CHANT(チャント) ガンバ大阪

こちらに関柏vsG大阪 「左サイド・宇佐美」が分けた明暗

2015/06/24 16:57配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

G大阪の柏対策

ACLではともにベスト8へと進出した両チーム。

是非ともJリーグ代表として頑張ってもらいたいものです。

さて、そんな両チームはビッグマッチの過密日程を避けるために

リーグ戦の延期、平日開催に取り組みました。

23日の火曜日、柏のホーム・日立台で行われた

第13節の延期分がそれに当たります。

柏は平日のこの日でも約1万人(9997人)の集客力を誇るため

このような柔軟な開催が可能となっています。


またリーグ全体として今日は、ようやく

順位から暫定の文字が取れる日でもあります。

柏はACLとは対照的にリーグ戦では苦しんでいます。

ここまで順位は暫定15位です。

16位17位とは勝ち点で並んでおり、

失点数でも14位と低迷しています。

その中身は、浦和戦や広島戦など、リードを守り切れなかったり

終盤での失点が目立つのが現状です。

ただ、一度ボールを持てば脅威を発揮するあたり

今年から取り組む能動的で攻撃的なスタイルの浸透を見ることが出来ます。

対するG大阪はリーグ戦でも暫定4位。

宇佐美貴史やパトリックなど、一見、攻撃のタレントが目立ちますが

リーグ最少失点の守備、全体のオーガナイズが

昨季からの安定した成績を支えています。

試合はそんな、守備に特徴を持つG大阪が

柏対策を見せることで始まりました。

柏のフォーメーションは433です。

アンカーを置いて、GKも組み込んでしっかりと後ろからビルドアップをします。

対するG大阪。

普段は442で2トップは宇佐美とパトリックですが

アンカーを置くシステムを採るチーム相手だと

守備がハマらず、劣勢に立たされてしまう場面が多いチームです。

0‐1で敗れた浦和戦は、その特徴が出た一戦と言えるでしょう。

その対策としてこの日は、4411と言える並びを採用してきました。

従来、宇佐美がいるべき場所には倉田秋が入り

宇佐美は左サイドに位置しました。

G大阪の2列目は、攻守におけるマルチタスクが求められ

何よりもそれを支えるための運動量が求められるポジションです。

普段はそこを務めることで、守備が出来ることを示しており

また、中央でもプレーのできる倉田をトップ下に入れて

柏のアンカーを務めた秋野央樹に付くというミッションを持たせました。

これにより、柏のボール循環を防ぐ狙いがありました。

セットプレーでの失点でプランが崩れたG大阪

このように、G大阪は守備から入りました。

柏も、守備面で結果の出ていないチーム特有の

「まずは守備から」を実践し

4141による堅い守備ブロックの形成と素早い帰陣を徹底し

試合は膠着するものと思われました。

しかし、柏がボール循環など関係なくセットプレーで先制します。

柏としては珍しい、直接FK以外でのセットプレーでの得点です。

しかし得点は得点ですので、この後は試合を優位に進めることが出来ました。

もちろん守備から入ったG大阪のプランは崩れます。

失点により、待ち構えての守備は効果を持たなくなってしまいます。

つまり、ラインを上げて前から追っていくしかないのですが

この日は6月下旬の中2日という問題がありました。

22.3℃の気温はともかく、75%の湿度も苦しさを増やしたことでしょう。

G大阪は、引くに引けず、ボールも奪えずという時間帯が続き

時間と体力を消耗していきました。

光った柏の若手CBコンビ

この試合、光ったのは柏のCBコンビでした。

先制点を挙げたエドゥアルドは素晴らしいヘディング精度で

G大阪の日本代表GK・東口順昭のニアを射抜きました。

また、ポゼッション時は安定したボールさばきで

ボールの落ち着きどころとなっていましたし

前半26分のレーザービームのようなロングフィードは

上手く工藤壮人に収まれば即決定機と言えるような精度でした。

守備においては、パトリックに負けない身体能力を披露し

途中交代に追い込んでいます。

また、コンビを組んだ鈴木大輔は、守備面においては

J1でもトップレベルであることを示しました。

特に後半、再三のリンスとの1対1を封じたのは

それを如実に表したと言えるものでしょう。

1‐0のスコアが大半を占めたこの試合において

間違いなく主役は彼らでした。

この日、復帰を果たした近藤直也とのCBの定位置争いが

活発になるようであれば

これから、柏の失点は改善されていくのではないでしょうか。

宇佐美サイド起用のデメリット

日本代表でも左サイドでの起用が多くなっている宇佐美ですが

この試合でも、左サイドでの起用となりました。

このデメリットは2つ。

①宇佐美をサイドにしたことで、チームの守備力が落ちたこと

②宇佐美に守備タスクを課したことでチームの攻撃力が落ちたこと

これらが挙げられます。

①についてですが、宇佐美は守備のタスクをよくこなしていたと思います。

上にも書いた通り、かなりの運動量が求められるポジションにおいて

サイドの数的不利を助け、相手のSBに付いていき

もちろん攻撃にも顔を出す、ということをなんとかやっていたと思います。

しかし結果として、失点に繋がったセットプレーは

G大阪の左サイドで1対1を作られ

そこで藤春廣輝がファウルを犯したことが原因です。

前半10分のことですので、スタミナに不安は無かったでしょうから

ここは、フォローに行けても良かったのかなとは思います。

ただ、ここでの主な責任は、宇佐美に帰するものではありません。

G大阪の敗戦の原因としては、どちらかというと

②の方が大きかったのかなとは思います。

まず宇佐美が真ん中にいなかったことで、カウンターに怖さが出ませんでした。

倉田も良い攻撃的な選手ですが、パトリックとのコンビネーション面も含めて

宇佐美よりは1枚落ちるでしょうか。

それだけに後半の決定機は決めたかったところでしょう。

そして、宇佐美の最近の傾向が如実に表れたことも響きました。

それは、宇佐美があまりドリブルで相手を抜けないという点です。

宇佐美はシュート、クロス、パスなどキックの精度は非常に高いものがあります。

しかしそれらは、卓越した足下の技術により

相対したDFからボールをズラして、放たれるものです。

それは宇佐美が真ん中にいる状態では大きな効果を発揮しますが

当然、サイドにおいてはシュートという選択肢が無い機会が多くなります。

シュート=得点の選択肢の無い宇佐美の怖さは半減と言って良いものでしょう。

加えて、最近の宇佐美はこの日を始め、シンガポール戦でもそうでしたが

対面のDFをドリブルで抜ききれない場面が目立ちます。

ACLや代表選出などの疲れにより、体のキレが落ちているのかもしれませんが

少し気になるところではあります。

ともかく、宇佐美のサイド起用のデメリットは複数存在しました。

それを考慮してもなお、宇佐美をサイドで起用し

この試合では、それが裏目に出たG大阪でした。

リンスの投入により、宇佐美は最前線に位置を移しました。

しかしパトリックが居ないため

宇佐美がボールを収めなければならない状況が多くなっていました。

そのため、最前線に配備されてからも

宇佐美は頻繁にサイドに流れていました。

その姿は、なんともチグハグで残念に映りました。

結局、宇佐美のサイド起用が

この試合の明暗を分けたと言えるのではないでしょうか。

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