CHANT(チャント) 清水エスパルス

【清水】 オレンジ色に染まったサッカー王国 目指すべき頂点 【J1】

2015/03/13 12:37配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:マッチレポート


オレンジに染まった スタンドが揺れた―。

日本のサッカー王国と呼ばれる静岡。
その中でも清水という土地は、日本サッカーの歴史上指折りのサッカーが盛んな地域であり、サッカー王国としての意地が詰まっている。

Jリーグが開幕したのは3月7日。
一日遅れの3月8日に開幕となった清水エスパルス×鹿島アントラーズの一戦は「清水エスパルス」が凝縮された一戦となった。

サッカー王国のプライドをかけて。
今年の目指す場所

それはタイトルだ。

●降格争いからタイトルへ

昨年、清水エスパルスは非常に厳しい戦いを強いられた。
戦力は揃っているはずなのにとうまくいかない出来事が重なった昨シーズン。
まさかの降格争いを経験した。

最終的に残留することができたものの、最後の試合も勝つことはできなかった。

チームを降格させるわけにはいかないとたくさんの清水の人々が集まった最終戦。
満員となったスタジアムで、勝利という形で残留を決められなかったものの、なんとかJ1残留を死守。
しかし、その結果に満足がいったわけでは当然なかった。
死の戦いとなる降格争いを抜け出し、残留を手にしたことは長く続いた緊張感に安心感が生まれたが、昨年当然残留争いをするような位置を目指していたわけではない。
いつの間にか負のスパイラルの中に入ってしまった昨年を教訓に二度とそんなことになってはいけないと苦しんだ分、全員が感じたはずだ。

昨年残留争いをした清水エスパルス。
だが、当然今年の目標を残留といったものにはしない。
昨年残留争いをしたからといって力がないわけではなく、高い目標を設定できるチームだとクラブ全体で再確認し、今年の目標を「タイトル」とした。
残留争いを経験したからこそ、思うように勝てなかったことを経験し1つ勝つことが簡単ではないことを知ったからこそ、頂点を目指すにはとても険しく難しいことも知っている。
それでも目標として頂点を目指すということを決めたのだ。

近年、清水エスパルスはさまざまなチームに選手を修業に出した。
これからの将来を担っていく選手たちの今後を見据えて、他のチームにレンタル移籍させ、経験を積んだ選手たちを戻しチームの力とする。
さらに、積極的にJ3で戦うU-22選抜に選手を派遣し、試合経験を積ませる。
プロになってからの選手育成の部分で清水は積極的に現在Jリーグで使える制度をいかし、チームという枠に留まらず選手ののびしろを伸ばしている。
戦い結果を出しながら選手も育成するというのは至難の業であり、そのバランスが難しい。
選手たちが戻るか戻らないかはクラブとして立てているプランに沿った通りに行くかは未知数ではあるものの、選手たちが戻ってくるということは清水エスパルスに魅力を感じ、想いがあるからであろう。

開幕戦のスタメンを見ても、レンタル移籍を経験した選手や、他のクラブに移籍し、戻った選手が多い。

DF平岡は少し前のこととなるがコンサドーレ札幌に、同じくDF犬飼は昨年まで松本山雅に、MF本田拓は武者修行ではないものの鹿島アントラーズに移籍をし、その後カムバック。
MF八反田はベガルタ仙台、MF竹内はギラヴァンツ北九州、FW長沢は松本山雅、そして大前はドイツで海外挑戦した。
スタメン7名が他チームへ移籍し、経験を積み重ね清水へと戻ってきた選手たちで構成されているのだ。

各チームで得た経験が融合し、清水エスパルスとして結束している。
試合経験をさまざまな立場や状況、ステージで積んだことで、それが経験となり選手としての幅が広がり今新しい清水の土台を創ろうとしている。


●満員のホームで魅せる清水の意地とfootballの楽しさ

昨年の最終戦も満員で埋まったIAIスタジアムだったが、今年の開幕戦で埋まったIAIスタジアムはまた雰囲気が違った。
昨年はなんとしても降格してもらっては困ると祈るような気持ちで埋まった満員のスタジアムだったが、開幕戦には新たな出発を共にしようという今後の期待に溢れたスタジアムとなっていた。

