【愛媛FC】 首位大宮撃破でプレーオフ圏内へ 絶対に勝ちたいという気持ちが溢れる戦いの先に 【J2】
2015/08/16 22:28配信
カテゴリ:マッチレポート
J2第29節が行われ、愛媛FCがホームスタジアムであるニンジニアスタジアムで迎えたのは
首位大宮アルディージャ。
愛媛FCは、約2か月間黒星のなかった首位大宮アルディージャに勝利し、プレーオフ圏内へと順位を上げた。
今月始めセレッソ大阪に劇的な逆転勝利を魅せた愛媛が、今度は首位大宮を撃破した。
今、愛媛FCから伝わるfootballが熱い。
●チームタイ記録の4連勝
愛媛のチームタイ記録である現在の4連勝のはじまりとなったのは、7月下旬に行われたアウェイ・コンサドーレ札幌との試合だった。
前半の早い時間に先制すると、その後は猛攻に合うものの必死にその1ゴールを守りぬき、勝利を掴んだ愛媛。
ホームに戻り迎えたセレッソ大阪戦。
強い相手を迎える緊張感の中で、絶対になにかを起こしてやるという強い気迫が、愛媛の選手たちから伝わる試合となった。
前半、早い時間に失点し試合が進むものの、玉林からのクロスを内田がダイレクトで合わせ相手ゴールに突き刺さる見事な同点弾が決まると、ニンジニアスタジアムの雰囲気がひとつになり
決して満員ではないものの スタジアムが揺れ、愛媛の選手たちを強く後押しする形となり、セレッソのカウンター攻撃、波状攻撃をなんとか跳ね返し、迎えたアディショナルタイム。
深くまで上がり切ったところから、クロスが上がると河原が斜めに走り込みながらヘッドで合わせ逆転に成功。
同点弾以降の愛媛FCの選手たちは、スタジアムの力もあったことで力を120%発揮し、攻守に走り続け最後の最後で結果を生み出し、大きな勝利を掴んだ。
試合後、河原が涙を流しその勝利を歓んだその姿から、その試合に懸けた想いの重さが伝わってきた。
その後、大分戦にも勝利し3連勝となった愛媛が迎えた、首位・大宮アルディージャ戦。
セレッソ大阪戦にて、自分たちの最大限の力を出すことで結果を掴むことができるという自信を付けた愛媛は
首位・大宮に対しても前半から積極的に前から仕掛けていった。
セレッソ戦の時のような、とにかく走って相手を上回ることでなにかが起きる!といった、スタジアムの空気の力から発揮された即席の気迫とはこの日は違い
あの日つけた自信からか、しっかりと序盤から愛媛が大宮を相手にどんなサッカーをするのかが明確に見える試合を展開した。
●恐れることなく首位に立ち向かった準備と強いメンタル
大宮アルディージャを充分に分析して試合への準備を進めていたであろう愛媛。
大宮が敗戦となった試合や失点を重ねたゲームを分析し、対大宮対策を練った。
相手が前がかりで序盤から仕掛け、ハイプレスをかけて展開してくる相手に失点する傾向にある大宮の唯一の苦手な部分を把握し
序盤から、前線から積極的なプレスを決行。
そのプレスがうまく張り付き、大宮はなかなか剥がすことができない。
ハイプレスは90分すべてにおいてかけ続けることが難しいため、愛媛としては早い時間帯に得点がほしかったはずだ。
そして先制点を掴む。
前半29分、近藤が先制ゴールを奪うと、すぐに2得点目が生まれる。
大宮から複数得点を奪うことはかなり難しい今季だが、短い時間に二つ決め切ったことは大きかった。
2点リードを得た愛媛だったが、引いてその2点を守るサッカーを展開しなかった。
後半に入っても、愛媛は3点目を獲るべく大宮ゴールへと果敢に向かった。
プレスを連動させること、そして攻撃が最大の守備とゴールを狙い続けた。
大宮の攻撃力を持ってすると、2得点差はあっという間だということを愛媛は重々承知していたのだ。
引いて相手にボールを回させることになってしまうと、どんなにブロックを作ってもこじ開けられてしまうと危機感を持っていた木山監督は
プレスを高い位置から仕掛けながらも、ボールを持ったときはボールを回すことを選択。
ボールを回すことで、ハイプレスで疲れた守備の一時的な休息時間を取ることができるからだ。
大宮が前からプレスに来ていないことを踏み、後ろでボールを回す時間を作り、選手たちの一時的な回復と時間の経過をうまく使いながら、愛媛は試合を進めていた。
低いボールの直接FKがゴールの隅に吸い込まれると、大宮から3点リードという 大宮にとって今季初めての3失点でリードされるという状況を創った愛媛。
しかし、その後大宮は、家長のゴールで1点を返す。
家長はさすがのプレーで愛媛の守備を唯一終始剥がし、タイミングをズラしプレーしていたものの、全体的に守備を剥がせずにいた大宮の選手たちにボールを回すことができず、キープしている間に相手に引っかかってしまうという状況が続く。
今季、家長にこんなはずじゃない。どうしてこうなる。という顔をさせたのは愛媛FCがはじめてだ。
何度も執拗に続く守備に、うんざりといった顔をさせた。
技術の質は何枚も上であり、攻撃の多彩さも大宮に軍配が上がりながらも、大宮は普段ではあまり見られないミスを連発。
それもニンジニアスタジアムの揺れるような一体感あるチームを後押しする雰囲気と、愛媛の目的ある粘り強く体力の限界をうまく迎えないながらも最大限に力いっぱいで続ける守備を前に
大宮のミスを誘うようなプレーを愛媛の選手たちが続けていたことが大きかった。
結果、3-1で首位大宮に4つめの黒星を付ける結果をもぎ取った、愛媛FC。
点差はあったものの、90分絶対に気の抜けないという試合を展開し、勝ち切った大きな勝利だった。
試合後、サポーターと共に喜ぶラインダンスでは90分走り切りすべての体力を使い切った選手たちは、足と体力に限界を迎え、動くことも厳しい状況ながら
格別の勝利の歓びで、スタジアムを包んだ。
強いチーム相手を前に、しっかりとスカウティングをし、対応できるサッカーを時間をうまく使いながら準備し
自信を持って自分たちの力を最大限生かし、気持ちを持って挑むことができている愛媛。
その気持ちは気迫となって試合に現れている。
「絶対に勝ちたい」
その強いメンタルによって、自分たちの中に秘めている自分たちもまだ知らないかもしれない力を呼び起こし
100%の力を知ることができたこの経験を持つことで、今後の試合でどういった試合をすることができるかという伸びしろとなり、繋がっていくことであろう。
どんな相手にも勝利する可能性があることに、自信を持ったからこそ
今後どんな戦いがあっても諦めず最後までなにが起こるかわからない、自分たちなら起こせるという強いメンタルを持って、90分を戦っていけるはずだ。
強い気持ちを持って勝利を目指すチーム。
サッカーは単純に言うと、ゴールの数が多い方が勝つスポーツだが
90分の戦い方として細かな難しい諸説がある。
その中で誰が見ても一番サッカーを観る中でわかりやすく、気持ちが動かされるのは
一生懸命戦う姿だ。
人の気持ちを動かすことができる一生懸命さを持ち、熱く戦い抜き、勝利を得る。
愛媛FCの一番の魅力が見える、試合が続いているのだ。
チーム記録タイとなる4連勝となり、プレーオフ圏内に急浮上した愛媛FC。
ここから昇格争いに強い気持ちを持って関わりたい。
一生懸命が起こす力。
愛媛のfootballから起こる力強さは、無限大の可能性を秘めている。