CHANT(チャント) ジュビロ磐田

磐田vs千葉 磐田、戦術と気持ちの勝利

2015/07/21 17:49配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

J2は昇格争いに変化が起きてきました。

首位の大宮と2位の磐田が抜け出しつつあるのです。

この自動昇格圏内が上へ上へと遠ざかることで

この先の戦いの意義を

苛烈を極める昇格プレーオフ争いにしか、見出せなくなるとしたら

選手、首脳陣、それからサポーターにとっても

精神的に追い詰められる日々が続くでしょう。

それがドラマを織り成すとも言えますが。

そういったわけで

自動昇格を目指すチームにとって

上位との直接対決は落とせません。

これ以上離されるわけにはいきませんから。

勝ち点がプラスマイナスで6点、違ってくることから

シックスポインターとも呼ばれますが

J2第24節、ヤマハスタジアムで行われた

磐田と千葉の一戦は、まさにその様相を呈した一戦でした。

ともに、これ以上J2にはいられません。

両者の勝ち点差は、試合前では7でした。

磐田が狙うは千葉の「ストロングポイント」

5位の千葉のストロングポイントはパウリーニョの守備力です。

球際に強く、ボールを絡め取る技術も高い千葉の主将は

文句無しで、現在の千葉の基本戦術である

高い位置からのハイプレスを支える要因となっています。

しかし、サッカーとは11人で行うもので

相対的な戦力というものが大事なことは言うまでもありません。

つまり、強い部分があったとしても

相手の弱い部分から攻撃するか

相手の強い部分を意図的に動かして、弱い部分に変えてしまうか。

これらのやり方によって、強い部分が基で成り立っているシステムを

呆気なく瓦解、もしくは無効化状態に追い込むことができます。

また、それを埋める仕組みがあったり

そこまで読んで、そうなった時に

相手を崩す方策を仕込んでいたり・・という掛け合いが

サッカーの戦術面における醍醐味ではないでしょうか。

とはいえ千葉は、上記のように

強みであるパウリーニョを外された際の守備は

残念ながら個人技頼み、マンマーカー頼み、という面が強いです。

またパウリーニョの相方や、それに増してCBなどは

補強の不備などもあり、山口智の穴が埋まっておらず

今シーズンは不安が残る状態が続いてきました。

ついこないだまでバリバリのJ1レギュラーであった

富澤清太郎を夏の市場で獲得しましたが

千葉はそういった問題から、富澤をCBで起用しています。

「本職」かどうかはともかく

強豪・横浜のレギュラーボランチであった富澤を

ボランチで起用できないのは

千葉の編成面の痛いところではあると思います。

https://youtu.be/rue_OT6eqHc

磐田が狙うところはまさにその部分。

中を使っても使わなくても、サイドに人数を掛けます。

サイド攻撃は磐田の強みでもありますので、当然の選択でしょう。

駒野友一や桜内渚を積極的に使い、クロスを放り込んで

ボスロイド対千葉のCB、という構図を多く作りだしました。

31分、磐田は駒野のクロスから

2度のシュートチャンスを得ましたが

両方ともパウリーニョが跳ね返しました。


また、ゲームを決めた先制点もこのパターンです。

80分のシーンは、大岩一貴の太田吉彰への寄せの甘さや

GK・岡本昌弘がボスロイドに競り負けるという異常事態はありましたが

磐田がこの試合で、再三狙ってきた部分と言え

磐田の戦術的勝利に結果が付いてきた、といえるものでしょう。

千葉が「気持ち」で負けた理由

加えてこの失点の場面では、小林祐希のポストに

富澤が釣り出され、潰せずにフリックされ

サイドへの展開をされています。

これは一概に富澤が悪いというものではなく

千葉が間延びしてしまっているということが言えます。


千葉の守備はハイプレスが基本です。

しかし、全体での押し上げが出来ない場合は

その間のスペースが空いてしまい

いわゆる、間延びした状態となってしまいます。

このシーンはまさにその通りとなってしまいました。

そんな物理的な短所を埋めるのに必要なもの。

それは「気持ち」です。

山本昌邦氏の言うところの「精神的なスタミナ」というものです。

氏曰く、精神的なスタミナがあれば

肉体的には疲れていても走り切れる、というものです。


ただ、肉体的なスタミナと同じく

精神的なスタミナにも限りがありますし

その2つはリンクしていると言えるでしょう。

それは少しでも運動をしたことがある方ならば分かるはずです。


その、限りある資源をどう使うのか、というのが

少なくともサッカーにおいては戦術であると言えます。

この試合の千葉は

この意味での「気持ち」を必要とするシーンが多かったです。

千葉が、いわゆる個の力で

総合的に磐田に劣っていたとは、そこまで思えません。

ですが千葉は、個々の選手達の気持ちに

依存したサッカーとなった場面が多くありました。

それが、カウンター時に人数を掛けられなかったり

被カウンター時にマークが外れたり、という場面で

大事な場面でのエネルギー不足という形によって

浮き彫りになったと言えるのではないでしょうか。


つまり、千葉は戦術面で劣ったが故に

限りある資源を使い減らし

肝心なところで気持ちを発揮できずに負けた

と言えるのではないでしょうか。

そして、その現象が起こったのは

なにもこの日の磐田戦だけではありません。

直近でいうと、群馬戦の1失点目のロングカウンターも同じことで

千葉は、戦術が無いから気持ち

気持ちが底を突いたら負け

というサイクルに陥っているのではないでしょうか。

パウリーニョや富澤など

なまじ能力があり、気持ちに余裕がある選手が

カガーリングしようとして出来ずに、ピンチ、失点・・

そういった場面が増えそうな気もします。


これから7月8月と容赦の無い季節がやってきます。

次週には中3日での試合もあります。

戦術無く、気持ちだけではまた繰り返してしまうのではないでしょうか。

首脳陣には、戦術的な解決が求められます。

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