前の年に降格しそうになってしまったチームへ これほどまでに大きな期待がかかることはなかなかないであろう。
崖っぷちに立ったからこそ、サッカー王国清水に住む人々の意地に 火を付けることとなったのかもしれない。
この地域からJ1のクラブはなくしてはいけない、もっと清水エスパルスを応援して強くしなければならない、その背中を押さなくてはいけない、応援に行くことでできることがあるのかもしれない。
そう感じた人々がオレンジの物を持ち、身を包んで向かったのかもしれない。

清水のユニフォームの「らしさ」ともなっている地図柄が今年、Jリーグ初期にデザインされていた色合いでの地図柄が復活した。
そのユニフォームから感じられるJリーグに刻んできた清水エスパルスの歴史。
大きな企業を盾に持たないはじめての市民クラブとして発足し、Jリーグ参入を決めた未知数ながら期待が大きかったサッカー王国清水に生まれた
清水エスパルスという光る希望を 思い出す方も多いのではないであろうか。
満員のスタジアム。オレンジ色に染まるその光景はJリーグ初期を思い出す。

開幕戦でチケットが売り切れ埋まったのは統計上、初。
開幕戦ということで鹿島のサポーターも多く詰めかけたが、それでもスタジアムはオレンジ色に染まりホームスタジアムという舞台としては最高な雰囲気の中、観客席にいるサポーターもピッチ上にいる選手も、とにかく楽しそうにサッカーを楽しんでいる。
そういった空気が 伝わってきた。

先制ゴールは清水だった。
スローインの流れから一度はボールを失い相手にボールが渡ったものの、スライディングで本田がボールを空いてから離すと、そのボールを八反田が大前へ。
すると大前は冷静なトラップから丁寧なシュートでゴールネットを揺らした。

1点リードのまま前半を折り返したが、後半24分。
鹿島遠藤のシュートを清水GK櫛引が触ったもののこぼれたボールがライン上に。
際どい判定だったが、ゴールとして認められ鹿島に同点に追いつかれてしまう。

しかし、その後
村田の勝負を経たクロスからニアで選手が潰れ、ファーに走り込んでいた本田が合わせ2点目。
弾道を描くような美しいクロスからの得点で「型」となった目の前での得点に清水ゴール裏は湧いた。

1得点目は冷静なトラップからのシュートを放ちゴールをマークした大前は
その後、ピッチ上を斜めに大胆にドリブルで駆け上がった村田からスペースに出たマイナスのボールに、信じて走り込んでいたという大前が豪快に右足を振りぬいた。
ペナルティエリアの外からダイレクトで打ったボールは大きくネットを揺らす、力強くパーフェクトなゴールとなり、3点目。

3得点を得た清水エスパルスにスタジアムは歓喜に溢れ、選手たちからも笑顔が溢れた。


試合終了後、観客と一体となり勝利の試合後に行われる「勝ちロコ」で歓びを共有した。
たくさんの溢れる笑顔は格別だ。

清水エスパルスにとって最高の2015シーズン、スタートになったのではないだろうか。

エース大前が2得点を決めたことはチームとしても大きな勢いとなり、エースが決められるからこそ清水エスパルスは盛り上がりをみせ、勢いに乗ることができるかもしれない。
まだ1試合。この先は長いが、それでもされど1試合。残したものは大きかったはずだ。
昨年は苦しみ、切り替えが必要なチームだからこそ新たなるシーズンの幕開けとなった大事な1試合で掴んだ手ごたえは、自信となるはずだ。


さまざまな苦境を乗り越えてきたからこそ、今年は積みかさねてきた経験を最大限に発揮し
全員で「清水エスパルス」となり、タイトルを目指す。

選手たちからは、オレンジ色に染まったチーム愛が溢れているように見える。
他チームで全力をかけて戦っていたときはもちろんそのチームのことを第一に考えプレーしていただろうが、清水の選手たちは清水だからこそ戻り清水のために自分のすべてを出したい。
そう決意し、戻ってきたように感じる。
在籍したチームへの恩や想いがあるからこそ、その決断は重さがあり結果を出さなくてはならないという使命がある。

その想いがサポーターにも伝わり、そしてサポーターからも愛情が伝えられ想いが選手に伝わっているからこそ、創られる一体感の「ホーム」なのであろう。


オレンジ色に染まることが幸せ。
そう感じる一体感を持って、今年は一番高いところを目指しひとつひとつ戦っていく―。

Good!!(92%) Bad!!(7%)

本当に申し訳ないが、プレシーズンやあの試合を見てタイトルとか言ってるのは正直現実を全く直視出来てないと思う。

名無しさん  Good!!0 イエローカード0 2015/03/13|14:46 返信

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