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多摩川クラシコ マッチレビュー 川崎はドルトムント戦を糧に、タイトルへ

2015/07/15 12:18配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

https://www.youtube.com/watch?v=yBFV7joLMWg

明治安田生命J1リーグは

10年ぶりの2 ndステージへと突入しました。

その開幕節、等々力競技場では

収容率95%超となる23,793人の観客を集めた

第28回多摩川クラシコが行われました。

結果は2‐0で川崎に軍配。

これにより川崎はこの伝統の一戦の対戦成績を

11勝7分8敗とし

また、今年の多摩川クラシコの対戦成績を

1勝1敗の五分に戻しました

この試合は一般的に言われていたように

攻撃の川崎と守備のFC東京という構図が

そのまま、あてはまる試合となりました。

前半から川崎はポゼッションを握り、能動的に試合を進めます。

試合全体のボール支配率ではありますが

ここでは川崎が64%と圧倒しました。

この数字を見る限り、川崎は目論見通りの試合運びをしたと思われます。


対するFC東京は、前半だけで川崎に10本もシュートを打たれながらも

流れの中からのエリア内での被シュートはゼロ

被決定機も無かったと言えるのではないでしょうか。

前半は、互いに持ち味を出したものとなりました。

注目の立ち上がり

FC東京は注目の立ち上がり、4312で入ってきました。

中央に人数を集める4312にすることで

川崎の攻撃の重要人物である、中村憲剛と大島僚太

また、川崎の攻撃の質そのものである

中を使った崩し、縦パスを封じる狙いがありました。

前線に3枚を配置し、真ん中を封鎖することで

川崎の攻撃を機能させずに、ボールを奪い

カウンターを発動させたいという狙いがありました。

川崎はそれを見越してか、3412という布陣で入りました。

大島僚太と谷口彰悟の2ボランチ

中村憲剛がトップ下です。

前述の中村憲剛と大島を同じ位置に並べないことで

FC東京の守備の的を絞らせないという狙いがあったことでしょう。

また、谷口が本来のCBの位置に落ちることで

中村憲剛がボランチの位置に落ちることも可能となり

その場合は442で試合を進めることになります。

相手の出方に合わせて、布陣を変えることも視野に入れたものでした。

ここは試合によって442や343も併用する

川崎の自在性が作用したところではあるでしょう。

前半、FC東京ペースになりかけたワケ

前半はどちらかというとFC東京のプラン通りに推移したと思います。

なぜそうなったかというと、川崎の距離感が良くありませんでした。

ショートパスを繋ぐには距離感が大切です。

立ち上がりの川崎は、ドルトムント戦で繋げなかったからか

選手同士の距離が近すぎたように思います。

距離感が近いと、ショートパスは繋ぎやすくなりますが

ボールを運ぶための角度をつけたり

ボールを受けるために良い位置取りをするための

フリーランニングの時間を稼ぎにくくなります。

そのためか、川崎はボールを相手ゴール前に運ぶ回数は多くありませんでした。

シュートのほとんどはエリア外からのものとなりました。

さらに、近いことに気付いたのか、今度は離れすぎたりと

距離感が前半の多くの時間で安定しませんでした。

前半13分のパスミスからの前田のシュートは

その距離感の修正のさ中に起こったミスでした。

ただ、距離感が近すぎたことが

良いように作用した面もありました。

距離感が近いことで、ボールを失った際に

カウンタープレッシングを仕掛けることに成功する場面が増えました。

FC東京は4312で、横幅を取ることが難しいため

奪った後の繋ぎに難があるのですが

それを差し引いても、守備の難がある川崎が

近い距離感によるカウンタープレッシングによって

その難を逃れたという側面が見て取れました。

ドルトムントという高いレベルのチームを

意識しすぎたという面もあったのでしょう。

調整が済んだ川崎は、後半、相手陣内を席巻します。

後半、FC東京の足が止まったワケ

後半、FC東京は出足が鈍くなり

機能していた守備が崩れます。

後半7分の失点シーンは、真ん中から縦に付けられ

レナト、大久保、大島、レナト、小宮山、エウシーニョと

パスが繋がる間

FC東京は全員が自陣に引いているにもかかわらず

一度もボールに触れることが出来ませんでした。

完全に川崎のパターン、練習通りの形と言って良いものでした。

なぜFC東京は足が止まったのでしょう。

川崎とFC東京の走行距離はともに107km台でした。

つまり、FC東京が走り過ぎたということではありません。

また前半も、むしろ川崎の方が走行距離は多く

FC東京としては、なんのことはない走行距離でした。

なぜFC東京は後半頭から

正確に言えば前半40分過ぎから、足が止まったのでしょうか。

2週間の調整期間での失敗が無かったとすれば

それはFC東京が川崎に走らされたため、ということになります。

60%を超える支配率

90%を超えるパス成功率が

上手く運ばなかった前半でさえも

ボディブロー的な効果を生んでしまうのが

川崎のサッカーの怖さと言えるでしょう。

高いパス成功率は、相手から能動的な動きを奪います。

相手に動かされるというものは特に堪えるものです。

武藤嘉紀という、チームプレイのできる

圧倒的な個の力を持った選手を失い

今まで以上に戦術の緻密さを持たねばならない

FC東京が、それを遂行するのに必要な運動量を失った時点で

苦しくなるのは必然と言えるでしょう。

ただそれは、川崎にとってはそれこそ

練習通り、日常と言えるものです。

ボールを回し、自分達のペースで試合を運ぶこと

相手のやりたいことをやらせないこと、というのは

間違いなく、川崎のサッカーの一部です。

戦術の遂行能力が無くなったFC東京は

442とも433ともとれる形で前から追ってきましたが

それこそ川崎のポゼッションの餌食となり

空いたスペースを何度も使われ、そのうちの一回をモノにされました。

90分終わってみれば、川崎の完勝でした。

いつもの川崎がいつものサッカーをした結果です。

川崎、ドルトムント戦を糧にタイトルへ

川崎にとって1つキーになると思われたのは

4日前のドルトムント戦の敗戦です。

親善試合として行われたドイツの強豪との試合は

0-6というショッキングな敗戦となりました。

逆からの物言いとはなりますが

この多摩川クラシコで散々にFC東京を打ち負かした

川崎のいつも通りのサッカーが

ドルトムントには通用しなかったというのは

とても衝撃的なものでした。

しかし、中村憲剛や大久保嘉人といったベテランがいるからか

多摩川クラシコへ引きずる選手はいなかったように思えます。

それどころか、糧にしたともいえる内容でした。

前半の距離感は、パスワークが封じられた

ドルトムント戦を踏まえてのものであったと思いますし

そのあとの距離感の調整にも意識の高さを感じました。

回数自体が少なかったとはいえ

奪われた後のカウンタープレッシングも進化を思わせるものです。

また、多摩川クラシコの試合後のインタビューでは

多くの選手が、ドルトムント戦を踏まえてのコメントをしていました。

プレッシングや球際において意識した、というコメントもあり

確実に糧となったことでしょう。

毎年、惜しいところまで行きながらもタイトルと縁が無かった川崎。

事あるごとに、重要な試合を落としてきたことが理由です。

しかし、ドルトムントという強豪に喫したショッキングな敗戦は

それらを上回るものだったのではないでしょうか。

そして、それを確実に糧としている選手達がいます。

これまでとは違う経験をした川崎が

今年こそタイトルを獲るのではないでしょうか。

川崎の、相手を走らせるサッカーとマッチする夏が、始まります。

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武藤が抜けた穴はやっぱり大きかったですね。

名無しさん  Good!!0 イエローカード0 2015/07/15|20:57 返信

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