守備から
この日のFC東京は最終ラインからのビルドアップに苦労しました。
ひとえに、これが苦戦の要因と言えるのですが
それを引き起こしたのは清水の良い守備でした。
FC東京は4312。
CBは森重真人と丸山祐市のコンビということで
ボールが持てて、パスも出せる組み合わせなのですが
システム上、CBからサイドへのミドルパスという
CBからのビルドアップにおける重要な選択肢が
抜け落ちてしまっている局面が頻繁にあります。
その分、FC東京はインサイドハーフの動きが重要となります。
CBからのロングボールのセカンドボールを
真ん中に集まった選手たちで拾うという形や
インサイドハーフがサイドに流れることで
ボールの収め所とするなどの
ボール前進の手法が採られます。
ただ、この日の清水の全体が連動した守備と
特にFWのチョン・テセが頑張って
相手CBまで詰めたことから
FC東京が単純にロングボールを蹴る場面が増えました。
清水は全体が連動している一方
FC東京は準備が出来ていない段階で
早々にロングボールを蹴ってしまうため
清水がボールを持ち、強力な前線でもって
FC東京の整っていない守備陣に対して
速い攻撃を仕掛ける、という場面がありました。
そのため、FC東京は最終ラインでボールをつなぐ際に
インサイドハーフが両方とも落ちてきて
ビルドアップ(というよりキープ)に参加することで
前線の3枚が孤立
前後分断されてしまうという、悪い流れになりました。
ビルドアップが機能しないために全体が押し上がらず
後方と前線の距離が開き、またビルドアップが機能しにくくなる・・という
悪循環と言える状況となっていました。
これは清水・田坂監督の狙い通りと言えるものだったのではないでしょうか。
結果は分けだが内容は勝ち
後半もその流れは変わらず
攻撃を完結できないFC東京からボールを奪い
ロングカウンターで先制点を挙げました。
フィニッシュの形としては、前線で頑張っていた
チョン・テセへのご褒美と言えるようなゴールでした。
その後も、FC東京の反撃というよりは
清水が追加点を狙うシーンが多かったです。
特に田坂監督就任後、初めてリードを奪ったからか
チームが勢いづき、ピーター・ウタカや
ミッチェル・デュークが惜しいシュートを放ちました。
内容としては、年間順位で3位につける
FC東京を圧倒していたと言えます。
前半はミスからネイサン・バーンズに決定機を作られましたが
後半の被決定機は無かったと言えるのではないでしょうか。
ただ、前半もそうですし、後半のこの時間帯もそうですが
チームのエース・大前元紀が途中から出てくるほどに
層の厚い、強力な前線が
相手の守備が整っていない場面で攻撃を仕掛けている割に
得点という結果に結びついていない気がします。
得点が無ければ、残留争いの中で必要な勝利を
掴み取ることは出来ません。
この日も、太田宏介の完璧なFKによって
勝ち点3を取りこぼしてしまいました。
https://www.youtube.com/watch?v=eWCV_IJjODo&feature=youtu.be
なによりも必要なのは勝ち点3です。
ただ、内容が良いということは
試合のコントロールを必然的に、論理的にできているということです。
内容が進歩することでこそ
この先に繋がると言えます。
清水は残留できるのか
優勝争いのチームでも残留争いのチームでも共通していること
それは、よく言われる「残り試合全て勝つ!」ということは
現実的に不可能だということです。
だからといって、戦力が均衡するJリーグのこと
残留争いのチームが驚異的なペースで「奇跡」を起こすケースもあります。
清水はどうでしょうか。
清水はこの段階にきて、残留は「奇跡」ではないと言えるでしょう。
今日の試合内容を見る限り、残留は現実的な目標です。
残り8試合で残留圏とは勝ち点差5ですが
当然、射程圏内と言えます。
新監督の就任間もないチームにおいて
3回に渡る国際Aマッチウィークによる中断期間もプラスとなるでしょう。
その期間も含めて、課題である得点面
特に、良い守備から良い攻撃、良いフィニッシュへと
繋げることができるかどうかという点に注目したいところです。